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西永福よ永遠なれ│ひとりアドベントカレンダー#13

2014年3月下旬から2020年3月上旬まで、西永福に住んでいた。大学進学を機に上京してから、大学院修士課程をどうにか修了するまで丸6年、西永福の女子学生会館で面倒をみてもらった。住所でいうと東京都杉並区浜田山だが、最寄り駅は京王井の頭線の西永福駅である。

京王井の頭線は、渋谷~吉祥寺間を結ぶ、たった17駅・12.7kmの短い路線で、西永福駅はそのちょうど真ん中あたりに位置する。6年間通っていた東京大学駒場キャンパスまで、乗り換えなしで7駅で行ける。
駒場の思い出については、以下の記事を参照されたい。

中途半端だけど、ちょうどいい町

西永福は、静かで穏やかな場所で、ちょっと中途半端な町でもある。西永福駅で渋谷方面行の電車を待ちながら、電車のやってくる方向(吉祥寺方面)を見ると、なんと隣駅の浜田山駅のホームが見える。いくら何でも近すぎる。

次の駅(渋谷方面の隣駅)の永福町駅とも駅間距離が短いので、存在意義を疑われる(?)こともあるらしいが、私は西永福くらいのちょうどいい町も好きだ。

永福町駅も、浜田山駅も、それなりの規模の駅前商店街がご自慢だ。対する西永福は、大した規模の商店街ではない。それでも、こじんまりとした中にもきらりと光る魅力をもったお店がある。
見渡せる範囲で収まる商店街だからこそ、安心感と、底知れぬ小宇宙が同居する感じもある(近所だからこそよく知らないみたいな現象と似ている)。

PANYA KOMOREBI

西永福に住んでいた頃に一番通っていたパン屋さん。小ぶりだけど厚みというか、ボリュームがしっかりあるパンが好きだった。ここのクロックムッシュを、電子レンジで温めて食べるのがお気に入り。

イートインコーナーのレモン水も爽やかで良かった。夏に飲むと最高。

パティスリーフリップス

西永福駅の北口を出て商店街を抜け、井の頭通りを渡るとある、タルト専門店。水色基調の外装カラーがかわいい。
なんでもない日に、定期的に「そろそろフルーツタルトが食べたい」という気分になると、もう口がフルーツタルトの口なので、学校帰りに買いに行ったりしていた。

サミットストア西永福店

サミットは関東のスーパーである。学生会館生活時代、食堂のご飯がお休みの期間はこのサミットストアで食材を買ってきては、ちょっとした自炊に励んでいた。サミットはお惣菜の種類も多くて美味しいから、ついついそっちに頼っていたけれど。遅い時間にサミットで食糧を買い込んだ帰り、静まり返った商店街を背に、なかなか開かない踏切を待つのが好きだった

そして、何を隠そう西永福は、サミットストアの本社のお膝元なのだ。8月下旬、小さな駅前のスペースで行われる盆踊り大会には、サミットの緑揃え法被を着た社員さんたちが駆り出されていた。子どもたちも浴衣や甚平で繰り出してそれはそれは賑やかだった。今年は新型ウイルスもあったし、どうしていたんだろう。

▲西永福駅から見下ろした盆踊りのようす。

西永福JAM

西永福駅から学生会館への帰り道にある、駅前の居酒屋の跡に移転してきたのが、あの有名ライブハウス新宿JAMの後身、西永福JAMだった。2018年、修士1年の頃のことだ。

実際に西永福JAMの中に入ったことはなかったが、ライブしに来たんだろうなとか、ヴィジュアル系バンドを追っかけてきたんだろうなという人が、駅前のセブンイレブンの周りにたむろするのを見かけるようになった。

西永福駅南口には、ふらっと立ち寄って待ち合わせに使えるような場所がない。あったとしても、なぜか2軒並んだ寿司屋か、ラーメン屋か、クリーニング屋なので、選択肢はほぼ皆無といっていい。「駅前のチェーン店で時間つぶそう」とかがおいそれとできないような町なので、それを見ながらなんだか申し訳ない気がしていた(誰だよ)。そういうのができるのは、よりによって両隣の浜田山か永福町である。

西永福JAMこけら落とし公演があっこゴリラと向井秀徳だったのを貼り紙で見かけて、仰天した覚えがある。近所で見られたんなら行っとくんだったな……。

西永福よ永遠なれ

上京以来6年間も住んだ町なので、第二の故郷みたいな愛着がある。6年間も住んでいれば、商店街のお店のいくつかは畳まれ、タピオカ屋があんな小さい駅前に2軒もできたりもするものだ。お世話になった学生会館も、私が卒業するタイミングと同時に閉鎖されてしまった。

それでも、西永福よ永遠なれ故郷とは移ろいゆくものである

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