イマーシブ・ミュージアム:Klimt Kuss クリムト《接吻》
最近流行りのイマーシブ・ミュージアムに行きました(6月22日)。
題材はクリムト。
クリムトの生涯と作品をマルチメディアで紹介するものです。
場所はミュンヘンのユートピア。
大人気で会期が延長になりました。
人が少ない時をと思い、平日のお昼ご飯時を狙って行ったのですが、先生に引率された子供たち(15〜16歳)がいました。
ショーは約45分間。
この日は暑くて、子供たちはぐったりと横になったり、パタパタと扇いだり。
これはアッターゼー。
アッターゼーについては、先日の投稿をご覧ください。
クリムトと同時代、世紀末のウィーンで活躍したフロイトやマーラー。
ただ、このマーラー、ふっくらとしています・・・
イマーシブ・ミュージアムについては賛否両論あると思います。
アイディア自体は新しいものではなく、プロジェクション・マッピングをはじめ、オペラの演出ではもう常連のスキル。
「没入感」や「臨場感」だけなら22€(3400円、ただし今は円安です。物価感覚としては2200円というところでしょうか)という料金はどうでしょう。
この《クリムト・接吻》ではクリムトの生涯と作品を、特に最も近い女性といわれたエミーリア・フレーゲとの架空のインタヴューで綴り(声だけ)、紹介するという企画は面白かったと思います。
例えば、「なぜあなたたちは結婚しなかったの?」という問いに対し、エミーリアは「自由と独立が最も重要だったから」と答える場面がありました。
(つまり「結婚は自由と独立を阻むもの」なんですね!)
また、クリムトが16歳のアルマ・シントラー(のちに作曲家のグスタフ・マーラーと結婚する)と恋仲になった時「どう、思った?」などという質問もありました。
さらに音楽の選択が良いシーンもあったし、「どうなの?」と思うシーンもありました。
ベートーヴェン・フリーズではベートーヴェン《交響曲第9番〈合唱〉》の第4楽章をかけ、壁画の女性たちがコーラスとして歌うのですが、あまりに直截すぎて吹き出してしまう。
一方、ワーグナー《パルジファル》で和声の展開と共に絵が動くのは秀逸だったけれど、ワーグナー《ラインの黄金》の「ワルハラ入場」では絵のモチーフの扱いが粗雑だったと感じました。
全体としては初心者や子供たちに興味を持ってもらうのに良いきっかけになると思いますが、いずれにしろコンセプトと音楽選択が重要かと思いました。
そうそう、使用されていた音楽ですが、流されるのは曲の一部とはいえ、マーラー、ベートーヴェン、ワーグナー・・・良いのですが、今世紀に入ってからはこんな解釈ではないと思い、主催者側に尋ねたところ、なるほど、バーンスタイン指揮ウィーン・フィル、小澤指揮ボストン響、カラヤン指揮ベルリン・フィルなどの録音でした。
次回は今秋、モネの《睡蓮》です。
動画についてはここにあげられなかったので、インスタグラムにあげました。
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FOTO:©️Kishi
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