#病院勤務
アンディ【ショートショート】
入院病棟の、ナースステーションに近い個室は、重病の患者が入る。一秒でも早く、駆けつけるためだ。認知症などで、目が離せない人もいる。
9号室の男性は、後者だった。
部屋入口のネームプレートに『ご利用者様』とある。
路上で倒れていたところを運び込まれ、自分の名前も住所も覚えていない。
唯一の持ち物は、空っぽのトートバッグだけだった。
「おはようございます。清掃に入ります」
清掃員の明美は
入院病棟の、ナースステーションに近い個室は、重病の患者が入る。一秒でも早く、駆けつけるためだ。認知症などで、目が離せない人もいる。
9号室の男性は、後者だった。
部屋入口のネームプレートに『ご利用者様』とある。
路上で倒れていたところを運び込まれ、自分の名前も住所も覚えていない。
唯一の持ち物は、空っぽのトートバッグだけだった。
「おはようございます。清掃に入ります」
清掃員の明美は