2024.9.19 北海道議会 一般質問
皆さん、こんにちは。
北海道議会議員の千葉真裕です。
令和6年9月19日、3回目の一般質問を行いました。
なお、一般質問は、質問者が持ち時間(20分)の範囲で一括して質問を行い、その後、知事等が各質問に対し答弁するかたちですが、以下では、読みやすさを考慮し、実際の順序とは異なり、質問と答弁を対応させています。
動画は こちら (北海道議会HP)からご覧いただけます。
通告に従いまして、順次、質問をいたします。
一 米の品薄状態について
まず、米の品薄状態についてであります。
本年の初夏頃から、米の品薄状態が報道されるようになり、8月に入ってからは、一大消費地である札幌市内のスーパーでも購入制限や商品棚から精米がなくなるという事態が発生しました。
北海道は、うるち米、もち米の作付面積9万3,300ヘクタール、収穫量54万200トンと、それぞれ新潟県に次ぐ全国2番目のコメどころであり、昨年令和5年のコメの作況指数は、北海道で「104」、全国でも「101」と、概ね平年並みを記録していただけに、こうした状況下でも、品薄状態が発生したことに驚くとともに、記者会見で知事から冷静な対応を求めるコメントが発せられたのちも、「米が買えない」との不安や今後に対する危惧の声が寄せられました。
要因として、コロナ禍後における外食産業を中心とした急速な需要の回復に加え、本年8月8日に最大震度6弱を記録した日向灘を震源とする地震発生に伴い、「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が発表されたことにより、各ご家庭で米の備蓄が進んだことなどが指摘されていますが、専門家からは、昨年夏の高温状態により、米が白濁し、作況指数には反映されないものの、実際上売り物にならない米が相当数発生したとの意見も伺っています。
新米の収穫も始まり、徐々に品薄状態も解消されるとされていますが、今後も同様の事態が発生しうることを十分に考慮しなければなりません。
こうした状況を教訓として、私たちの主食である米の在庫量や流通量の情報収集・発信の在り方について、道として、今後どのように対応されていくのか、伺います。
【答弁:鈴木 知事】
米の需給対策についてでありますが、昨年の高温などの影響による米の供給量の減少や地震や台風に備えた買い込みなどにより、全国的に米が品薄となる中、消費者の皆様の不安を解消するためには、北海道米の安定供給を図りながら、お米に関する適切な情報を提供していくことが重要であります。
このため、道では、SNSなどを通じて必要な量を購入いただくよう、呼びかけるとともに、農業団体などに早期出荷や円滑な流通の確保を申し入れたほか、専用サイトを立ち上げ、稲の生育状況や全国の在庫量、スーパーでの販売データや取引価格の動向などの情報発信をしているところでございます。
道としては、新米の出荷が開始された中で、今後も、農業団体や卸売業者・小売店などと連携のもと、必要な情報収集と発信に努めながら、道民の皆様が安心して北海道米を食べていただけるよう取り組んでまいります。
※答弁中、「専用サイト」とあるのは、以下のページ(北海道庁HP)です。
二 農業教育の充実について
次に、いまの質問とも関連しますが、農業教育の充実についてであります。
本道の農業は、豊かな自然環境を活かし、大規模で専業的な農業経営を展開して、全国に安全、安心で良質な食料を安定的に生産、供給するとともに、食品加工や観光などの産業と深く結びつき、地域経済を支える基幹産業として重要な役割を担っています。
本年5月、食料・農業・農村基本法の改正が行われ、それに伴い、食料・農業・農村基本計画の検証・見直しが進められているなかで、本道農業の果たすべき役割は、ますます高まっていると考えます。
道では、「第6期北海道農業・農村振興推進計画」に基づいて、多様な担い手と人材が輝く力強い農業・農村の実現を目指し、将来の本道農業を担う人材を育成確保するため、農業経営に必要な知識や技術を習得する農業大学校などの研修教育を推進していると承知しています。
近年、新規就農者が減少傾向にある中で、本道農業の担い手を育成・確保していくためには、実践的な農業教育の充実が重要と考えますが、知事の所見を伺います。
【答弁:鈴木 知事】
新規就農者が減少する中、道では、農業・農村の将来を支える担い手の育成・確保に向けて、若い世代を始め、多くの方々に農業の魅力を発信するとともに、農業大学校において、農業経営に必要な知識や技術の習得に向けた実践教育を行っています。
こうした中、近年、スマート農業など新たな技術の開発が進む中、農業大学校においては、最新の機械や設備の導入、魅力あるカリキュラムの提供など、時代のニーズに応じた教育環境の充実が求められているものと認識しております。
道では、こうした認識の下、市町村や農協、卒業生との意見交換や学生ニーズの把握なども行いながら、今後の農業大学校のあり方について検討を進め、本道における農業教育の一層の充実に取り組んでまいります。
三 交通政策について
次に、交通政策についてであります。
国では、今月4日の国土交通省交通空白解消本部において、自治体・交通事業者・様々な技術・サービスを持つ企業群等の幅広い連携を図る「交通空白解消・官民連携プラットフォーム(仮称)」の設置に向けた動きがあるなど、官民の総力を挙げた、交通空白解消に向けた実効性かつ持続可能性のある取組みを推進する方針が示されました。そうした官民連携が必要な分野として、特に、MaaSと自動運転について伺います。
(一)MaaSについて
MaaSについては、道内各地で実証実験が進み、江差マースなど社会実装に至っている地域も存在します。こうした取組みが進むことは、利用者の利便性向上や交通事業者間の連携にもつながり、省力・省人化が進むことが期待されるところですが、一方で、各地で取組みが進んだために、システムそのものは地域固有のものとなっており、将来、全道的なMaaSの実装を推進する観点からは、交通事業者などとさらに連携を深め、システムの互換性を持たせるなど、施策展開の方向性を示していく必要があると考えますが、道の認識を伺います。
【答弁:宇野 総合政策部交通企画監】
MaaSの取組みなどについてでございますが、道では、北海道交通政策総合指針に基づき、利便性が高くストレスなく移動することができる公共交通の実現に向けまして、MaaS等のシームレス交通の推進に取り組んできており、これまで、十勝地域や道南地域をモデルとして、交通事業者や観光施設等の連携による共通チケットの販売や地域の周遊を促進する観光MaaSの実証事業などといった取組みを進めてきたところでございます。
また、地域におきましては、買い物や通院といった高齢者などの日常的な利用を促進する生活MaaSなど、それぞれの地域の実情に応じた様々な取組みが進められており、MaaSの実装に向けましては、まずは、市町村や交通事業者など地域の関係者が共通認識を持って、利用者の目的やエリアに応じた運行を行いながら、利便性の向上や持続性の確保を図っていくことが重要と認識してございます。
このため、道としては、先行事例を共有しつつ、各地の円滑な事業展開を図りますとともに、多様な主体と連携を密にしながら、広域でのMaaSの展開を見据え、交通政策総合指針に掲げますシームレス交通の実現に向けた各般の施策の推進に取り組んでまいりたいと考えております。
(二)自動運転について
自動運転については、今年度の地域公共交通確保維持改善事業費補助金(自動運転社会実装推進事業)に、道内から7市町が選定され、本年5月末には、上士幌町を運行する車両について、道路運送車両法に基づき運転手を必要としない自動運転車(レベル4)として認可されるなど、取組みが進んでいますが、予算等の兼ね合いもあり、未だ全道的な広がりまでには至っていないのが現状です。
自動運転は、人手不足など地域公共交通が直面する課題に対応する手段の一つとして期待されるものである一方、地域特性を踏まえたカスタマイズが必要なこともあり、取組みをスタートさせてから社会実装に至るまでには時間がかかります。将来を見据えれば、今のうちから、全道各地域で検討に入る必要が高い分野と考えます。
自動運転の社会実装に向けた、道の現状の取組みを伺うとともに、今後どのように展開していく考えなのか、伺います。
【答弁:水口 経済部長】
自動運転についてでありますが、道では、地域住民の方々の移動手段の確保に向けては、自動運転の社会実装は大変有効との認識の下、全国で初めてワンストップ相談窓口を設置し、企業からの相談対応や市町村とのマッチングなどに取り組んでおりまして、これまで8年間で24市町村、 延べ111件の実証実験の実施につながったところでござい ます。
また、今回のバスサービスの自動運転化に向けた国の支援事業には、今年度、千歳市や利尻富士町など道内7件が採択され、愛知県に次ぐ全国2番目の採択数となるなど、社会実装に向けた取組みが、道内で広がりつつあるところでございます。
国では、地域限定型の無人自動運転移動サービスを、2027年度に全国100カ所で実現する目標を掲げており、道といたしましては、実証実験に利用可能な施設や道路などの適地情報の提供や、企業や自治体を対象とした先進地の視察 といった、これまでの取組みに加え、今年度、新たに、自動運転の現状や有用性等の紹介を通じて機運醸成を図るセミナ ーを開催するなど、地域における取組みの一層の拡大を図ってまいります。
四 ベトナムとの持続的な関係維持・発展について
次に、ベトナムとの持続的な関係維持・発展についてであります。
本年8月9日、道は、ベトナム政府において労働政策を担う「労働・傷病兵・社会問題省海外労働管理局」との間で、人材育成の協力促進についての覚書を締結したと承知しています。
令和5年12月末現在、北海道内在留外国人数は5万6,485人、そのうちベトナム人は1万2,313人と最も多く、その約6割が技能実習生として、道内の食品加工や介護などの分野で活躍しています。
本道では、人口減少や少子高齢化の進行により、さまざまな産業や地域で人手不足が深刻化しており、外国人材の確保・定着に向けた取組みは極めて重要ですし、北海道とベトナムとは、昨年11月にクアンニン省・ハロン市で「北海道フェスティバル」を、本年8月には、札幌市で「ベトナムフェスティバル」を相互に開催するなど、永年に亘り友好な関係構築に力を尽くしてきただけに、ベトナムが北海道にとって重要なパートナーであり、人材の面でも、今後とも北海道の力になってくれるものと考えます。
一方で、来日ベトナム人労働者数については、JICAの調査によると、2030年までは大きく増加、その後はほぼ横ばいとの予測が出ているとともに、経済界からは、令和元年末まで道内在留外国人数最多だった中国と同様に、自国の著しい経済発展や、日本よりも有利な労働条件等を提示する他国への在留が選択されるなどの理由により、2030年前後にピークアウトするのではないかという危惧の声も聞くところです。
今回の覚書では、北海道は、ベトナムからの技能実習生等の安全・安心な就労環境づくりを支援するとされていますが、今後具体的にどのような取組みを展開し、ベトナムとの持続的な関係維持・発展につなげる考えなのか、伺います。
【答弁:鈴木 知事】
ベトナムとの交流についてでありますが、道では、高い経済成長が続くベトナムとの間で、食や観光、人材といった幅広い分野において、市町村や企業、友好団体などと連携しながら、官民一体となった交流を進めているところでございます。
こうした中、本道において、人口減少が進み、外国人材の確保、定着が重要な地域課題となっていることを踏まえ、先般、ベトナム政府との間で覚書を締結し、新たな在留資格である育成就労制度の導入も見据えながら、ベトナムからの持続的な人材の送り出しや道内での受入れに向けた環境づくりを進めていくこととしたところでございます。
道としては、今後、この覚書の枠組みを活用し、送り出し機関に向けたプロモ ーションや母国語による相談対応、地域での交流機会の拡大など、ベトナム人の方々が安心して働き、暮らすことができる環境づくりを、実際に本道で暮らす留学生や技能実習生等の声をお聞きしながら進めるとともに、ベトナム国内の高等 教育機関とのネットワークづくりを通じ、IT分野をはじめ、より専門性の高い人材の誘致を図るなど、ベトナムの経済発展に伴う国内情勢や北海道との交流ニーズの変化を的確に捉えながら、両地域の交流が双方の発展につながるよう取り組んでまいります。
五 デジタル社会における障がいのある方々への配慮について
次に、デジタル社会における障がいのある方々への配慮についてであります。
デジタル化やIoTの進展により、例えば、自動販売機が全面タッチパネル化されたり、コインロッカーがスマートフォンの操作で開閉できるようになったりと、一般的には、利便性が高まるものと言われております。
一方、視覚に障がいのある方にとっては、今までボタンや鍵を手で触って確認できていたのが、タッチパネル化や鍵が不要になることなどによって、かえって使えなくなったり、不便になったという声も聞くところです。
あらゆる情報がデジタル化されていく現代社会において、障がいのある方々にとっては、新たなバリアが生まれる可能性があること、そうした新たなバリアによって情報から取り残される状況が生じうることを忘れてはならないと考えます。
障がいのあるなしにかかわらず、等しくデジタル社会の恩恵を被ることができるようにするためにも、道はこの状況をどのように認識し、今後、どのように取り組んでいくのか、伺います。
【答弁:古岡 保健福祉部長 兼 感染症対策監】
障がいのある方々への配慮についてでございますが、道では、障がいの有無にかかわらず、全ての道民が共生する暮らしやすい社会の実現のため、平成30年に、いわゆる意思疎通支援条例を制定をし、障がいのある方の意思疎通の支援に関する施策の総合的な推進に努めているところでございます。
こうした中、日常生活におきまして、様々な機器のデジタル化が進む一方で、障がいのある方にとって、意思を伝えにくく、また、必要な情報を得づらい環境が生じている場合がありますことから、道といたしましては、障がいのある方への合理的な配慮が必要と認識をしてございます。
道では、障がいのある方が日常生活で直面している課題につきまして、定期的に障がい者団体から直接お伺いをする場を設けておりますほか、福祉、医療をはじめ、建築や経済、交通事業者などで構成しております「北海道福祉のまちづくり推進連絡協議会」におきまして情報の共有を図っているところであり、今後、デジタル化に伴い、障がいのある方が直面している課題につきましても、こうした場を通じて合理的な配慮を求めるなどして、障がいのある方が障がいのない方と実質的に同等の情報を得られるよう、情報のバリアフリー化の促進を図ってまいります。
六 「北海道における縄文世界遺産の活用のあり方」について
次に、「北海道における縄文世界遺産の活用のあり方」についてであります。
令和3年7月27日、北海道・北東北の縄文遺跡群が世界文化遺産に登録されてから、3年が経過しました。わたくしは、前職・国交省北海道運輸局の観光行政マンとして、縄文遺跡群を活用した滞在型観光コンテンツ造成事業を担当し、その経験等を、道などが主催した世界文化遺産登録1周年記念フォーラムにおいて、パネリストの一人としてお話しする機会を得るなど、「縄文」に触れる機会が多く、「縄文」が、現代を生きる我々にとって、日々の生活や社会のあり方を見つめなおす、たくさんの気付きやヒントをもたらしてくれると信ずるひとりであります。
世界文化遺産登録前の令和3年3月に、北海道における縄文世界遺産がめざすべき地域の賑わいとは何か、また、北海道全体にどのように波及させるのか、その将来像を描くとともに、各主体が一体となって将来像の実現に向けた取組みを進めるための方向性を示すものとして「北海道における縄文世界遺産の活用のあり方」が策定され、この「あり方」は、登録後の縄文関連施策の指針として機能してきました。
「あり方」のなかでは、基盤づくりや戦略の基礎となるストーリー構築を進める「STEP1 『北の縄文ファン』を広げる取組と展開」から、STEP1の取組みを充実・発展させた「STEP2 価値を創造する取組と発展」へと段階的に展開していくことによって、将来像の実現をめざすものとされ、STEP1については概ね3年間を目標期間とし、取組みの進捗に応じて概ね4年目からSTEP2に移行するものとされています。
わたくしは、この「あり方」策定が世界文化遺産登録前であり、登録後さまざまな施策展開が行われてきたこと、また、現在進行中の「北海道における縄文世界遺産の拠点形成に関する懇談会」においても、改めて将来像や世界に発信していく縄文のメッセージが何かを固めていくべきであるとの意見が出たこと等からすれば、登録から3年以上が経過したこの段階で、STEP1の振り返りや総括を行ったうえで、必要に応じて「あり方」をアップデートするなどして、次のSTEPに進んでいくことが必要であると考えますが、この点について、道の認識を伺います。
【答弁:加納 環境生活部長】
北海道・北東北の縄文遺跡群についてでございますが、道では、令和3年3月に、遺跡の活用による地域の賑わいの創出に向けた取組の方向性を「北海道における縄文世界遺産の活用のあり方」として取りまとめ、北海道がめざす将来像や道全体の縄文文化の魅力や価値を広く発信するためのキャッチフレーズとして「未来へつづく、一万年ストーリー。」を設定したところであります。
これまでの間、キャッチフレーズを表現するロゴマークを制作したほか、「活用のあり方」に基づき、ファンの拡大に向けた取組みとして、イベントや各種媒体による情報発信、研修や教本の作成によるガイド育成支援、多言語対応による受入体制の整備などの施策を着実に進めてまいりました。
道といたしましては、こうした施策を継続いたしますとともに、それらを踏まえ、現在、地域の中核を担う人材育成や、来訪者の満足度を高める受入体制の充実といった地域活動の支援、各主体との連携を担う推進体制の強化など、「活用のあり方」にお示ししました将来像の実現に向けて拠点形成方針の検討を進めており、今後とも関係市町等と連携しながら、縄文世界遺産の保全と活用の好循環の形成により、地域の賑わいの創出につながるよう、取り組んでまいります。
七 北海道豊かな海づくり大会について
次に、北海道豊かな海づくり大会についてであります。
先般の、わが会派の代表質問において、「北海道版豊かな海づくり大会」の開催に関し、知事から、「全国大会での機運をさらに醸成し、北海道の豊かな海の恵みを守り、育て、次世代に引き継ぐため、令和7年度から新たに、豊かな海づくりの中心的な行事として、「北海道豊かな海づくり大会」を市町村や関係団体などと連携し、オール北海道で開催してまいる」との、力強い答弁がございました。
超党派による、北海道の豊かな海づくりの推進にかかる条例化検討会議での議論を踏まえ、本定例会には、「北海道水産業・漁村振興条例の一部を改正する条例案」が議員提案により提出される予定となっております。
わたくしは、豊かな海づくりの推進にかかる条例化に向けた、自民党・道民会議におけるプロジェクトチームの一員として参画した経緯もあり、知事が 北海道豊かな海づくり大会の開催を表明されたことは大変うれしく思います。
北海道の豊かな海づくりの推進に向けた取組みについては、現在、関係団体の意見を聞きながら検討を進めていると承知しておりますが、知事が大会を来年度に開催すると明言されましたので、今後検討が加速されるものと思います。
昨年開催された全国豊かな海づくり大会から1年が経過するところでもあり、全国大会での機運の高まりを維持し、さらに道民の皆さんに広げていくためにも、早期開催を目指すべきと考えますが、現在検討されている内容と併せ、知事の見解を伺います。
【答弁:鈴木 知事】
北海道豊かな海づくり大会についてでありますが、道では、来年度からの開催に向け、北海道の豊かな海の恵みを守り、育て、次世代に引き継ぐための取組みとして、水産関係団体から、水産資源を増やす手法である栽培漁業や海洋プラスチックごみ対策といった海の環境保全について、道民の皆様に理解していただくことが大切との意見をいただいているところです。
このため、道としては、大会の内容について、子どもから大人まで、また、生産地はもとより、消費地の方々にも共感されるよう、幅広く道民の皆様に参加いただき、栽培漁業への理解を深めるための種苗放流や海の環境保全のための海浜清掃の実施などを考えているところです。
また、全国大会で高まった豊かな海づくりへの機運を引き継いでいけるよう、来年度の早い時期の開催を目指し、大会の具体的な内容や場所について、関係団体との検討を早急に進めてまいります。
八 観光人材の育成に向けた教育について
次に、観光人材の育成に向けた教育についてであります。
わたくしは、本年8月、アメリカ・フロリダ州オーランド市やフォートローダーデール市においてMICE施設や観光関連施設等を視察し、そのなかで、あるマネージャー職の方とお話をする機会がありました。彼女はオーランド出身で、オーランドにあるセントラルフロリダ大学でホスピタリティ経営を学び、卒業後はオーランドの観光施設で働いています。
彼女がいうには、大学で観光科目を学んだが、生まれ育ったオーランドのような全米屈指の観光地のなかで勉強することができたことで、学習理解がより深まったし、卒業後のキャリア形成についても具体的なイメージができた、そして、学んできたことを十分に活かせる地元の観光施設で働くことができ、しっかりした待遇も得ることができて幸せだ、とのことでした。
北海道では、地元の高校や大学に進学しても、そこで勉強したことを十分に活かせる就職先がないとして、本州に旅立つ若者が少なくありません。実際、私の友人などもそうした理由で、後ろ髪を引かれる想いで、本州に職を求めた者が数多くおります。
観光立国・北海道を目指すうえで、観光人材の確保は喫緊の課題ですし、地元で就職したいという若者たちの希望をかなえていくことは、人口減少対策のうえでも大変重要なことです。
折しも、多様な地域からのインバウンド需要など、新たな観光ニーズの高まりに対応する観光の専門家を育成する必要性が一層高まっていることなどを背景に、令和4年4月からの新しい高等学校学習指導要領では、教科「商業」に科目「観光ビジネス」が新たに設けられました。
わたくしは、こうした科目が活用されることを大いに期待するところですが、一方で、新しい科目であるがゆえに、経験豊富な教員と蓄積された教育ノウハウによって教育手法が確立されている簿記や情報処理などの伝統的な商業科目と異なり、知識や経験の蓄積不足によって、当面の間、新たな科目である「観光ビジネス」導入の本来の目的を十分に達成することが難しいのではないかとの危惧を抱くところでもあります。
こうした点を踏まえ、新設された科目「観光ビジネス」について、今後どのように取り組んでいく考えなのか、道教委の見解を伺います。
【答弁:中島 教育長】
観光の振興に関する学習についてでありますが、令和4年度に施行されました高等学校学習指導要領において、教科「商業」に新設された「観光ビジネス」の科目は、「観光資源」や「観光政策」、「観光地域におけるマーケティングやマネジメント」など、観光産業全般に対する理解を深める学習であり、道内の公立高校では、より実践的な学びにつなげるため、地元の観光協会・観光関連企業の職員によるワークショップ等や、企業と連携し、マーケティングや誘客など、観光産業に求められる資質・能力を育む探究活動に取り組んでおります。
道教委では、本年12月、新たに、商業科の教員を対象とした授業等改善セミナーを実施し、「観光ビジネス」における教員の教科指導力の向上を図ることとしており、さらに、観光業に携わる民間講師の方を学校に紹介するなどして、高校生の、観光に関する知識と技術の習得や、観光の振興に取り組む態度を養うなど、地域の活性化に貢献する人材の育成に努めてまいります。
以上、わたくしからの質問を終わります。(了)