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廣川ちあき
2019年4月17日 16:47
フリッパーズギターがラジオで流れてる甘いものだけ食べたい今日はあまおうパフェひとつぶんの疲れ将来について訊かれて答えるたびにエレベーターの一階ボタンを慌てて押す もっと素直に喋れたのならにがいにがい花束をかき乱すために長いのでしょう銀のスプーン周辺のどの駅からも遠い場所パフェは食事に含まれますか全て終わるはずがないんだもう行かないオフィスビルの名前ばっか覚えて2019.
2018年7月20日 00:14
ゴーカートのどれかひとつに飛ぶ機能 夕焼けならば特に加速するメリー・ゴー・ラウンド、僕らは勝ち戦のきらめきを知らぬままで育った青く発光するウォータースライダーがしぶきを上げた都市の一点観覧車にすくい取られるためだけに登る階段がまだ終わらない絶叫の軌道を耳で追うほどに弱く閉ざされゆく遊園地虹色に光る遊具で埋めつくす大人たちみな夜行性につき初夏の騎士じゃなかった僕たちのための国
2018年2月7日 22:23
プラットフォームの三分間 廣川ちあき頭上には鳩の羽音が行き来して駅は岩場に似ているらしい駅までに傘に集めた水滴は文字を書くには少し足りない両の睫毛に鉄の庇を装備して女らプラットフォームに並ぶささえもつ脳の重たさ紫陽花は枯れゆくときもまるさを保つ戦いに赴く列に今朝塗ったバターの色のスカートの人靴の歩みの流れを分かつ石としてまもられているアゲハチョウの死枕木を千の鏡に掛
2017年8月10日 00:46
折鶴の束の原色照りつけて八月二日いま爆心地天主堂を望む背後の蝉時雨ひとりになりてただ黙すのみきちんと見つめるから何も語らなくていい 少女うつむくケロイドの頬爆心の碑柱の黒くそびえ立つ先の青空ますます青し爆心の碑を去る前に空を見よ竹山広の歌を思えば爆風は確かにここに吹いたのだビルの間の片足鳥居子どもらの笑い声して遠ざかる被爆詩人の詩碑を残して物言わぬことも静かな力なり瞼伏せたる聖使