スパルタな父と、ムスコくんの自己肯定感
子どもの自己肯定感を高めるべくムスコくんを褒めて育てているハハなのですが、最近のムスコくんの自信を育んでいるのは、ハハの思惑とは相反する夫くんのスパルタなサッカー指導だったりして、というお話です。
☆やっぱり「自己肯定感」でしょ
ムスコくんが生まれた9年前、新米ハハなりに育児書をいくつか読んだ結果、「キーワードは『自己肯定感』なのだな」と理解しました。
子どもが「自分は大事な人間なんだ。安心してここにいていいんだ」と思えるように、親は子どもに対して否定的な言葉を使わないこと。
「大好きだよ」「大事だよ」とポジティブなメッセージを常に送ることで心が満たされれば、子どもは自ずと人生を切り開いていく強さを持つ・・・・ワタシの「自己肯定感」に関する解釈は、ざっくり言ってこんな感じです。
コザルタイプのムスコくんは、「すごいじゃん」「大スキ〜」と言葉を掛けると、素直にウホッと喜んでくれます。ムスコくんのニコニコ笑顔が可愛いくて、ハハはもう惜しげもなく「すごいすごい〜」を連発。
これで自己肯定感とやらが育つのか。
楽勝だな、なんて思いながら。
しかし、この「自己肯定感を育む(というか、育んでいるつもり)」教育の前に、強敵が立ちはだかりました。
それは夫くん。つまり、ムスコくんのお父さんです。
☆父のスパルタなサッカー指導
スポーツ大好きな昭和オトコであるところの夫くんは、「男の子は、運動させときゃ何とか育つんだよ」が持論。
保育園時代からムスコくんにサッカーを教え込み、今では地元の少年サッカーチームのコーチにも就任しているほどの熱いヤツです。
しかし。
夫くんのサッカー指導は、ワタシから見れば「え〜? ちょっとやめてよ」と思うことばかり。
「できてない!全然ダメだ!」とゲキを飛ばすのはザラ。
他の上手な子と遠慮なく比べ、「だからお前はダメなんだよ」と、なかなかパワハラな言葉でムスコくんを追いつめたりします。
試合でがんばっても、帰りの車の中はダメ出しの嵐で、なんなら帰宅後の男2人のお風呂タイムまで「あそこでグッと寄せないと!」みたいな話が続いています。
そして、ムスコくんがちょっと不満を述べると「もういい、やめちまえ!」と言って泣かせる・・・ま、こんな感じです。
ハハとしては、「ああ、自己肯定感を育む子育てが・・・」とハラハラが止まりません。
「お前はダメだ」なんて、ワタシは絶対に言わないのに・・・。
ただ、夫くんがエラいのは、ムスコくんのために、時間もパワーもガッチリ割いていること。
4歳ぐらいのときからずっと、休日はムスコくんを公園に連れ出して、一緒に練習をしてくれています。
最近は、平日も朝6時くらいから近所の子も一緒に練習。在宅勤務になってからは、夕方も一緒にボールを蹴っています。
ムスコくんも、そんな父の愛情を理解しているのか(あるいはマジで怖いのか)、前向きに練習に励んでいます。
ハハとしてはスパルタ方式に異論ありなのですが、2人ともがんばっているのは確かなので、とりあえず見守っていたのでした。
☆小学4年生は競争社会の入り口?
そんなこんなで、ムスコくんも4年生。
最近、いろんなシーンで「競争」が容赦なく入ってくるな・・・と感じるようになってきました。
まず分かりやすいのは学習面。
中学受験の塾に通い始める子もいて、クラス分けだったり偏差値だったりで、子ども達の緊張感がグッと高まっています。
少年スポーツも、市大会や県大会などの公式戦が4年生からスタート。「試合で勝ちたい!」という本気の目標が出てくるので、コーチが実力を測ってメンバーをフルイにかけ始めます。
今まで和気あいあいとやってきたのが、急にシビアな世界に・・・。
さらに、普段の小学校生活でも、音楽会やら委員会やらリレーやらで代表メンバーを選ぶ機会がぐぐっと増えて、子ども同士でいろいろと競い合っているのでした。
☆自己肯定感よりも「実力」?
こうなってくると、モノを言うのは具体的な「実力」です。
例えば勉強だったら、家で「頭イイじゃん!」と褒めてルンルン机に向かわせることは大事ですが、肝心の計算力や読解力がついていなければ、テストで点が取れず、結局は苦手意識が芽生えてしまう。
逆に言えば、親に叱られて嫌々ドリルをこなしていたとしても、確実な学力がついて100点を連発できるようになっていれば、「オレ、勉強はできるな」と自信がつくわけで。
大事なのは、ほめる云々ではなくて、弱点をきちんと教えて、ひとつひとつ導いてあげることだったのかも?
甘い言葉で育んできた「自己肯定感」って、もろいものだった…⁉︎と、ちょっと不安になるわけです。
☆サッカー得意キャラがもたらすもの
さて。そんな中で、我が家のコザル・ムスコくんの話。
誰にでもニコニコかわいいムスコくんですが、競争で勝ち抜けるパワーにはやや欠けるような・・・。
しかし、彼にはサッカーがある。
運動の苦手なワタシに似て、走るのは遅いし、鉄棒や縄跳びなども苦手なのですが、夫くんのスパルタ指導でサッカーの技術だけはみっちり磨いてきました。
少年サッカーチームで試合のスタメンに選ばれ、「サッカーが得意な子」というキャラをゲットしました。
このことは、男の子にとって重大なポイントだったようで、スタメン選考以来、わかりやすく自信が出てくるようになりました。
たとえば登校時。
パワフルな性格でリーダーシップのあるAくん、おとなしいながら頭脳明晰なBくんの後ろにくっついて歩いていたムスコくんが、スタメンに選ばれて以降、どうにか対等に渡り合っているのが見て取れるようになりました。
仲良しながら、なかなかマウント取りが熾烈な小学生男子たち。
ヘナチョコなムスコくんだからこそ、サッカーがあって良かった・・・夫くんの「スポーツやらせとけ」という体育会精神に、ここに来て屈服させられることになるとは。
☆真の「自己肯定感」って何だろう
そうじゃなくて、できることもできないことも含めて、ありのままの子どもを認めるのが「真の自己肯定感」なんですよ・・・と、叱られそうですが。
ムスコくんのことは丸ごと愛している。
だからこそ、外で戦う力を付けてあげるのも親の役目だよね、と反省&試行錯誤なのでした。