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ハラスメント解説(カスハラ1)〜カスハラの実態 セクハラより多い!〜

はじめに・・・
2025年1月10日の岩手日報に、「県内倒産76件、震災後最多」という記事が掲載されていました。同日の日経、河北にも東北6県の企業倒産件数が掲載され、前年比28.4%増の569件でリーマンショックの余波で倒産があった09年以来、15年ぶりの高水準だったとのこと。(日経は帝国データバンク、河北は東京商工リサーチの数字を使っていることから、若干数字が異なります。ここでは日経の数字の記載してます。)

 東日本大震災からの復興需要が終息し、コロナでの国の手厚い支援から一転返済ピークとなり、そこに物価上昇が重なり、今後も倒産が増える可能性が高いと言われています。中小企業の経営者は、環境・法改正等厳しい状況下、優先順位を的確に設定しながら課題解決に取り組むことが不可欠です。単なる保険提供者ではなく、法人向けリスク管理の専門家として、中小企業経営者の相談役となり、実践的なリスクマネジメントを支援していきたいと考えています。

カスタマーハラスメント(カスハラ)とは

これまで、企業の経営課題の一つとしてハラスメント対策を取り上げてきました。ハラスメント対応を怠ることは、SNSの普及による風評被害を引き起こし、最悪の場合、経営の悪化や倒産につながるリスクをはらんでいます。今回は、セクシュアルハラスメント(セクハラ)、パワーハラスメント(パワハラ)、マタニティハラスメント(マタハラ)に続く、新たな課題として「カスタマーハラスメント(カスハラ)」について解説します。

カスタマーハラスメント(カスハラ)とは? カスハラは、「顧客(カスタマー)」と「嫌がらせ(ハラスメント)」を組み合わせた造語で、2010年代前半から悪質なクレーム行為を指す言葉として使われ始めました。この言葉自体も比較的新しい言葉です。近年、労働環境の悪化を招く深刻な問題として認識されるようになり、厚生労働省も対策に乗り出しています。

カスハラの実態

厚生労働省が実施した「令和5年度(2023年)職場のハラスメントに関する実態調査」001259093.pdf によると、過去3年間にカスハラを受けた労働者の割合は10.8%にのぼります。これは、パワハラ(19.3%)よりは低いものの、セクハラ(6.3%)を上回る数値であり、顧客からの迷惑行為に苦しむ労働者が決して少なくないことが分かります。

また、2023年9月には、厚生労働省が労災の「心理的負荷による精神障害の認定基準」(心理的負荷による精神障害の労災認定基準を改正しました|厚生労働省) を改正し、労災の原因として「顧客や取引先、施設利用者等からの著しい迷惑行為」が正式に追加されました。その結果、2023年の労災認定件数(精神障害に関する事案の労災補償状況)では、カスハラが原因と認定されたケースが52件(うち女性45件)にのぼり、初年度ながらパワハラ(157件)に次ぐ高い水準となりました。(001276199.pdf  表2-8 精神障害の出来事別決定及び支給決定件数一覧)

まとめ

カスタマーハラスメントは、企業の経営基盤を揺るがしかねない深刻な問題です。特に中小企業においては、従業員の負担軽減や適切な対応策を講じることが、長期的な経営安定の鍵となります。法人向けリスク管理の視点から、企業がどのようにカスハラ対策を実施すべきか、今後も情報提供を行っていきます。



出典:
厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」
000915233.pdf
厚生労働省「職場におけるハラスメント 対策パンフレット」
001338359.pd

厚生労働省「職場における妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント対策やセクシャルハラスメント対策は事業主の義務です!!」
0000137179.pdf

あかるい職場応援団 -職場のハラスメント(パワハラ、セクハラ、マタハラ)の予防・解決に向けたポータルサイト-


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