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ちょっとニッチは児童文学12 「羽つきスキップ」

 こんにちはMaemichiです。「ちょっとニッチな児童文学」へようこそお越しくださいました。
 今回はジェンダーフリーアンソロジー『TRUE Colors』より水野瑠見さんの「羽つきスキップ」をご紹介します。
いつもながら、多くのネタバレとMaemichiの勝手気ままな感想が幕を開けます。それではどうぞ。

木之本大希と生理とナプキン


 中学生になったばかりの木之本大希(きのもとたいき)は見た目も中身も子供っぽいと自覚している。級友の間で交わされるクラスの女子を対象としたエロい話は苦手。中学生になると「オレらもう中学生だし」と背伸びする周りの男子の変化についていけないでいる。

 ある日偶然にも女子が落としたナプキンを、それと気付かず拾ってしまう。目の前にいた女子に渡そうとすると、悲鳴をあげて逃げられてしまった。気づいた後に落ち込む大希。
まわりの中学生男子たちは生理について、「プールの時も簡単に休めていい」「わがままになるらしい」「ちょこっと血が出るだけ」と口にしている。

 放課後、委員会で遅くなった大希は、幼馴染の一花(いちか)と遭遇する。一花に付き添って保健室に行くと一花は生理で体調が悪くなり、たびたび保健室を利用していることを知る。

 自宅に帰ると、姉が生理痛でソファの前でうずくまっている。大希は自分がナプキンを買いに行くと提案し、ドラッグストアに向かう。ドラッグストアに着くと、ナプキンの種類があまりにも多くどれを買えばいいのかわからない。そこで恥ずかしさを忍んで店員に尋ねる。家に着いて姉にナプキンを渡すと、「ガキっぽいと言ったのは撤回しとく」と言われ、少し誇らしい気持ちになる。

Maemichiの感想です

 おそらく児童文学の題材として取り上げられることが少ない、女の子の生理やナプキンに関する話題が多く盛り込まれている。大希がナプキンを買いに行く時に戸惑った、「羽つき」「羽なし」「夜用」「昼用」などの、種類や大きさを、全く知らない男の人も多いことでしょう。

男性たちに問いたい。あなたは女性のためにナプキンを買ったことがあるだろうか。

 これができた大希は間違いなくオトナです。恥ずかしいのを承知の上で、誰かのために行動できたから。人が困っているとき、苦しんでいるときに自分から手を差し伸べること、それができるのがオトナだ。「羽つきスキップ」では思春期男子がナプキンを買いに行くのが、いかにハードルが高いことが知ることができる。中学1年生には高難易度なミッションをやり遂げた彼には拍手をおくりたい。

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