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コラム 母親たちは南西風 - ミトコンドリアZ戦士のかつてない恐怖 3

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ミトコンドリアDNAで母系のルーツを探るコラムシリーズ、待望の第3弾です。大好評のような気がしています。前回は我がmtDNAハプログループZについて掘り下げていきました。今回もZについて、前回は紙幅の都合上で書ききれなかったことを書いていきます。

私ことZ5は、日本の愛知に多くいそうだということが前回判明しました。そこで、母に聞いて母系を遡れるだけ遡ってみました。まず、母と母方の祖母は東京生まれです。母方の曽祖母は静岡県出身、パーキングエリアでお馴染みの足柄付近とのことでした。おっ。ちょっと愛知に近づいた。でも母方の高祖母から先は不明でした……高祖母について知っている人はもういないかもしれません。うーん残念。
ここからは想像です。もし祖母たちがこのまま少しずつ東に移動していたのだとしたら、いつかは愛知に着きます。静岡は東海道が通る交通の要なので愛知方面から東京方面に移動してきたとしても不思議はありません。なんせ移動しやすかったのですから。ただ、江戸時代は藩を越えての移動が難しかった史実があります。母親たちが20年間隔で子どもを産んでいたとしたら、4代前の高祖母は大体1890年生まれ、5代前の高祖母の母は1870年(明治元年1868年、廃藩置県1871年)生まれです。うーん。5代前から移動の自由がで生まれていたみたいですがどうでしょう。Z5が繁栄していると思われる愛知に私の母系のルーツがなくもない気がするけれど……って感じです。

そしてもうひとつ気になる情報が。私が使用した遺伝子検査キットのHaplo 3.0には「関連する名字を知る」というなかなか興味深い項目があります。それによると、私の母系と関連の深い名字は「」とのことです。

親戚に森いないなと思ったけど、結婚は一方(ほぼ女)が名字を変えるシステムだし母方の家系図は戦争で焼失しているから追跡不能だった

森は神奈川、岐阜、徳島、長崎で知られているということは子孫をわりとたくさん残した可能性があります。岐阜(しかも美濃)は愛知に近いですね。

Zは渡来系だからやはり西に多いのか

この地図を見ると特に森が多いのは長崎、佐賀、香川、徳島、三重、岐阜と言えると思います。滋賀も色が濃い気がしたけれど、よく見ると琵琶湖だった騙されるところだった危なかった。次点で多いのが愛知と和歌山でしょうか。ここにも愛知が入ってくるのは興味深いです。前回の記事で参考にしたのは英語版Wikipediaで、この画像の引用元であるHaplo 3.0とは全く別のソースですから。そう言えば大学の同級生の森くんも愛知出身でした。
ただ……私ちょくちょく愛知に行くんですよ。万博や芸術祭を観に行ったり、岐阜市で展覧会のお仕事があったからセントレアから電車で名古屋まで行ってそこから乗り換えたり。でも……私……一度も愛知に郷愁を感じたことがないんですよね……夏に行くことが多かったからむしろ暑くて辛かった(わたくし道民)。
あと、岐阜県を旅したり岐阜市で展示をしたりしたんですけどね、岐阜の人みんなすごく優しくて大好きなんだけど、やっぱり郷愁は覚えなかった。どちらかと言えば冒険的な意味で楽しかった。知らない文化がたくさんあって、鵜飼も見ましたよ。加えて長崎、香川、徳島も行きましたが郷愁は特に感じませんでした。むしろ郷愁は見知らぬアンデスの地に

また、Haplo 3.0には「DNA親族検索サービス」なるものもあり、こちらはHaplo 3.0で検査した近親者の名前やDNA一致度などを知ることができます。ただし、センシティブなサービスなので別途登録した人にしか結果は表示されません。結論から言うとこのサービスに登録したのですが、正直とても勇気がいりました。いきなり兄弟がみつかったらファーー!ってなるじゃないですか。Netflixのドキュメンタリー映画『我々の父親』を観ていましたし。不妊治療に興味があるし。でも、怖かったですが好奇心には勝てません。姉には登録しないと言ったので思いっきり嘘になってしまいましたが。自分一人のことじゃないですからね。遺伝子って。
それで蓋を開けてみると800名超の親族がみつかり、そのうち数十名のサービス登録者がヒットしました。親族の数が多くてびっくりです!よくわかっていないのですが父系も併せてですよね?そのわりには父方のルーツの出身者は全然いなかったけれど……
ただ、血縁はどの人とも遠かったです。一番近くて0.3%台のDNAが一致。可能性のある関係性は曽祖おじおばの玄孫か高祖おじおばのひ孫だそうです。年齢的に玄孫かな。達者に暮らしていてほしい。もし会うことがあったら姉を紹介する。彼女は45歳で一級建築士の試験に合格した。30代後半まではエステの仕事をしていて建築とは無縁だったのに。あなたの親族にはおもしろい奴がいる。

ところで、わたくし今回はある一社の遺伝子検査キットを使ってZという結果が出ましたが、実は本当にZかは疑ってかかっています。なぜこんなことになったかというと、変なものを読んでしまったんですよ。ここにソースは載せませんが。「ハプログループが同じ者同士は気が合って相性が良い」とかなんとか。そんなこと言われたらですよ、少数ハプロの者は生きづらくなるじゃないですか。
遺伝子関連の本を読んでいると「もう一度遺伝子解析をやり直したら〇ではなくて△だったと判明した」とかさらりと書いてあるので、技術の進歩や研究の蓄積によっては意外と別のハプログループだったという可能性は大いにあるのではと思っています。

無論、ハプログループ同士の相性について私は信じていません。だって根拠みたいなものとして「祖母は息子の孫より娘の孫のほうがかわいい」とか言っているんですもの。私、父方のいとこ連中でもっとも年下なんですけど、それ故か父方の祖母に可愛がられていましたよ。祖母と父はそれほど仲良くなかったのに。祖母と母もうまくやっていました。ハプロ関係ないと思う。
ハプロの相性のような考えが進むといずれハプロ占いなるものができ、今日もっとも運勢が悪いのはごめんなさ〜いZのあなた!日産のスポーツカーに乗るつもりがホンダの軽になるかも。ラッキーアイテムはドラゴンボール17巻。ラッキーパーソンは1996年から2015年生まれの人!という風になるかもしれません。そんな未来怖すぎる。ディストピア小説の題材として一本書こうかな。
日本における血液型占いの広まりを見れば、そうだと思い込むとそういう型にはめて物事を見ようとする人が増えてしまうと思います。色々調べていてすでにその芽は出ているように感じます。自分もそうならないよう戒めなければ。今回のコラムの内容も愛知に引っ張られすぎていやしないかと気にしている。

私は10年おきくらいに別の検査会社で再検査しようと思っています。40歳で一度検査したから次は50歳。その頃には研究も進んでもっとずっと色々なことがわかっているはずです。アフリカ単一起源説だって今は一般的になっていますが(それまでは多地域進化説だった)、提唱された当時わたくし5歳でしっかり生まれていました。それほどこの分野は進歩が目覚ましいと言えます。再検査で「あなたのmtDNAはD4で日本最多のグループでした」と言われてもノーダメージ。いや、多少は10年前の検査会社この野郎と思うかもしれませんが、Z5にやたら詳しいD4がいることが多様性の基礎を形作るのだと思います。私はZについて調べたこの時間を後悔しませんよ。10年後が楽しみです。長生きしよ。


続く!


え?まだ石のこと言ってるの?前回の記事で石偏みつけた?答えを発表するよ。確認と研究者×2の3個。ページ内検索で見てみて。


↓ 続き


参考:

なかなか良さそうだと思っている遺伝子検査キット
1回でルーツや病気のリスクなど全部調べられそうなので良さげ。私が使った検査キットはルーツに特化していて、別売りの病気のリスクなども買ったので結局値段もそこそこいった

映画『我々の父親』
マジで超怖い。最後までずっと怖くて宗教的イデオロギーや法について考えさせられる。希望は映画に出てくる兄弟姉妹。このような状況でもそれぞれの幸せをみつけてほしい

日本人ってなっているけど世界にどのくらいの割合でZがいるかがわかるページ


2024年3月8日追記
鳥山明さんのご冥福を心よりお祈りいたします


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