読書感想文:世界の適切な保存
少し前に友達と仕事終わりにご飯に行った。
その日は木曜日で、友達に会うのは一週間ぶりだった。
「土日は何してたの?」
と友達に聞かれた僕は、
「うーん、何してたかな、家でゆっくりしてたかも。」
と答えた。
その後、スマホの写真を見返してみて
土日は、一人である展示を見に行っていたことを思い出した。
僕はまだ一週間もたっていない感動した思い出を忘れてしまっていた事実にショックを受けた。
これまでも数日前の出来事を忘れることはあったと思うが、
そのときに強く「大切な思い出を忘れたくない」と感じた。
それから偶然、近所の本屋で出会ったのがこの本。

https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000393966
エッセイ集であり、その中では多くの詩を引用しながら、
日常の記憶や感情を保存しようとする試みが書かれている。
著者が様々な記憶を、どう保存したらよいのか、保存したほうがよいのか、悩みながらも言葉を使って試行錯誤しているように見えた。
保存は、不断の抵抗である。変容しつづける世界の中で、保存されたものもまた、変化をこうむるだろう。
これを読んで、僕は変わることを恐れていたことに気がついた。
記憶を言葉や形にすると、そのときの感情や出来事がうまく保存できず、
意図しない状態に変わってしまい、そのまま残ってしまうのが怖かった。
でも意図した通りに保存したとしても、それが変わってしまうこともある。
それなら、抵抗し続けるほうが良いだろう。
意図しない状態になってしまっても、自分が見たことや感じたことを保存していけば、それが別の誰かによって保存され続けるかもしれない。
大切な思い出は、時によって嬉しい思い出になったり悲しい思い出になったりするかもしれない。だが忘れないですむ。
これからも読んだ本の記録をしていこう感じた一冊でした。
いいなと思ったら応援しよう!
