映画『アイミタガイ』(11/3鑑賞)
巡っていく想い、想いが繋げてゆくものに、じんわり満たされる作品でした。
親友を唐突に喪った主人公は、今も変わらずメッセージを送り続ける。彼女たちが紡いできたもの、二人も含めた人々に何が起こっていたか、次第に明らかにされていく。
踏み出せずにいる主人公は、過去にも先を塞がれるような経験をしている。その時、手を取って連れ出してくれたのが、亡くなった親友なんです。
物語の中には、そんな、前へ進みだせずにいる状況や、その背中を押す行為が、何度も描かれている。
アイミタガイ――“相身互い”と口にした人物は、「気ぃついてないだけで、いろんな想いが巡って、自分のところに届いてるんよ」と話す。
身近な相手を想っての言動もあれば、見知らぬ誰かを気に掛けての行為もある。時には本人の知らぬところで届くことさえあって。
別の人物が「いい人ばかり登場する物語を嘘くさいと感じていたけれど、今は信じたい」という風に語っていて、映画を観ての心境がまさにそれだったんです。
誰かへの想いが、気に掛ける行為が、巡ってゆく世界であったなら。そんな想いや行為が、人々を繋げ、世界を作っていくのなら。
その輪に在りたいと、形作る一人でありたいと、そんなことを感じた映画でした。
映画『アイミタガイ』本予告