ヨルダンの旅日記 VOL4 ペトラ編
2019年4月
エド・ディルを目指し、階段を登っていた。距離も時間の感覚もわからないが、すれ違う人々が「もう少しだよ」と声を掛けてくれたりしていた。必死すぎて、腕時計を見ることもなく。この先は観光客を乗せたロバを見ることなく、家畜の山羊や猫達が気ままに過ごしていた。
気持ちが良さそうだ。この人、猫が好きなんだろうなぁ。
ペトラの乾いた岩の隙間、必死に歩いたこの道が、優しさに溢れ、時間が止まったかのような空気感を今、再び感じる。
渓谷の中にある古代都市は、雨が降ったら鉄砲水が発生して大洪水だろう。晴れて良かったと心から思った。
人類と文化と自然で作られた傑作が文明なのか?でも、文明は栄えて滅びて次の時代へ移り変わっている。観光地となったペトラでお茶を沸かしたり、路上でお店を営んでいるご婦人は生活スタイルを変えながらも生活しているのかなと振り返って考えてみる。当時は何も考えずにひたすら階段を登っていたのだから…やっと、開けた場所にたどり着いた。振り返ると……
エド・ディルが見えた。やったぁ!!
ここが遺跡の一番奥にある巨大な遺跡である。エル・ハズネよりも大きい。圧巻の存在感。エド・ディル。たどり着いて良かった。
売店があった。でも、列に並ぶ気にもなれず。持ってきた1.5Lの水を飲みながら、ぼんやり目の前の巨大な遺跡を眺めていた。体力があるうちじゃないと観れない景色。この時は、ジャックのことも、あの少年の事も忘れていた。帰りは17:00にゲート前でドライバーのモエさんと待ち合わせだった。帰り道は、ずっと歩く事に決めていた。
この丘に登れば、また違う景色を見ることができたかも知れないが、タイムオーバー。そもそも、この場所の全てを1日で満喫しようなんて無理なのだから。帰り道も同じ道を歩いたのに、見える景色は違った。
https://note.com/ctojisan/m/maf5a311707a3