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【勝手に読書感想部】湊かなえ作品
最近、湊かなえ作品の中毒患者っぽくなってる気がする。
慢性的に立ち寄る図書館の小説コーナーにおいて、作者の名前で五十音順に本が並んでいる中で、なんとなく真っ先に「ミ」のコーナーをチェックしている自分に気づいてハッとした。
湊かなえ先生は言わずと知れた「イヤミス」の女王で、少しモヤっとする読了感とか終盤のどんでん返しみたいなものに中毒性があり依存しちゃう傾向があるのかなと思っていた。
だけど、それだけじゃない。
私が夢中になって読んでしまう理由は多分、いろんな登場人物の視点からストーリーを見ることが出来るところにあると思う。
あらゆる角度からひとつの出来事を捉えることで、単純なハッピーエンドにはならない。
ただただ良い話、めでたしめでたし、とはならない。
人生もそんなにシンプルじゃないし。
私は、映画や漫画の戦いの1シーンで、たくさんの兵士や名もなき登場人物たちが簡単に命を落としていく場面を見ると本当に心が痛くなる。
ただのエキストラ、市民A、B、C…。描かれていないだけで、この人たちにも家族や友だち、死を悼む人がいるはずなのに。
「鬼滅の刃」の最終盤で大勢のモブキャラの鬼殺隊員たちが、敵の攻撃から柱を庇うために、圧倒的に力の差がありすぎる敵の前に束になって立ちはだかり、あっけなく死んでしまうシーン。
犬死にってやつか。心が張り裂けそうになった。
死を使うことでストーリーは盛り上がるが、一人ひとりの背景を想像すると虚しくなる。
あの漫画で、一番泣いた場面かもしれない。
話は盛大に逸れてしまったが、主人公から見たらハッピーエンドなお話も別の登場人物の視点から見れば全く別のストーリーになりうるということ。
湊かなえ先生の小説も押し並べてそういった構成の物語が多い気がする。
先日読了した「ポイズンドーター・ホーリーマザー」もそれぞれの視点が印象的だった。
こんな風に、メインストーリーの別視点を描いたり、一つの事象に対していろんな角度から掘り下げることで、いろんな事実が浮かび上がってくる。
時にはすごく胸くそが悪くなったり、イヤミス感が増したりする。そこに魅力を感じてしまっているんだと思う。
「ポイズンドーター・ホーリーマザー」を返却しに図書館に行ったその足で、私はまた小説コーナーの「ミ」の棚に吸い込まれていくんだろうな。