水沢腹堅🧊(さわみずこおりつめる)
(約800字)
あまりにも部屋が冷えるため、季節の本を開きました。
24節気72候の71番目です。
1月25日から29日は、第71候。
節分までが、一年のひと区切りになります。
『 水沢腹堅 』とは、
沢に氷が厚く張りつめるという意味があります。
最低気温を記録する時期でもあります。
沢の水は流れているものですが、それが
分厚い氷になる時期ですから、非常に寒いわけです。
最強寒波が襲った今年の冬は、みな苦労しています。
静岡でも、実家の方では雪が降ったようです。
私が小学生のときは、積雪でバスが止まりました。
ランドセルを背負って、高学年の上級生が手を引いて、列を作って帰りました。
バスで帰るのに20分程度ですが、子どもの足では1時間半以上かかりました。
父はサラリーマン時代に、ひと冬に数回ですが、雪道用のチェーンを巻いて会社に通勤しました。
静岡市内でも市街地では積もらないため、途中でタイヤのチェーンを外す手間があり、忙しい時期でした。
氷柱(つらら)も、池やシシオドシに出来ていて、見るだけで縮こまりました。
氷柱の語源は、滑るような様子を表す「つらつら」が変化したといわれています。
氷を美しいと思った日が遠く感じられます。
清少納言が氷柱を「水晶の滝」と詠んで、その美しさを称えたといわれています。
氷の表面にできる模様を「氷紋」、
周りの風景を映す氷を「氷面鏡(ひもかがみ)」と呼びます。
ひとくちに「氷」といっても、近代になるまで簡単には手に入れるのが難しいものでした。
冷蔵庫が当たり前に流通する時代になってからは珍しくないですが、昔の氷は価値が違ってありがたい存在だったのだと想像できます。
便利になることで、失われた感性が存在することに気がつきます。
清少納言は、寒い時期に着物などを羽織って寒さを耐えながら氷を鑑賞していたのでしょう。
私たちが愛でる感覚より貴重な風景だったはずです。