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【勝手に読書感想部】神様の暇つぶし:千早茜

[作品紹介]

ひと夏の恋。
そんな風に呼ぶにはあまりにも無邪気で純粋で激しい。

本来であればイキイキと生命力に満ちた年頃、20歳の藤子は父を亡くしてから屍のように堕落した生活を送っていた。
そんなある日、父の友人で有名なカメラマンの全さんが、突然、血まみれで藤子の家を訪れる。

[感想]

*一部ネタバレ含みますので、まだ読まれていな方はご注意ください。


藤子はいつも全さんを強く求めいたけど、全さんの前で変に自分を取り繕ったり媚びたり駆け引きしたりしませんでした。
たくさん食べて、飲んで、吐いて、思う存分泣いて、、藤子はありのままの「生」を全さんにぶつけていました。
藤子が周りの人の死に対してあまりにも鈍感な所も、生命力の強さと繋がっているように感じます。
こんなに、明らかに全さん顔色悪くて不健康な描写あるのに、藤子全然気づいてなくて、おかしかった。笑

間近に「死」が迫っている全さんは、生命力の塊のような藤子に惹かれ、「神様」と称した。
ある意味、恋人以上の、家族以上の、信仰対象の様な存在だったんでしょうね。
親子ほど歳の離れた2人の関係は側から見れば、いびつで奇妙なものであったのかも知れないけど、この2人が交わる事で、藤子は自分の持つ美しい生命力を実感でき、全さんは輝かしく誇り高い死に向かうことができたように思います。
「暇つぶし」にしては影響力ありすぎですよね。笑

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