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車椅子ユーザーJリーグ観戦記【横浜Fマリノス/ニッサンスタジアム】

【最終観戦2023年7月】

このnoteは、車椅子ユーザーがJリーグ観戦に行く際の往復経路や、バリアフリー目線で見たスタジアムの使い勝手等を、利用した時の私感でまとめたものです。
試合内容は一切出て来ません。

ホーム等々力陸上競技場以外で、割と行き慣れているスタジアムは3つあります。
埼玉スタジアム2002(浦和レッズ)、味の素スタジアム(FC東京)、そしてニッサンスタジアム(横浜Fマリノス)。
最寄り駅迄のルートが容易な事、最寄りからスタジアム迄のルートがほぼフラットな事(歩道橋はエレベーター完備)、車椅子席が潤沢にある事が「行きやすい」と思わせる理由として充分な説得力があります。
今回は、ニッサンスタジアムについて書いていこうと思います。

席種多過ぎで大混乱

ニッサンスタジアムは、収容人数が多い分、席種も多種多様で、観やすさやピッチ迄の距離感等で細かく設定されていて、毎回感心させられます。
ビジター、ミックスと、それぞれタップすれば細かい席種がズラッと出てくる様になっていてとても見やすくて良いと思います。

ただ、コレだけ細かく席種を設定しちゃうと、どうしても情報量が増えてしまう。
横浜Fマリノスでは、車椅子ユーザーの優先駐車場も別途販売しているので、もう纏めきれなくなっちゃうのは理解出来るし、車椅子席販売が別ページなのは、他のチームでもよくある事なので、それ自体別に問題ではないのですが……。

「車椅子席はこちら」のリンクをタップするとチケット販売トップページに戻ります。
川崎フロンターレ戦をタップしても車椅子席はなく、車椅子席の案内ページをタップすると、車椅子席の場所の案内や駐車場の説明ページに飛び、「チケットはこちら」をタップするとチケットページトップに戻る、の無限ループ。

分からん!チケット買えなかったらどうしよう?!
と思って焦れば焦るほど、ループは続き、泣きそうになって問合せメールを送る。
マリノスの運営さんは凄く対応が速くて、割と速攻で返事が来て、「早!」ってビックリして、返信メールに添付されてるURLをタップすると車椅子席が登場するので、とにかくチケット買うというところまで来て、「アレ?コレ去年も全く同じ事したような?」とデジャブ感を味わうのです。

チケット確保してから返信メールに添付されたURLを辿ると、チケットトップが表示されました。

川崎フロンターレ戦のチケット販売欄、2個ある……。
ああああ、去年も「うおおおお!コレ気づかないよぉー」ってなったんだった。

車椅子席の販売欄にも、フロンターレのエンブレムつけられないですか?

チケット販売開始と同時にアクセスして、とにかく一刻も早くチケットを取りたいから、視覚が優位に働きます。
フロンターレのエンブレムがあれば、「よし!ここだ!」と迷わずタップしちゃうし、そこで1度「軽く思い込んでる」から、別の欄にもフロンターレチケットがあるとは思わないんです。

車椅子席の販売自体が、別ページからでないと買えないチームもまだあるので、「車椅子席について」の詳細ページを探しまくるループになってしまう。
しかもビジターのチケット購入は年1回。
来年チケット取る時には、このやり取りの事はすっかり忘れていて、おんなじループにまたハマるわけです。

チケット購入システム自体は、席種が多い割に分かりやすく整理されていてとても良いと思うので、別枠になってしまった情報も、「同じ試合の情報だよ」とビジターエンブレムを付けてくれると、チケット迷子で問合せメール発信という段取りが減ると思うのです。
どうかこの点ご検討頂けたらと思います。

無敵の新横浜駅

相鉄-東急線の相互乗り入れが始まり、新横浜駅の使い勝手は飛躍的によくなりました。
チームの交通アクセスの案内も、より洗礼されて分かりやすくなていると感じました。

路線バスの案内もスッキリと纏められていてとても分かりやすい。

JR横浜線を経由しないで行けて、武蔵小杉から10分で着くって「ほんまかいな?」って半信半疑でした(今までは菊名経由で30分は余裕でかかってた)。
私は他県民で、「中目黒迄は何処駅経由で〜」と出発駅で車椅子サポート依頼時にスラスラ言えますが、ここから新横浜駅迄は、何処で乗り換えるのが良いのか見当がつかないので「最終的に新横浜駅に行きたいです」というザックリ依頼で乗車。
今回は行きも帰りも武蔵小杉乗換えになったので、等々力行くのと結果あんまり変わらないな(笑)という結果になりました。

ホントに10分で着いたのに驚いたし、新横浜では「改札口周りは相鉄線駅員」「ホームは東急線駅員」さんが担当していたみたいです。
運用始めたばかりだから、帰りは改札から人が溢れて大混乱でした。
イベント毎にこの大人数が大挙してやってくるのですから駅員さんは大変でしょうけれども、JRの駅員さん達が「よっしゃー、ラッシュが始まるぜぇー」と大人数で待ち構えていた光景を思い出し、いずれ相鉄さんも「歴戦の猛者」になっていくのだろうと今後に期待です。頑張ってくださいね!

トイレとスタグル

新横浜駅からニッサンスタジアム迄は、ほぼフラットで距離的には1等々力位(1.5km以内かな)。
ニッサンスタジアム場外も、電動車椅子が単独で上がり下りするのに無理のない緩やかな傾斜なので、入場口迄安心して進めます。

トイレは新横浜駅に沢山あるので済ませておくのがおすすめ。
ニッサンスタジアムは規模の割に多目的トイレが少なく、ビジターは男女共に1個ずつのみ。
しかも一般用トイレの中に多目的トイレが作られているので、長蛇の列になったら多目的トイレが利用中かどうか確認もできないし、割り込んで入るのもなかなかの無理ゲーー。
長蛇ぶりに何度か諦め、列が短くなってる時に入口付近の人に声をかけて、やっと入れた感じでした。

ビジターに行ったら、現地のスタグルも楽しみのひとつです。
ニッサンスタジアムだと、残念ながら人気スタグルの列は、階段を上がって伸びる形を取っているので、車椅子ユーザーには絶望しかありません。
ガッカリしない為にも、新横浜駅構内か駅ビル、駅周辺で幾らでも調達出来るので、買って持っていく方が心の平穏を保てます。

買ったご飯は、場内の自席でも食べられますが、場外にも腰掛けてご飯を食べられるスペースが沢山あり、外の方が風が流れているので、お天気が良ければ入場前に食べた方が気分が良いかなと思いました。
特に今回は「真夏☀️」だったので場内は暑かった…。
逆に冬場は場内の方が、風が吹かないから過ごしやすいかもしれないです。

多彩な車椅子席

車椅子席は普通、ホームビジターmixでまとめられる事が多く、メインスタンドかバックスタンドでそれぞれの応援チーム寄りで観戦というシステムが殆どです。
ニッサンスタジアムには「ゴール裏車椅子席」の設定もある、数少ないスタジアムです。

去年勇気を出して「ゴール裏車椅子席」を買ったのですが、当日入場時になって「マリノス側」を買っていた事が発覚。
チケットは既に完売。
「ガーン」って素で言っちゃう程のショックでしたが、ここまで来たのだから試合は見たい。
「グッズ(ユニフォーム)外したら、入っても大丈夫ですか?」
と、運営さんに直訴して、その場でユニを脱ぎタオルマフラーをしまって、「完全忍者モード」で今後入る事はないであろうマリノスゴール裏車椅子席へ潜入。
ゴール裏車椅子席のマリノス側の立ち位置を知る事となりました。

去年と同じミスは絶対犯さないぞ!と何度も指差し確認して、今度こそビジターゴール裏車椅子席を購入。
フロンターレにはゴール裏車椅子席の設定はないので、車椅子ユーザーになってから初めてのゴール裏体験です。

ゴール裏車椅子席からのピッチの眺めはこんな感じ。

去年のほぼ真逆の位置で、ホームビジターに差はない感じです。
前席の人が立ち上がっても視界がなくなる事はなく、車椅子からでも視界が確保されるよう計算されていました。
ニッサンスタジアムは日韓W杯の時に作られたスタジアムで結構古いのに、車椅子利用者の視界迄計算されているのはビックリです。

ゴール裏はゲートフラッグを掲げられるので、アレ掲げちゃうと後ろの人の視界ゼロになるのを再認識した位かな。
アレ、掲げてる人は前が見えてるのはどうなのかな?とは正直思いました。
掲げるなら自分の視界は犠牲にした方が良くない?
自分さえ良ければ後ろはどうでもいいの?と素朴な疑問を持ちました。

で、ですよ。
車椅子席についた時、なんか荷物だらけでビックリ。
で、そこにわらわらと人が集まり出した。
どんどん人が増えて集会状態になっちゃった。
え?ちょっとそれはどうなの……と思っていたら、フロンターレの運営スタッフが来て「たむろされ」状態は解消されて、荷物は車椅子席1席分に纏められました。

えー?運営スタッフがいて、片付けてもまだ荷物があるって事は、チームが許可出してるって事?マジで?
と思っていたら、制服警備員が2人と、マリノス運営スタッフ1人が来て、荷物は撤去され、陣取っていたトラメガ持ち2人は外側に出されて、チェーンが引かれました。

そうだよね、ここはあくまでも指定席で、荷物置き場ではないよね。
マリノス運営さんの(当然かもしれない)毅然とした対応に、川崎フロンターレ内での車椅子ユーザーの「どうでもよさ感」がより如実に感じられて、ガッカリ感がマシマシに。
去年、マリノス側のゴール裏車椅子席で、こんな思いはしなかったから、余計に落差に絶望しました。

先日NHKの100カメで、川崎フロンターレの舞台裏が放送されて、普段見ないチーム運営とゴール裏グループの繋がりを具体的に知ることになり、ゴール裏グループが無償で応援活動をする姿は素晴らしいと思ったんです。それは事実。

それと同時に感じていた違和感は、「多様性に無頓着過ぎるのは何故?」ということでした。
地域密着を掲げ、それを実践して多くのサポーターを掴み、地元に根付いた川崎フロンターレ。
保育園や学校、病院訪問なども含め、地域の様々な活動に参入し、上手く溶け込めていると思うのに、ことチーム応援となると「健常者しか目に入ってない」というのはチーム運営にも常々感じていて、イベントも「健常者じゃないとそもそも無理」なのが殆ど。

今シーズンから呼びかけ始めた、等々力での選手入場時
「立ち上がってタオルを掲げ、選手を迎えましょう」
の違和感を呟いたツイートは、ツイート後1日で30万越えのインプレッションを数えた後も、ジワジワと伸び続けて34万を超えました。

フロンターレサポーターは、気付いているんだと思います。
人は誰しも年を取り、人生ステージも変わっていきます。
フロンターレが誕生した時既に社会人だった人達は、多くが人生の折り返し地点は超ええていて、サポーターになりたての頃のようには飛べないし走れないけど、変わらずフロンターレを応援しているのです。
家族と共にだったり、杖が必要になってる人もいるし、車椅子ユーザーになってる人もいる(私です)。

「立てない人がいる」事が想定出来ないチームだから、車椅子席を荷物置き場にしていても、「それがアリかナシか」が判断出来ない。
だから最終的にマリノス運営さんと警備員さんが来る事になり、試合中フロンターレ運営がガッツリ車椅子席にいないといけなくなっちゃったんだろうと思います。

フロンターレ運営が居るのに、前半試合中トラメガ持ちが車椅子席内に入って来るのを止められるなくて、ハーフタイムにまたマリノス運営が来てました。

まぁ、「そういうコト」なんです。

川崎フロンターレは、残念ながらバリアフリー目線が大幅に立ち遅れているんです。
コレはもうどうみても間違いない事実でしょう。
大好きなチームだからこそ、しっかりしてほしい。
バリアフリーについて、チーム運営全体でしっかり学び、意識を変えて欲しいです。
マリノスの様に、ゴール裏車椅子席であっても、安心して応援出来るチームになる事を切に願います。

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