見出し画像

自分の意見が言えません。中1女子です。治す方法があるのなら教えてください。

 自分の意見を言えるようになるには、論理性を身につけることです。論理性を身につければ自分の意見に自信をもてて、自分の意見を言いやすくなりますから。自信をもって自分の意見を言うために、論理的に意見を組み立て、論理的に判断し、論理的に表現できるようになりましょう。

 「明確に示す」という側面から、論理的表現について説明します。自分の意見を論理的に表現するには、主張・理由・論理構造を「明確に示す」ことが必要です。

1.主張を示す

 まずは主張を明確に示します。そうしないと真意が伝わりませんから。私たちは、主張を明言することに気後れを感じます。「ハッキリ言ったら相手が気を悪くするんじゃないか」とか「ハッキリ言ったら自分が悪者になるんじゃないか」と考えて。確かに「相手が気を悪くすること」は避けるべきです。「自分が悪者になること」も自分から進んでなる必要はないでしょう。けれどこれらは明言しないことで調整するのではなく、明言することで調整します。「相手が気を悪くすること」も「自分が悪者になること」も、主張を曖昧にすることで避けるのではなく、むしろハッキリと示すことで真意を表現しましょう。
 例えば友だちがアナタに、その場にはいない他の友だち(Aさん)の悪口を言ってきたとします。アナタは悪口は良くないと考えている。この時に、相手の言う悪口に曖昧に答えることで「悪口に乗らない」という意味を暗示することになるのかもしれませんが、暗示は論理的ではありません。論理は言葉に宿ります。論理的であるには、言葉を曖昧にするのではなく、明確に説明することが必要なのです。例えば

悪口は良くないよ。相手が傷つくし、言う方も割りを被ることになるから。だから言わない方がいいよ

などと自分の真意を明確に説明します。「悪口は良くない」という意見を、主張を曖昧にすることで表現するのではなく、主張を確固とした言葉にして示す。これが論理的な態度です。私たちは曖昧にすることで気持ちを表現しようとしますが、それではハッキリと伝わりません。相手が気持ちをうまく汲み取ってくれない可能性もありますから。
 主張は明確に示すことで論理性が生まれます。

2.理由を示す

 次に理由を示します。そうすることで正しい理由を導けますから。私たちは普段、ただでさえ意見の中に理由を組み込むことが稀なのに、いざ理由を組み込んでもその理由が不十分な場合が多いもの。それは、理由を深く考えられていないからです。例えば次の意見を考えてみましょう。

主張:人参は食べた方がいいよ
理由:人参にはカロチンが入ってるからね

主張:猫より犬が可愛いいよね
理由:犬は活発だからね

主張:サッカーをした方がいいよ
理由:サッカーをすると体力がつくからね

 一見、これら3つの例は論理性の面で申し分ないように思えます。主張を理由が支えているように感じますから。が、これら3つの例にはすべて、見えない理由が存在しています。その見えない理由を書き足してみましょう。

主張:人参は食べた方がいいよ
理由:人参にはカロチンが入ってるし、カロチンは体に良いからね

主張:猫より犬が可愛いいよね
理由:犬は活発だし、動物は活発な方が可愛いからね

主張:サッカーをした方がいいよ
理由:サッカーをすると体力がつくし、体力はあった方が良いからね

 それぞれ、「カロチンは体に良い」「動物は活発な方が可愛い」「体力はあった方が良い」が加わりました。これらが、抜けていた「見えない理由」です。
 私たちは、「当たり前だ」と思うことを注意深く意識することができません。「当然だ」「問題ない」と思うが故に、それらを前提とすることに疑いを持たないのです。けれど理由を突き詰めて考え、「当たり前だ」と思うことを改めて明記してみると、それらは大して当たり前でないことに気づきます。「カロチンが体に良い」というのは根拠のあることでしょうか。「動物は活発な方が可愛い」というのは誰にでも当てはまるものでしょうか。「体力はあった方が良い」のはそうでしょうが、他のこと(勉強による知力や、趣味による好奇心など)を身につけられる時間を削ってまで「あった方が良い」ものでしょうか。あながちそうとは言い切れないはずです。
 このように突き詰めて深く考え、理由を十分に示すことで、正しい理由を導くことができます。だから、理由を明確に示す必要があるのです。

3.論理構造を示す

 最後に、論理構造を示すことを説明します。論理構造を明確に示すことで、意見がよりわかやすくなるからです。主張や理由を明確に示しても、それで終わりではありません。「それらがキチンとここにある」ということをも示さねばならないのです。比喩を使って言えば、「ネット記事」と似たようなもの。いくら良い記事を書いたところで、それらがネットに埋もれてしまっては誰も「良い記事がある」ことに気づいてはくれない。ネット記事は、良い記事を書くのに加えて「その良い記事がここにある」ことを示さなければ誰も読んでくれず、無意味に等しいのです。論理も同じ。たとえ明確な主張や、それをしっかりと支える堅固な理由があったとしても、それらが言葉や文章の中に埋もれてしまっては伝わり切りません。主張や理由がどこにあるのかわからないのでは、無いに等しい。相手の目に留まるように「ここ!」と示しましょう。そのためには、論理構造を示すことです。どれが主張で、どれが理由なのか。理由の中でも、どこからが具体例なのか。それらを相手や読み手が理解できるように示すのです。
 初めに主張を書いたら、その後で理由で支えねばなりません。その際は「なぜなら〜」「というのも〜」「だって〜」「〜だから」「〜ゆえに」という言葉で、理由があることを示しましょう。具体例を入れる時もわかりやすく、「例えば〜」「例をあげると〜」などと書いて、論理構造の目印をつけます。
 このように、相手にとってよりわかりやすい、より理解しやすい、より納得しやすい意見に仕上げるために、論理構造を明確に示すのです。

4.まとめ

 「相手が気を悪くするんじゃないか」とか「自分が悪者になるんじゃないか」という不安を打ち消し、真意を正確に伝えるため、主張を明確に示します。「当たり前」と思っている前提に疑いの光を当て、正確な理由を導くために理由を明確に示します。主張や理由をより相手に理解しやすくするため、論理構造を明確に示します。主張、理由、論理構造を明確に示すことで意見が論理性を帯び、自分の意見に自信をもてるようになります。そうすることで自分の意見を言えるようになるのです。




 自分の意見を言えるようになる論理的な作文講座は、こちらストアカからお申し込みください。

 質問等ありましたら、下記フォームからお問い合わせください。

 仕事依頼はこちらの記事をご参照のこと。

 プロフィール記事はこちら。

 有料記事、文章に深みを出すには。私の作文講座の核になります。


いいなと思ったら応援しよう!