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【勝手に読書感想部】奇跡集:小野寺史宜

[あらすじ]

朝の満員電車の車内で起きるほんの小さな出来事。
偶然その場に居合わせた人たちのちょっとした行動や言葉が影響し合ってそれぞれの奇跡につながっていく。

[ネタバレと感想]

読了後、晴れ晴れとスッキリした爽快感がありました。
いつもの図書館でなんとなく、装丁のデザインとタイトルに惹かれて手に取ったのですが、今年読んだ小説の中でも本当に大好きな1冊になりました。
まさに奇跡。
文章もすごく読みやすくて面白く、読みながら笑みが溢れたりして。
本作を初めて読んだのですが、この著者の他の作品も読んでみたくなりました。

電車で同じ車両にたまたま居合わせただけの赤の他人。
全然知らない人同士で合っても、お互いに影響を与え合って私たちは常に生活している。そんな当たり前のことをフッと思い出させてくれるような作品でした。
自分の起こした行動が、巡り巡って誰かの奇跡につながっているといいなーと本気で考えました。

個人的にすごく好きだったのは、第一話で竜を放った陰キャでコミュ障の友だちいない大学生、青戸くんが勇気を出して体調不良の女性に声をかけたことで奇跡を獲得できたことです。
行動することで成功体験を得たことと、友だちが出来たことが青戸くんの自信と成長につながった。
第六話で、翌日の同じ電車内でイヤホンから音漏れしていた強面の男性に注意していたシーンはちょっと感動しちゃいました。
次の駅で降りで様子を見に戻ってきてくれた柑奈ちゃんも、痴漢冤罪を阻止した道香ちゃんも本当にステキ!心が洗われました。

社会の一員として世の中に発信していることとか、普段やってる仕事が、誰かの人生のちょっとしたシーンに共演できている。
そしてそれが誰かの奇跡や幸福につながっている。(逆ももちろんあると思うけど・・・)
本人が気づいていないところで、奇跡は確かに起きているんだ!
そう考えると自分の仕事も人生も、捨てたもんじゃないって思えます。

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