【勝手に読書感想部】サファイヤ:湊かなえ
[作品紹介]
「真珠」「ルビー」「ダイヤモンド」「猫目石」「ムーンストーン」「ガーネット」の7つの宝石を題材にしたショートストーリー。
きらびやかな輝きを放つ「宝石」が併せ持つミステリアスでダークな側面をモチーフに、イヤミスの女王・湊かなえ先生ならではの切り口で描かれた短編集です。
[感想]
*以下ネタバレ含みますので、まだ読まれていな方はご注意ください。
個人的には、かなり好きな作品です。
作中にあった表現を引用すると、文字通り「砂を飲み込んだ」ようなあと味の悪い作品が多い湊かなえ先生の作品の中では、むしろ爽やかと言ってもいい!笑
どんでん返しやイヤミス展開もあったけど、「ムーンストーン」や「ガーネット」はほっこり心温まる感じ。
全体的に展開も早く読みやすかったので、あっという間に読んでしまいました。
同じテーマでもっと色んな宝石の短編を読んでみたくなりました。
特に、表題になっている「サファイヤ」、そしてそのアフターストーリーである「ガーネット」はちょっと感動的でしたね。
人生でたった1度、最初で最後のおねだりをしてしまったために、恋人を失ったマミ。
彼を失ってからも自分の人生を一生懸命生きた。
復讐という行為に陥らず、真っ当に誠実に歩んだからこそ、人生において成果を出すことができて、その節目節目で彼が夢に出てきてくれたんだと思います。
彼が騙した相手から届いたファンレターは、まるでこの差出人を介した彼からのラブレターのようでグッときました。
騙された相手が彼を恨んでいなかったのが分かったことで、マミの心のほころびも浄化された。もう夢で彼に会う必要がなくなった。
そんなふうに解釈してます。
最後のプレゼントになったサファイヤの指輪を「人生そのもの」と言いきった姿もなんかよかったですよね。
湊かなえ先生、こういうどんでん返しだったら、ホントに大歓迎です!笑