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被った猫をそのまま住まわせたい記

10/6
職場の後輩だった“友達”二人と、プチ遠出へ。


かつては先輩だった人の口から出た“友達”というワードに心を躍らせ、

「私、今朝、ママに『今日は、友達と遊んでくるね』って、言ってきたんです…!へへ…」

と嬉しそうにしていた、大変かわいい最年少。

えへへ、と笑いあうキュートな二人だが、こうして集まるときはほぼ確実といっていいほど、寝不足で集合場所に現れる。

お互い深夜に寝て4時頃に一度目覚め、そこからしばらくは浅い眠りの海を泳ぎ続けて起床するらしい。

さながら、遠足前の小学生のよう。
頼むから睡眠だけはちゃんととってもらいたい。


ランチに訪れたレストランでは、美味しそうな料理に舌鼓を打つ…前に撮影会が止まらない。

自慢じゃないが、私は写真を撮るのがヘタだ。
いろいろ画角とか、写真が上手な人のも見て真似してやってみようと思うのだけど、なかなかいい写真が撮れない。

「こういうのはとにかくたくさん撮るんです!!」と前に教わってやってみた結果、ただただ、とにかくたくさんのヒドい写真が出来上がったこともある。

なので今回も、こんくらいかなという画角で2、3枚パシャパシャとシャッターを切り、大人しく二人のアシスタントをしていた。カメラマンにはとことん、向いていないと思う。


それにしても、私の友達はほがらかだ。
なにを見ても目を輝かせ、どれを食べても「ん〜!!美味しい!」と幸せそうにして、さらには雨が降っても晴れても、口が回らなくても変なイントネーションになっても、全部楽しいに変換していく。

私は「美味しい」も「嬉しい」も日常に溶かし、ついネガティブな言葉をこぼしてしまいがちなせいか、ポジティブを恥ずかしがらずに言葉にできる人を、ただただ尊敬する。

だから、まぶしさ満点なエネルギーの使い方をする人がそばにいるのは、とてつもなく大きな支えだ。

特別変わり映えしない景色にワクワクを見つけられる心のスタミナを、私も蓄えておきたい。


10/8
プリン頭をいよいよどうにかするため、4ヶ月ぶりに髪を染めにいった。

ショートボブからスタートした私の髪は、いまや鎖骨を通り過ぎるほどにまで伸びていた。前は2ヶ月に一回美容室に行っていたから分からなかったけど、髪ってすぐ伸びるんだな。


突然だが、美容室の鏡だと異様に顔がデカく見える気がする。家で化粧をしているときは「お、今日浮腫んでない!」とか思っても、あのイスに座って前を向くとパンパンマンが必ず映る。

美容室の鏡はそういう仕様なのか?と考えてみるも、美容ケアをする場の鏡を“顔がパンパンに見える仕様”にする意味が分からない。大人しく現実を受け止める、これが私の真の姿なのです。


それと、美容師さんと話すのは全然苦ではなく楽しいのだけど、ふいに会話が途切れたときの目線に困る。

どこ見てればいいんだろう。正面?

でも、無言でまじまじ自分を見続けたら「コイツ、めちゃくちゃ自分の顔好きなんだな」とか思われないだろうか。かといって、あちこちキョロキョロすると施術の妨げになっちゃうし、寝てると「仕上がりどうですか?」とか聞きづらいだろうし。


あと、表情もどうしてたらいいか悩む。
「ねぇ、普通の顔してくれる?」ってよく言われるほど、私は普通の顔が分からない。真顔と笑顔の間が30年間分からないのだ。

ずっと真顔も怖いし、ニコニコしてんのも怖い。ここ最近発覚した事実なのだが、私の真顔は結構怖いと思われていたらしい。それが割とショックだったのでにこやかにいたい。でも不審がられたくない。


ついには、シャンプーのときも悩む。
顔に不織布みたいなのを被せてもらえるけど、どれくらい透けて見えてるんだろう。

というか、頭洗ってる最中にわざわざお客さんの顔を見ることもないだろう。でも、ふと目に入ったとき変な顔してたら、なんか恥ずかしい。

気持ちよくて寝そうにもなるけど、あ、ダメだ…寝ると口があいてしまいがちなんだった…と眠気の波をどうにか乗りこなす。


そんなことを考え続けて、2時間が終わる。
結構神経を使うので、私にとって美容室はリラックスできる場所ではなく、トレーニングの場に近い。

でも、美容師さん側はもっと大変なんだろうなと思う。技術を駆使しながら、相手に気を遣って会話もする。ギターとかベース弾きながら歌うバンドマンと同じくらいハイレベルなことしてるんだもんな。


家に帰ると「かわいくなったね!!オレンジ?」と嬉しそうな夫。

ほんとありがとうね、これね、紫。


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