オリジナル 『腹筋は高回数』という都市伝説
YouTubeの動画で腹直筋のパートがすべて終了しましたので、動画の内容から少しだけ掘り下げて、腹直筋の特徴や効果的なトレーニングについて考えていきます。
※動画を見てない方も読み進められる内容にしています。
※この記事内で腹筋という言葉がたくさん出てくるので、使い分けています。
筋肉を指している時には「腹直筋」、腹筋運動を指している時には 「腹筋」にしていますので、ご注意ください。
■ 腹直筋を解剖する
まず、”腹筋”と呼ばれる「腹直筋」について少し触れていきます。
腹直筋はとても認知度の高い筋肉でイメージしやすいのではないでしょうか。
上の画像が腹直筋の解剖図です。腹直筋は、みぞおち辺り〜股(恥骨)まで付いている筋肉で、縦長で表面積の大きな筋肉です。
腹直筋は「6つに割れる」などと言われますが、トレーニングによって筋肉が6つに割れるわけでなく、腱画(けんかく)という腱によって、もともと区切られている(割れている)ものが、体脂肪の減少で、溝ができ、外から見えるようになります。この構造によって割れたカッコイイ形になるわけです。
・なんで、6つに割れてるの?
前述したように、腹直筋は、腱画といいう腱によって分けられています。
多くの筋肉は1〜2の関節をまたいでいますが、腹直筋は脊柱にある多くの関節をまたいでいます。この構造は、筋肉をいくつかに分けて部分的に収縮できるようにし、動きの微調整を可能にしている、ということが考えられます。
ちなみに、同じく動きを細かく微調整する筋肉でいうと、背面にある「脊柱起立筋」は起始停止を細かく分けることで、微調整を可能にしています。
この構造は、トレーニングを考える上でも使われます。
腹直筋が割れて段に分かれていることで、クランチなどの胸椎を丸める動きでは、腹直筋上部(停止側)が主力として使われ、レッグレイズのような骨盤周辺の動きでは、腹直筋下部(停止側)が主力で使われる、ということが起きるのです。(完全に鍛え分けは出来ません)
また、両サイドに割れているのも左右の側屈に貢献するため、と考えられます。
・腹直筋の形は変えられる?
腹直筋の形には個体差があり、綺麗に6つ並んでいる腹直筋ばかりではありません。これは腱画の配置の違いで、均等に6つ並ばない場合があるのです。また、サイズの違いや少しずれて段違いになっていたりもします。
これらの見た目は、遺伝的な要素が強く、残念ながらトレーニングによって修正することはできません。
■ スクワットやデッドリフトで十分?
「スクワットやデッドリフトでも、腹直筋は使われるから、腹直筋のトレーニングは必要ない」と言われることがあります。実際、スクワットやデッドリフトで、腹直筋は、体幹部を固め、姿勢を保持に貢献しています。
しかし、シットアップやレッグレイズなどの種目と比べると、筋活動は小さく、腹直筋のトレーニングとして優れているとは言えません。加えて、スクワットやデッドリフトなどで、体幹部を固定しているような筋活動(アイソメトリック収縮)では、筋肉は太くなりにくいのです。
腹直筋も他の部位と同じように、ある程度の伸張と収縮が起きる種目で鍛える必要があります。
ただし「腹直筋を割りたい!」という方に関しては、全身的に脂肪を落とす必要があります。体脂肪を落とすことを目標に筋トレをする場合、腹筋よりもカロリー消費の大きい、スクワットやデッドリフトなど、大筋群(大きな筋肉)のトレーニングの方が優れていると言えるでしょう。
・腹直筋を大きくしたい → 腹直筋のトレーニング
・体脂肪を落としてお腹を割りたい → スクワットやデッドリフトなどの大筋群のトレーニング
■ 腹筋をすると腰痛になるのでは?
腹直筋のトレーニングである「シットアップ」は、腰を痛めやすい、という理由からやるべきではないと言われることも多い種目です。シットアップは様々なバリエーションがあり、すべてのシットアップで腰を痛めやすい、ということはありません。
⬜︎ 腰への負担か過大になるシットアップ
このように膝を伸ばして行うシットアップでは、腰を反った姿勢で股関節を屈曲させる(膝を上げる)機能を持つ「腸腰筋」が強い力を発揮し、腰(腰椎)への負担が大きくなります。腰を痛める、と言われるのは、これらの理由によるものです。膝を伸ばしきったシットアップでは、腸腰筋の貢献も大きく、起き上がる動作内でメインで使われる筋肉が少し変わってしまうため、腹直筋・腸腰筋、どちらの筋肉の刺激としても中途半端になります。
この腰への負担は、膝を上げた姿勢で行うことで改善されます。(腸腰筋が緩むため)床で行う場合には、膝を曲げれば、腸腰筋の関与は抑えることができます。
※ポイントは膝ではなく、股関節を屈曲させること
膝を伸ばして行うシットアップでは、確かに腰への負荷が大きくなり、痛めるリスクは高くなります。怪我のリスクを下げるためにも、膝が体幹部より高い位置になる種目で行うことをおすすめします。
では、腹直筋を鍛えるには、具体的にどんな種目・方法で行えばいいのか。腹直筋の特性や構造から効率的に鍛えるテクニックを紹介していきます。
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