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結局文法は必要なのか不要なのか

noteを徘徊していると、「日本人が英語を話せないのは文法を気にし過ぎているからだ」とか「文法が不要なんてのはデマ、文法が出来ない奴が話せるわけがない」とかそんな感じて文法がいるかいらないか(というかどの程度気にするか)という点で意見が割れているのをよく見かけます。

私個人が文法についてどう思っているかというと、

「過ぎたるは猶及ばざるが如し」
「一括でやる必要はない」
「学び方に問題あり」

です。意味が分からない? 順に説明します。

文法は必要だが、必要以上にやる必要はない

まず一つ目、「過ぎたるは猶及ばざるが如し」です。

「文法」と一口にいっても実際には色々あります。

例えば、初心者のうちは「be動詞」は必要かもしれませんが、「未来完了進行形」の類はどう考えても必要ないと思われます。中級上級になればまた必要になるのかもしれませんが、実践してても滅多に出てこないような項目まで文法書で一生懸命勉強するとかそういうのは要らないなと思います。

別にまとめてやる必要なくない?

さて、前項でテキトーに「未来完了進行形」はいらないとか言っちゃったんですが、もちろんレベルが上がったら必要になる場合もあります。「未来完了進行形」なんてすっとばしたけど、ふと気づいたらそれらしきものに遭遇してしまった、あるいはそういう言い方をしたくなった、そういう場合はどうしたらいいでしょうか。

A: その時に調べればよくね??

文法学習を強力に推進している方々は「文法を軽視していると伸び悩むぞ!」「文法をきちんと身に着けないと浅い英語しか話せない」とかそういうことを言っていることが多い印象ですが、私がそれに対して思うことはこうです。

A: 伸び悩んだり、表現の幅を伸ばしたいと思ったらその時に文法やればよくね??

そもそもですが、文法を一時期にまとめてやらないといけないという決まりは特にないので、行き詰まったなと思ってから文法に立ち返ってもいいわけです。ぶっちゃけ他者に「アレをやるべきだコレをやるべきだ」と言われてよく分かんないままやるよりも自分で明確に必要性を認識しているときの方が学習効率は上がりますから、むしろ必要になるまで文法は最低限でいいような気もします。

これが2つ目の

「一括でやる必要はない」

の意味です。

最初から規則を学ぶのは効率が悪い?

最後に

「学び方に問題あり」

と書いたのですが、これは私もつい最近実感したことです。

最近(いうてももう10日くらい前の模様)、特に意味もなくクロアチア語を4日くらい練習しました。詳細は↓

実際に学習したのはほぼ最初の3日だけだったんですが、方法はChatGPTに「〇〇(単語だったり文だったり)ってクロアチア語でなんていうの?」と聞いて、教えてもらったものを片っ端から覚えていくというものでした。

面白かったのは、文法の事をそんなに聞かなくても文法がある程度わかったことです。どういうことかというと、自分が関心を持っている文を次々覚えていくとそれらの文の中から法則性が見えてくるのです。

つまり、最初から「コレコレこういう文法規則がありますからちゃんと従ってくださいね」と言われるのではなく、複数の文を比べて自分で文法規則を発見するのです。名探偵コナンとかが得意そうなやつです。

で、私は文法覚えるなら文法規則を暗記するよりこっちの発掘学習の方がよかろうと思っています。

なんでかというと、ぶっちゃけ文法規則は覚えてもそのままでは役に立たないからです。

一方で、文を丸ごと覚えた場合は仮に最初は応用が利かなくても、とりあえず覚えた文はすぐに使える状態でスタンバイしておくことが出来ます。

例えば、クロアチア語のbe動詞bitiの活用表(直接法現在)↓を丸暗記してもそれ単体では役に立ちません。

ja sam(I am)
ti si (you are)
on je(he is)
mi smo(we are)
vi ste(you are)
oni su(they are)

その一方で、"Ja sam Japanac(I am Japanese)", "Bio sam u Češkoj(I have been to Czech)", "Kako si/ste?(How are you?)", "Jesu li ljubazni?(Are they kind?)"等の文を覚えていればそのままの形でちゃんとした文として使えます。

で、もっと重要なのは、文法規則をこれらの表現の比較からある程度自力で導き出せることです。しかし、文法規則そのものを覚えてそこから文をひねり出そうとする方法では、規則1つ忘れたらその場で詰みますし、何より文を構成するのに時間がかかりすぎます。最初からサンプルとしてすぐ使える文を覚えておいて、文法はそこから引き出して使うというのがアクティブラーニングという観点から見ても有効だと思います。

私がこのような方法を意識的に取ったのはおそらくこのクロアチア語学習が初めてですが、この方法は「多読」という手法で既に広く知れ渡っているものと思われます。簡単なものから始めてたくさん読んで、気づいたら単語や文法が大体身についているというアレです。

ギリシア語文法といえば、私はただ名詞変化と規則動詞と不規則動詞を学んだだけであって、貴重な時間の一瞬も、文法上の規則の勉強のためについやさなかった。そのわけは、ギムナジウムの八か年を通じて、たしかに時にはさらに長く、たいくつな文法上の規則に苦しめられいじめられたすべての若者のうちで、ただの一人も一見して明らかな数百の誤りをおかすことなしに、一通のギリシア語の手紙も書くことができないことを私は知っていたから、私は学校でとられている方法はまったく誤っていると、かたく信じなければならなかったからである。

~中略~

私はそれが文法書に記入してあるか、否かは知らないにしても、どのような文法の規則も知っている。そして誰かが私のギリシア語の文章の誤りを発見するとしても、私はいつでもその表現方法が正確である証拠を、私が使った言い回しの出所を、古典作家から人に暗誦してみせることによって、しめすことができると思う。

ハインリヒ・シュリーマン「古代への情熱」岩波文庫 36ページより引用

そもそも我々が日本語の文法を自然に身につけたのも、夥しい実例を何年もかけて聞き続けたからです。外国語の場合は全てを経験則から導き出すのは難しいにしても、この手法を使える範囲で利用しない手はないでしょう。

まとめ

そんなわけで、個人的に文法に関しては本当に基礎的な部分だけ学習して、あとはエンドレスに実践的インプットを繰り返して覚えていけばいいと思います。それは本でもYoutube動画でもChatGPTでも自分が好きなものでいいと思います。

オマケ: クロアチア語でオオアリクイ

昨日、ふと気づきました。ChatGPTにファイルを送れるようになっていたことに(気づくの遅い)。

で、何か画像を送って「これについてクロアチア語で書いて」とか言おうと思ったんですが、私画像ファイルほとんど持ってないんですよね。

で、たまたま持ってた唯一使えそうな画像が

↑記事のヘッダーに使ったオオアリクイの画像でした。

というわけでLet's Try★

オオアリクイの画像についてクロアチア語で語れという無茶ぶりをしてみた

クロアチア語でアリクイは"mravojed"というそうです。超重要単語ですね。テストに出ます。

ここまで来たらあの伝説の文もクロアチア語で言うしかありません。

「主人がオオアリクイに頃されて一年が過ぎました」ってクロアチア語でどう言うの?

"Prošla je godina otkako je mravojed ubio mog muža."
(主人がオオアリクイに頃されて一年が過ぎました)

多分、クロアチア語でこれ言えるの日本で私だけじゃないでしょうか^p^
東京外国語大学とかにクロアチア語の大家の先生がいるとしても、多分アリクイを何ていうかは知らないんじゃなかろうか🤔
(知ってたらすいません、アルマジロとセンザンコウもクロアチア語で覚えるので許してください) 

今度どこかに履歴書出す機会があったら
「特技:オオアリクイってクロアチア語で言えます」
って書こっと(なお、何の役にも立たない模様)

「主人がオオアリクイに頃されて2年が過ぎました」に替えてみたら色々直された^p^
3年経たせたけどまだ間違ってる
4年目でやっと正しく書けた。

というわけで、この主人がオオアリクイに頃されてから4年経った時点で以下の事を学びました。

  • 「年」は単数主格がgodina, 複数主格がgodine

  • 2はくっつく名詞に応じて形が変わる(この場合、dva→dvije)が、3以降は変わらない。ただし、12とかみたいに最後が2で終わる場合はどうなるのか知らない。

  • "passed"の女性単数はprošla、複数はprošleで、これ(a→eの女性単複語尾変化)は多分ほぼ全ての過去分詞に使える

  • "since"は"otkako"

念のため5年経たせてみたんだけど… あ、アレ?

数字が5以上だとgodine(女性複数)がgodina(単数??)に戻る??? あるいはたまたま単数と同じ形の別の格なのだろうか。動詞も過去分詞も複数のままなので、女性複数のgodineが何らかの格変化をしてたまたま単数主格と同じgodinaという形になった、と考えた方がしっくり来ますね。
そういえばロシア語にも5以上は複数生格になるとかいう意味不明な規則があったようななかったような

というわけで、これ以上掘り進むとこの記事がオオアリクイに占拠されてしまいそうなので、記事に載せるのはこのあたりまでにします(白目)

ジョークのつもりだったんですが、文法を実例から掘り起こしていく過程を割と見せられたのではなかろうか。5でひっくり返されるのマジで予想外で微妙にパニックになりましたが😂

(はい、5でも行けました!そういうことで皆さんごきげんようHAHAHAみたいなノリで終わらすつもりだったのにまさかの新規則出現)

しかし、この手の教科書で規則を学んでもややこしくて意味不明にしか見えないであろうものが、こんな感じでオオアリクイを使って楽しく(?)学べるのです。実際もうgodina, dvije godine, tri godine, četiri godine, pet godinaと1-5まで覚えてしまったので、ややこしくてもそんなに怖くない感じがします。あっぱれオオアリクイ!ビバオオアリクイ!

さらにオマケ

ChatGPTに画像を送ると規制が激しくなる模様です😭

2024/8/24 追記

数字のルール、掘り下げてみたらさらにカオスだった。
ちなみに↑で書いた5年経った文はChatGPTが盛大に間違ってたようです。が、とりあえず「主人がオオアリクイに頃されてから{6-20}年経ちました」ってあと15個くらい作文して何とかすべての規則を詳らかにしました😂
1年、2-4年、5年以上で形が変わるようです。

それにしても5年以上の場合は

主語は女性複数生格(godina)
動詞は中性単数(prošlo je)

ってどういうことなの???

と思ったけど、主語だったgodineが生格になって主語がなくなってしまうので、中性単数になっただけかと今この記事書きながら勝手に納得しました😂書くと頭が整理されるね😂

というわけで、「○○ years have passed since…」の構文は1-20まで全部覚えてしまいました。カオス過ぎるので、文法書で説明読んでも「何言ってんだコイツ(;^ω^)」としか思わなかったと思います😂



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