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子どもに食の苦手を楽しみながら好きになってほしい

「食の苦手を楽しみながら好きになってほしい」

保育園管理栄養士の先生から非認知能力の観点から食育について意見を聞かせてほしいとメールをいただきました。

私は普段、保育士向けに自己肯定感を土台にした非認知能力を育てるという内容の講師をしています。今回は、「食育」の視点から非認知能力を考えてみました。

食育の現場はもちろん、保育の現場や子育て中の親御さんたちにも読んでもらえたらうれしいです。


食育活動には非認知能力を育てる要素がたくさん詰まっている

「皮をむく」「種を取る」「ちぎる」など料理の体験活動は、非認知能力を育てる要素がたくさん詰まっています。

・どうしたらうまくむけるか調整する力(調整力・アレンジ力)

・むけたらどんな形?どんな色?どんな香り?(想像力)

・作業した食材が給食になり、みんなが美味しいと言ってくれる(達成感・自己有用感・自信など)

・またみんなの役に立ちたい(社会性・チャレンジ精神など)

特に自分たちが関わり、それを食べてもらい、褒められ、感謝の気持ちを言ってもらえる達成感・自己有用感(自分を必要としてもらえた感覚)は、子どもたちの育ちにとても重要です。

この力が土台となり、またチャレンジしたい気持ちや別の事にも取り組んでみようという気持ちにつながっていくのです。

自己肯定感が高いと非認知能力は大きく育つ

料理をして、誰かが美味しいと言ってくれるとうれしいし、もっと美味しくつくるぞ~となりますよね。

自分は、役に立っている・これでいいんだ・自分には価値がある。これが自己肯定感です。

自分にはできると信じられるからこそ失敗しても柔軟に何度もチャレンジできるのです。試行錯誤したり、忍耐強くやり続けたり、柔軟に対応したりできる力こそ非認知能力です。

非認知能力は、育てようとしなければ育たたない力なので幼児期は、身近な大人が育つように意識しながら関わることが大切になってきます。

楽しく食べる経験は食に興味を持つ土台となる

今の世の中、共働きする家庭が多くなり、親子のコミュニケーションの場となる家族団欒が減少しています。生活スタイルが多様になり、食事の時間はバラバラ、朝食の欠食、肥満など問題は深刻です。

幼児期は、楽しく食べる体験を通して、こどもの食への関心を育むことです。食に関する様々な経験は、こどもたちのこれからの土台になります。

野菜を洗ったり、切ったり、気を付けながら火を使ったり、大人とコミュニケーションをとりながら、試行錯誤しながら出来上がった料理は、何もしないで食卓に着いた時よりも興味がわき、おいしく感じるかもしれません。

この子たちが大きくなった時にどんな食卓を囲んでほしいか。どんな大人になってほしいか想像すると、食育の大切さも見えてきますね。

今ではなく「やがて」の気持ちで

苦手な食べ物を食べようと挑戦したり
この料理にはどんな材料が入っているんだろうと考えたり
食べる楽しさを感じたり
誰かと一緒に作り上げ完成した時にうれしいと感じたり
体験しなければ感じない感情です。

その心地よい感情が繰り返されると、やがてその子の未来への土台となります。非認知能力はそうやって育っていくのです。

非認知能力は、見えない力なのでなかなか成長を実感しにくいですが今ではなく「やがて」子どもたちの力になることを信じて関わってみてください。

食育チームの方向性を整える

保育現場で食育を進めていく場合、チームの方向性の共有も大切です。

食育活動に関わる大人たちは、食育活動を通してどのような事を育てたいか、どのように育てていくかなどを事前に話し合い、共有しておくことも大切です。

立案計画は以下のような流れです。

①育てたい力を考える

②その力を伸ばすための活動を決める。

③力を育てるための進め方や言葉のかけ方などを関わる大人たちで共有する

④(ここ重要)報告会や動画などでの振り返り。

振り返りが最も重要です

企画して活動したら振り返りを必ずしてください。

振りかえってほしいことは

・どんな活動や言葉がけをしたら、子どもたちの心が動いたようだったか?

・やりたい!食べたい!うれしい!またやってみたい!そんな気持ちを引き出せたか?

・できた、できない(認知)で判断せず、やろうとしている、食べようとしている事に注目して声をかけられたか?

・子どもたちの思いをしっかり受け止めて、肯定的に返せたか?

大人は、子どもたちを出来た出来ない(認知)で見てしまいがちです。でもそうではなく、子どもたちが葛藤したり、努力したり、苦戦したり、達成感を感じたり、そんな心の動きを認めてあげる事が出来たか?関わる大人たちで振り返ることが非認知能力を育てる上で大切になります。

食事はそもそも楽しいこと

子どもが幼い時にはまず、「食事は楽しいこと」と思うことが大切。

食事中のルールばかりの声かけが続くと

「叱られるから食事の時間は嫌いだ」

「早く終わりにしたい」

などの印象がつき、それを払拭させるのは難しくなります。

子どもが嫌いなものを食べずに残したとしても、大人が美味しいと言いながら食べるのを見せたり、絵本や体験活動で食べてみようと思う心を育ててください。

今回、食育の視点から非認知能力を改めて考えるきっかけを作ってくれた管理栄養士の先生に感謝いたします。

未来の土台となるこの幼児期に非認知能力にも関心をもち食育に取り組む栄養士さんがいるのだと思いうれしくなりました。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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