アリスの昆虫教室 冬に見られる昆虫編
アリスの昆虫教室 第35弾です。

アリス:みなさん、おはようございます!昆虫大好きな大食いモデル、アリハウこと、アリス・ハウエルです!
チカノベ:昆虫に詳しい、天の声のチカノベです!

アリス:この番組は、私がチカノベさんと一緒に、昆虫について説明するものです。
チカノベ:できるだけ、昆虫の実物写真や、えぐい表現を見せない、昆虫が苦手な人のための番組でもあります。

アリス:今回は、第35弾、冬に見られる昆虫編です。
チカノベ:冬に見られる昆虫を一部紹介します。チカノベが知っている・詳しい昆虫の話は、チカノベも説明しています。

チカノベ:まずは、なんといっても、セッケイカワゲラです。
アリス:セッケイカワゲラは、カワゲラ目 クロカワゲラ科に分類される昆虫の一種、またはセッケイカワゲラ属全てを指します。
チカノベ:この昆虫は、昆虫界でもすごいんです。どこがすごいか、具体的に説明お願いします。
アリス:はい。この昆虫は、冬眠は一切せず、真冬でも活動する昆虫です。マイナス10℃でも元気に動きまわれます。昆虫では珍しく、恒温動物のように、自分の体の温度を保つ能力があります。
チカノベ:夏はどうするんですか?
アリス:普通は、昆虫は寒いと体が動かなくなってしまいますが、この昆虫は逆に暖かい季節が苦手で、夏の間は幼虫の姿で川底で寝ています。秋から冬にかけて、寒くなってくると成長し、真冬に成虫になります。
チカノベ:冬って昆虫も植物もほとんどいませんが、成虫は何を食べますか?
アリス:雪の中にいるプランクトンを食べます。
チカノベ:夏が苦手で、冬に活発になる昆虫ってあまりいないですよね。セッケイカワゲラは、面白い生態の昆虫ですね。

チカノベ:次は、冬に見る機会が比較的多いと思う、カマキリの卵鞘(らんしょう)です。図は、日本でよく見られるカマキリ3種(オオカマキリ、ハラビロカマキリ、チョウセンカマキリ)の卵鞘です。
アリス:カマキリは、カマキリ目に分類される昆虫の総称です。
チカノベ:これらのカマキリはどうやって冬を乗り越えるのですか?
アリス:カマキリの卵は、密度の高いスポンジ状になっていて、そのスポンジが断熱材の役割を果たしていて、卵を寒さや乾燥から守っています。そのスポンジのようなものの中に、卵が200〜300個入っています。
チカノベ:200〜300匹兄弟なんですね。
アリス:昆虫は、成虫まで成長し、交尾して産卵するまでに至る個体はごくわずかなので、一度にたくさんの卵を産む必要があります。
チカノベ:カマキリの卵に関する情報は他にありますか?
アリス:ありますよ。カマキリの母親は秋に産卵し、翌年の春に卵が孵化します。孵化した幼虫は前幼虫(ぜんようちゅう)と言い、生まれてすぐに脱皮をし、一齢幼虫になります。一齢幼虫は、8mm前後の小さい体で、ショウジョウバエやアブラムシなどの小さいサイズの昆虫を食べます。
チカノベ:産卵から一齢幼虫の話までしてくれるとはありがたいです。

チカノベ:次は、フユシャクです。
アリス:フユシャクとは、チョウ目 シャクガ科に分類される昆虫のうち、冬に活動する種類のことを指します。
チカノベ:図は、フユシャクの交尾です。図の通り、フユシャクのメスには翅がありません。
アリス:フユシャクの交尾は、晩秋から初冬にかけて見られるもの、真冬に見られるもの、晩冬から春先にかけて見られるものなど、種類によって活動時期が異なります。成虫は寒冷時期にしか見られません。
チカノベ:冬以外は何をしていますか?
アリス:冬に交尾した成虫のメスが産卵し、春に卵が孵化します。幼虫は、種類にもよりますが、ナラやクワなどの広葉樹の葉を食べます。10〜15日ほど葉を食べた幼虫は土の中に潜り、蛹になります。11〜3月頃に成虫が現れます。
チカノベ:そもそもなぜ冬に活動するのですか?
アリス:天敵が少ないのと、病原菌がおとなしくしているのと、過去に起こった地球の寒冷化に適応して、暖かい季節に活動する種から進化したからと考えられます。
チカノベ:冬に活動するのにはメリットがあるんですね。
アリス:ついでに申し上げると、フユシャクのメスに翅がないのは、体の熱をを奪う原因となる翅を短くして、寒さへの耐性を高めているのと、翅にかけるコストを少なくして、その栄養分を腹部に割り当て、よりたくさんの卵を産めるようにしていると考えられます。
チカノベ:他にも、メスは翅がないけど、オスには翅があるガの仲間や、他の種類の昆虫はいます。興味のある方は、調べてみてください。

チカノベ:次は、チョウやガの卵や蛹です。図は、オビカレハの卵、チャドクガの卵、アゲハチョウの蛹、イラガの繭です。
アリス:チョウやガは、どちらもチョウ目で、越冬をするのに、卵で過ごす種類や、幼虫で過ごす種類、蛹で過ごす種類、フユシャクのように成虫で活動する種類もいます。
チカノベ:図の、チャドクガは、黄色っぽいふわふわの繊維に卵が包まれていて、毒のある毛、つまり毒針毛(どくしんもう)が含まれていて、触ると湿疹が出ます。チャノキ、ツバキ、サザンカなどの葉で、このようなものを見かけたら、季節関係なく、触らないようにしてください。
アリス:卵で越冬するチョウやガの多くは、暖かい季節になると孵化します。オビカレハは年1回発生で、3〜4月に孵化します。チャドクガは年2回発生し、冬越しした卵は、4〜6月に孵化します。
チカノベ:オビカレハは無毒ですが、チャドクガは幼虫に毒針毛があり、蛹や成虫にも、幼虫時代の毒針毛が残っていて、一生にかけて毒を持っているので、注意が必要です。
アリス:蛹で冬を越すチョウやガも、暖かい季節に羽化します。アゲハチョウは夏型の成虫が産卵した幼虫が秋頃現れ、10月末頃蛹化し、翌年の3月末まで約5ヶ月もの間、蛹で過ごします。
チカノベ:東北地方のような、寒い地域だと、もっと遅く羽化しますよ。南東北では、3月末になっても羽化しませんでした。
アリス:イラガは、どの種類も、幼虫時代は毒があり、電気虫と呼ばれています。刺されると痛みは10年忘れないと言われていますが、毒のあるのは幼虫のうちだけです。
チカノベ:イラガの繭は、陶器のような見た目で、鳥のフンのような色をしていることから、スズメのタンツボや、スズメの小便ツボと呼ばれていて、鳥のフンのような模様は、個体ごとに違う模様で、見ていて面白いです。
アリス:昆虫に詳しいチカノベさんには、イラガの繭で勘違いされたことがあるんですよね。
チカノベ:そうです!生き物や釣りが好きな年上の男子が同じ小・中学校にいて、たまに学校の休み時間遊んだり、放課後一緒に帰ったりする仲でした。小学校に生えている木にイラガの繭を見つけ、卵のような見た目から、これガの卵だ!とチカノベが言うと、その男子は否定し、ハエの卵だよと言いました。
アリス:卵ではないわ。
チカノベ:チカノベが本か検索か何かで調べたところ、イラガの繭で間違いなく、イラガの成虫が普通出てきますが、ハエが出ることもあり、それはヤドリバエ(寄生バエ)です。その男子が捕まえたイラガの繭には、ハエが寄生していたようです。元々はイラガの繭です。
アリス:チョウやガの卵、幼虫、蛹等には、寄生バエや寄生バチなどが発生することもあります。寄生する昆虫は、チョウやガの卵、幼虫、蛹等に卵を産みつけ、孵化した幼虫が、チョウやガの体を食べて成長し、蛹になり、成虫になります。

チカノベ:次は、ツチイナゴの成虫です。
アリス:ツチイナゴは、バッタ目 イナゴ科に分類される昆虫の一種です。
チカノベ:新潟、関東以南の本州、四国、対馬、南西諸島に生息し、残念ながら、東北には生息していません。寒すぎるのか?
アリス:ツチイナゴは、バッタ目でも珍しく、成虫で冬を越します。
チカノベ:バッタ目の多くは、卵で冬を越します。
アリス:ツチイナゴの越冬方法は、代謝活動を落として生理的に冬眠するのではなく、日当たりの良い、暖かい場所で過ごします。完全に眠るのではなく、暖かい日には日光浴をします。あまりにも寒すぎると、春まで過ごせず、凍死します。
チカノベ:だから、東北にはいないんですね。
アリス:バッタでは、キリギリスの仲間が成虫で越冬しますが、他のイナゴの仲間などは、成虫では冬を越せず、冬には姿が見られません。
チカノベ:ツチイナゴはなぜ成虫で越冬するのですか?
アリス:天敵のカマキリやクモ(昆虫ではない)などがいないからだと考えられますが、小鳥には標的にされます。
チカノベ:小鳥にとって、冬の昆虫は食糧の少ない時期の貴重なたんぱく源なのかもしれませんね。

チカノベ:最後は、オオスズメバチの女王バチです。
アリス:オオスズメバチは、ハチ目 スズメバチ科 スズメバチ亜科 ススメバチ属に分類される昆虫の一種です。
チカノベ:スズメバチの新女王バチは、秋にオスと交尾したあと、冬の間は樹洞や枯れ木、倒木、土の中などに隠れています。場所によっては、巣にとまったまま冬を越します。たまに、冬に洗濯物で暖をとっていることがあります。そういった場合は、刺激しないでくださいね。
アリス:スズメバチの女王バチは、毒針は持っていますが、働きバチよりは温厚で、直接手で握らない限り、刺しません。女王バチは、働きバチほど外では活動せず、出不精で、大半は巣の中で過ごします。
チカノベ:気になっていますが、スズメバチの女王バチが、一生のうちに産む卵や、寿命など、女王バチの生活が知りたいです。アリスさんが知っていることだけ教えてくれますか?
アリス:スズメバチの女王バチは、働きバチと同じ卵から生まれますが、卵を産みつけられた場所や待遇の違いで決まります。
チカノベ:どんな違いですか?
アリス:働きバチは、小さな育房(子どもの育つ部屋)で育てられますが、女王バチは広い育房で育ちます。餌は、女王バチは働きバチより特別で多い餌を与えられます。
チカノベ:同じハチ目のアリと似ていますね。
アリス:秋には、他の巣のオスバチと一度だけ交尾し、冬を越し、春になると、単独で巣作りと産卵、子育てをします。働きバチが誕生すると、巣作りや狩り、子育てを全て働きバチに任せ、女王は産卵のみします。寿命は1〜3年で、一生の産卵数は200万個とされています。
チカノベ:ビッグマザーですね。
アリス:あっ、オスバチは、メスと交尾したあと、冬の寒さで死にます。
チカノベ:この前買った2冊の本で見ましたが、スズメバチのオスバチには毒針がありません。オスバチを捕まえると、毒針があるふりをするそうです。ただし、自然界では、メスのハチに会う機会が多いので、捕まえないでください。スズメバチのオスは、秋にペットショップに並ぶことがあるので、見たい方はペットショップで観察したり、飼ってみたりしましょう。

チカノベ:冬に見られる昆虫を家に見つけたの注意点があるんですよね。
アリス:はい。夏の昆虫採集とは違い、持ち帰ってはいけません。カマキリの卵やチョウの蛹、その他の昆虫を、屋内の暖かいところに持ち帰ると、昆虫たちは春がきたと勘違いし、卵が孵ったり、蛹が羽化したり、昆虫が餌を探そうとして活発になってしまいます。
チカノベ:室内は人がいるといつでも温暖ですからね。
アリス:冬は、カマキリの餌となる他の昆虫や、チョウの餌となる花の蜜、バッタやイモムシ・ケムシなど、草食の昆虫だと餌となる植物はほとんどありません。
チカノベ:実際に、自然界でも暖かい日がると、春だと勘違いして目覚めて、凍死や餓死とかありますもんね。
アリス:カマキリは共食いをさせたり、チョウは脱脂綿にスポーツ飲料を染み込ませたものを与えたりもできますが、カマキリを共食いさせるのはかわいそうですし、チョウも自然界にないものを摂食してしまうことになりますので、冬に見つけた昆虫は、その場で観察するようにしてください。
チカノベ:暖かい季節になったら、見つけた昆虫を飼い始めたらいいですね。

アリス:今年最後の昆虫教室ですが、チカノベさんには、昆虫に関する目標や計画があるんですよね。
チカノベ:はい。まず、2025年ですが、夏に昆虫の本や採集グッズを爆買いし、読書をして、昆虫に更に詳しくなります。昆虫採集にも出かけ、昆虫に関する記事を増やしたいです。
アリス:ってことは……?
チカノベ:昆虫が本当に好きな人に向けた、自分で見つけたり捕まえたりした昆虫の実物写真をアップすることです!
アリス:アリスの昆虫教室外よね?
チカノベ:もちろんです。アリスの昆虫教室は、昆虫が苦手な人も読めるように、昆虫の写真は一切ないですが、アメーバやnoteで、普通に昆虫の写真をあげている人が結構いるので、最初に昆虫の写真が出ると注意書きしておけば、アップしても問題ないと思います。
アリス:そうよね。じゃあもうアリスの昆虫教室 番外編の昆虫探しはないってこと?
チカノベ:多分そうですね。時々、見つけた昆虫で気になるのがいたら、イラストにしてアップします。
アリス:私もチカノベさんのそういった記事は必ずチェックします。
チカノベ:2026年ですが、特に欲しいものがなければ、バスで市外の遠い場所に昆虫採集に出かけたいです。計画もしています。バスの乗り継ぎや周辺の飲食店、昆虫採集OKかどうかなど調べて計画してメモっています。
アリス:楽しみね〜。
チカノベ:見てみたい昆虫は、アオスジアゲハやウバタマムシ、オオミズアオ、アカスジキンカメムシ、イボタガ、アサギマダラ、オオトビサシガメ、ツクツクボウシなどです。
アリス:チョウ目ばかりですねぇ。
チカノベ:チョウ目好きだし、この前買った、にほんの昆虫図鑑にチョウやガたくさん載っていたので。この中に、図鑑に載っていない種類もいますよ。
アリス:昆虫図鑑を買ったら、昆虫を探しに行きたくなる気持ちはわかるわ。
チカノベ:アリスの昆虫教室は、昆虫が苦手な方のための教室でもあり、昆虫の漫画(アリスの昆虫記)は、昆虫初心者が主なターゲットで、昆虫の実物写真を並べるチカノベ昆虫記録は、昆虫が好きな人のための記事です。
アリス:私もチカノベさんも、昆虫の魅力を多くの人に知って欲しい気持ちがあります。
チカノベ:いろんな層の方に、昆虫記事を観てもらえると嬉しいです。

アリス:アリスの昆虫教室第35弾、冬に見られる昆虫編はこれで終わりです。
チカノベ:もっと冬に見られる昆虫について知りたい方や、質問がある方は、コメントくださいね!

チカノベ:では!
アリス:またお会いしましょう!