上を見上げた日。
10:48 am
窓を開けるとバサバサと物凄い音がした。
庭へ行ってみると祖母が梅の木をワサワサと揺らしている。見上げてみるとたくさんの梅の実がなっていた。
軍手を渡され、私も一緒に梅を収穫することに。
長野の自宅には、前の住人が植えていた木や花をそのまま残して置くことにした。
春には梅の花が咲き、気付けば実がなった。
他にも桜や紅葉、チューリップ、三つ葉、まだ名の知らない花や草木がたくさん庭に溢れている。
今まで東京で暮らしてきて、植物に触れる機会は少なかったが、これからは目の前に広がる植物たちの名や香りを少しずつ覚えていきたい。
大量に採れた梅は祖母が梅漬けにするらしい。
スーパーには、梅漬け用の容器や梅干しを作るためのザルなどが並び始めた。
長野で過ごす時間は、自然や食を通してより四季を感じることができそうだ。
20:00 pm
全国で一斉に花火が上がったとのこと。
私が住む場所から見ることはできなかったが、窓を開けると微かに音が聞こえた。
綺麗な花火も、涼しげな浴衣も、下駄で歩く音も、屋台の雰囲気も、夏の夜の香りも、全部好き。
今年は東京と長野で、どんな夏の空気を感じることができるだろうか。
20:58 pm
日本の上空には、宇宙ステーション「きぼう」が通過した。
雲が多く、きっと見えないだろうと諦めつつも、窓を開けて空を見上げると、一番星のような明るい光が動いているのが雲の隙間から見えた。
焦ってスマホのカメラをとりあえず光に向けてみたが、後から見返してみると5秒間しか動画を撮影できていなかった。写真だともはやただの点。
でも肉眼ではちゃんと見ることができたのでよかった。
国際宇宙ステーションは地上約400km上空に建設された、人類史上最大の宇宙施設。特別な環境を利用して、宇宙での実験・研究や地球・天体の観測などを行っているそうだ。
なにがなんだかさっぱりわからないが、子供の頃から星や惑星、宇宙が好きで、星座図鑑を常に枕元に置いていた。いくつになっても、未知なる世界が宇宙に広がっていると思うと子供のように心が躍る。
きっと今世界中の人たちが不安な気持ちを抱えて日々を過ごしている。
緊急事態宣言が解除されても、まだ安心して外出はできないし、国内外で起こったショッキングなニュースを目にしてどうしようもない気持ちになったりもする。
悲しくなったり、苦しくなったり、疑問に感じたり、苛立ったりすることもあるけど、そんな時は一度立ち止まって、自分はどう在るべきか、まずは考えてみる。
休める時は少しでもいいから心と身体を休めて、たまには今日のように上を見上げてみよう。
どんな時も、愛を持って、しっかり自分や世界と向き合える私で在りたい。
武藤千春
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