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登場する人々(ぽっぽじいちゃん)

ぽっぽじいちゃんは、桃ちゃんのダンナさんです。
つまりは私の父です。
もう8年前に鬼籍に入りました。

ぽっぽじいちゃんは所謂がんこじじいで
星一徹のような人でした。
父の尊厳を前面に出したがる人だったので
私たち子どもはいつもビクビクしてました。
ぽっぽじいちゃんが、食事の場に座るまでは
子どもたちは食事に手をつけてはいけないし
私たちが高校生になって、部活の朝練とかで早く家を出る場合でも
先に食事をしたら必ず「お先にいただきました」と
挨拶をする必要がありました。

ぽっぽじいちゃんは自分がたくさんの兄弟の末っ子として育ちました。
兄姉からいろんなことの「的」として、弱者として育った人でした。
戦時中だったから、食事にもなかなかありつけないし
兄とか姉とかが何か悪さをしても、それを押し付けられる。
そんな育ち方をしてきたようです。
だから「威厳」を保ちたがっていた。
自分が持つ家庭では大将でありがたかっていた。

自分が褒められたことがないから、褒めることを知らない。
自分が力でねじ伏せられてきたから、同じように弱者をねじ伏せる。
だけど、小さい頃に頭を押さえつけられて育ってきたから
社会の中では反論を言ったりできない。
完全なる内弁慶の人でした。

お酒を飲むと、その鬱憤が表にでてきて「悪い酒」になる人でした。
人に褒められたことがないから、褒められると有頂天になって
よく人に騙される人でした。
悪い酒を飲んで、機嫌悪く帰ってくると手をつけられない状態になるので
桃ちゃんはよく浴槽の中に隠れてぽっぽじいちゃんが寝るのを
じーっと待っていたそうです。
私たち子どもはもう寝たふりです。常に寝たふり。
小さいときはホントに寝てましたけど。
寝てる子どもには手を出さない(無関心?)なので、
寝てれば何かされることはないけれど、
起きてテレビを見てたりすると
スイッチが入ってしまって、テレビを投げたり!!するので
観たいテレビも観ずに寝てました。

ここまでいい所がないぽっぽじいちゃんですが(笑)
桃ちゃんのことは本当に本当に大好きだったようで
私は殴られたし、兄とは取っ組み合いのけんかもしてたけど
桃ちゃんに手を上げることは一切ありませんでした。
兄弟が大きくなってからは、桃ちゃんを連れて全国各地に旅行に行って
桃ちゃんのために、高いダウンコートを買ってあげたり
大切にしていました。
ただとても不器用で、桃ちゃんに対して「どれが欲しい?」「どこに行きたい?」と聞くことはなくて
いつもいつもいつも自分が選んで「満足してるはず・喜んでるはず」と
思い込んでいたみたい。
桃ちゃんは、今でも田舎のほうがテレビに写ると
「あ、ここお父さんといったわー。」とか
「ここは3泊もしたわー」とか言っています。

ぽっぽじいちゃんとの生活はジェットコースターのようだったんだろうなと
聞いてる私は思うのです。

頑固一徹じじいのぽっぽじいちゃんは、本当にちゃぶ台ひっくり返しました。ホントにひっくり返るのよ、あれ。
今はテーブルになったから、ひっくり返せないいい時代になりましたね。

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