古事記の取扱説明書
前回は、古事記の基本情報を紹介しました。
まとめると、こんな感じ。
詳しくは前回記事をご覧下さい。
古事記に書かれているエピソードを紹介する前に、古事記には独特なルールみたいなモノがあります。
ルールというか、当時(奈良時代)と現代(令和)とでは、文化も常識も全く違うので、そのギャップだと思います。
そのルール(ギャップ)を知らずに古事記を読むと「なんじゃコリャ?」となり、面白さが半減するので、古事記の取扱説明書を用意しました。
この記事を読んでから古事記を読むと100倍楽しめます!
#100倍は過言
では、古事記の取扱説明書です。
諸説ありだらけ
古事記は、実際に起った事件や自然災害などの出来事を誇張したり別の言い方に例えたりして広まった歴史を神話化した面があります。
そのため、1つの物語に色んな要素が組込まれてしまったので、色んな見方が出来てしまうので、古事記の中では色んな所に諸説アリがあります。
本当のことを探すにも、昔過ぎて「これが真相です!」とは、なかなか証明できません。
時の権力者の思惑も含まれていそうで、その辺も真相が分かりにくくなっています。
元々全国各地にバラバラに伝わっている神話や歴史を半ば強引に1つにまとめたのも理由の1つですね。
なので、古事記を説明すると「〜と言われている」「〜と考えられる」「〜と思われる」「〜かもしれない」などの曖昧な表現になりがちですが、桜雪の記事ではあえて断言した言い方にしています。
そこんとこ宜しくです。
大量の神々
日本の神様は、八百万の神々と言われるだけあって、とにかく たくさんの神々がいます。
古事記に登場する神は、余裕で300は超えます。
#さすが多神教
でも、登場して名前を紹介されるだけ神もたくさんいます。
そのような神は、古事記の中であまり活躍することがないので、覚えなくても大丈夫。
古事記の物語を読む上では、20~30の神を覚えておけば、充分に楽しめます。
神の名前は長いし、別名あるし、途中で名前変わるし
日本の神様の名前は、長いのが多いです。
例えば、こんな神様たち。
天邇岐志国邇岐志天津日高日子番能邇邇藝命。
宇摩志阿斯訶備比古遅神。
呪文?必殺技?それとも、早口言葉?
いいえ。名前です。
古事記では、名前だけしか登場しない神もいるし、古事記の物語もギューッと凝縮させているので「こんな神様ですよ」を名前に込めています。
#込めすぎやろ
しかも、途中で名前が変わることがあれば、別名を持っている神もいます。登場する神は多いは、名前は長いは、名前は変わるは、別名持っているはで、パニックになりそう!
でも大丈夫。
パニックにならないよう、丁寧に説明していきますので、ご安心ください。
神の単位は「柱」
古事記には、たくさんの神々が登場するので、神の数を数えることがあります。
その時に使われる、神の単位は「柱」です。
神は、一柱、二柱、三柱 と数えます。
なぜ、神の単位は「柱」なのか?
古代の日本では、岩や木や山などの自然に神が宿ると信じていました。
自然崇拝ってやつです。
この神が宿るモノ(神代)の代表が「木」でした。
それがいつしか、神を数える単位が「柱」となりました。
「木」に「主(神)」で「柱」ですね。
ユダヤ教の聖書でも神のことを「主」と言います。
天に向かって高くそびえ立つ巨木を見ると、その生命力のある姿から神代の代表と思うのも納得できます。
ちなみに、ほとんどの神社には木に注連縄が巻かれています。
「木」ってなんだか神秘的ですよね。
3つの世界
古事記は、大きく3つの世界で構成されています。
その3つがコレです。
高天原
葦原中国
黄泉の国
高天原は、神しか住めない世界。
しかも、出身が高天原の神しか高天原には住めません。
葦原中国は、地上です。
ここには、神もいるし人も住んでいる場所です。
黄泉の国は、死後の世界です。
しかも、地上の葦原中国と死後の世界 黄泉の国は、黄泉比良坂よもつひらさかという坂で繋がっています。
つまり、古事記の世界観では、地上から歩いて死後の世界に行けます。
天津神と国津神
古事記には、本当にたくさんの神々が登場しますが、その神々は大きく2種類に分けることができます。
それが、天津神と国津神です。
超絶分かりやすく説明すると出身によって分類されます。
天津神:高天原出身の神
国津神:葦原中国出身の神
人間にとっては、どちらも偉大な存在ですが、
神同士となると、天津神の方が地位が高いようです。
4つの魂
日本の神には、4つの魂を持っています。
その4つがコチラ。
荒魂:荒々しく勇猛な魂
和魂:平和や調和を望む魂
幸魂:思いやりや気持ちを大切にする魂
奇魂:知性で構成された魂
人間にも、荒々しい側面もあれば優しい側面もあります。
神も同じ様なものと思えばイメージしやすいですが、人間とは少し異なります。
神の場合、各魂ごとに別々に存在することができます。
例えば、古事記のエピソードの中で、大国主命という神に、大国主命の荒魂が話しかけてくる場面があります。
つまり、自分の魂が、別人として単体で行動し、自分自身に話しかけてきたりします。
#さすが神話
何かにつけて「八」
古事記には八が付く言葉が多いです。
八尺瓊勾玉、八百万の神、八尋殿、八咫鏡 etc.
八には末広がりの意味があり、その縁起の良い意味が転じて、
大きい とか たくさん と言う意味を持つようになりました。
そのため、八百万の神は、数の800万を意味している訳ではなく、たくさんの神様と言う意味です。
取扱説明書として、古事記の独特なルールを紹介しました。
これで、古事記が1,000倍楽しめます!
# 当社調べ
次回からは古事記に書かれているエピソードを紹介しますので、お楽しみに!