2025年1月の記事一覧
エッセイ「足るを知るという生き方」
ヴィム・ヴェンダースが小津安二郎を敬愛していて、日本を愛しているらしいことは、「東京画」や「PERFECTDAYS」からも、ありありと伝わってくる。
最新作の「PERFECTDAYS」では、日本への愛は言うまでもなく、清掃員・平山の日常を通して一つの生き方が提示された。その「生き方」に触れて目が覚めたのは、私だけではないはずだ。
主人公の平山は、欲望とは最も遠いところで生きているように見える。
エッセイ「狼は天使の匂い」
先日、実家の母親から連絡があって、「正月くらい家に帰ってきたらどうだ」と叱責されてしまった。そんな風に言われてしまうのも無理からぬことだった。私は、必要が迫られた場合を別にすれば、ほとんど実家に帰ることがない。そんな実家嫌いの私が、このほど、重い腰を上げる気になったのは、実家に置いたままの私物を整理する必要に迫られたからであった。
母は、私が幼少の砌に使っていた玩具を、つねづね処分したいと考えて