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映画『愛がなんだ』の感想
昨日急に思いたって、映画の『愛がなんだ』を見ました。この映画をみるのはもう3回目くらい。この作品をはじめに知ったきっかけは、原作である角田光代さんの小説でした。
あらすじ
会社員のテルコ(テルちゃん)は、知人の結婚パーティで出会ったマモル(マモちゃん)のことが大好き。マモルに呼ばれれば、入浴中でも就活中でも、かまわず飛んでく。そんなテルコをマモルは気まぐれで振り回しがち。ある時は恋人のように接したかと思えば、別の時はぞんざいにあつかう。マモルはスミレさんという年上の女性に片思いしているが、スミレさんはマモルを恋愛対象として見ていない。
テルコとマモル
テルちゃんはマモちゃんのことが好きすぎるので、気まぐれなマモちゃんに
まるで忠実なペットのように従い、彼の言動に一喜一憂します。
たとえば、冒頭のシーン。風邪をひいたマモちゃんの家に呼ばれ、ご飯を作ったりお風呂掃除をしたりするテルちゃん。それを見て、マモちゃんは面倒くさくなり、とつぜんテルちゃんを家から追い出します。茫然とするテルちゃん。このシーンは見ていて痛々しかったです。
ヨウコとナカハラ
ところで、テルちゃんにはヨウコちゃんという女友達がいます。ヨウコには、マモちゃんにとってのテルちゃんのような関係にある、ナカハラくんという人がいます。
ヨウコちゃんは、タクシー代を持たないままマモちゃんに家を追い出されたテルちゃんを迎えに、ナカハラくんを遣いに出したりします。
不思議なことに、テルちゃんとマモちゃんの関係は痛々しいのに、ヨウコちゃんとナカハラくんの関係はそう感じませんでした。
どうしてだろうかと考えたところ、1つ答えらしきものが見つかりました。
<マモル・テルコ>と<ヨウコ・ナカハラ>の違い
テルちゃんとマモちゃんとは違って、ヨウコとナカハラくんは自分たちの不平等な関係性を自覚しているように(少なくとも映画の前半では)見えるのです。
最初の方にこんなシーンがあります。ヨウコちゃんの写真を撮っているナカハラ君に、ヨウコが「ナカハラ、ビール買ってきて」と言います。ナカハラ君は「はい。」と(少しうれしそうに)従っていました。
つまり、彼らは自分たちの主従関係を自覚した上で、その関係を楽しんでいるように見えたのです(結局最後の方で、ナカハラくん的にはそうでもなかったことがわかるのですが)。そのことが、同じ不均衡な関係でも、痛々しいかそうでないかをわけているのだと思います。