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【読書感想文】子どもの話を聴く 司法面接の科学と技法

 ようやく夏季休暇期間に入りました。といっても、今日は研修会なのでまだ完全なお休みというわけではありませんが(^^;)
 日ごろは昼休みはもちろんのこと食事すらまともに取れない状態なので、まとまった時間に集中的にゆっくりと読書ができるというのは本当に貴重でぜいたくな時間だなぁと思っています。学生時代にはそうは思えていなかったので、
 今回は、公認心理師試験の勉強をしているときに気になった「司法面接」に関する本を読んでみました。

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 なぜ気になったかというと、公認心理師試験の問題の一つに司法面接についての出題があり、そこには「法廷でも使用することのできる精度の高い供述証拠を聴取することをめざした面接法の総称」とあったんです(※1)。
 これを教育現場、生徒が問題行動を起こしたときの生徒からの事情聴取に取り入れることができるのではないかと考えたからです。そこで「司法面接」に関する書籍を探したところ、タイトルに記した本書(※2)にたどり着いたというわけです。
 

 司法面接とは「虐待や犯罪被害にあったとされる供述弱者、すなわち未成年者や障害のある人から、何があったかという事実に関する情報を、できるだけ正確に負担なく聴取することをめざす面接法」(※2)である。

 この本を実際に読んでみると司法面接の定義通り、対象は主に(性的)虐待に遭った3歳から10歳くらいの幼児・児童に対する、面接の際の実例や注意点、具体的な質問例示が主な内容でした。
 私は教育現場において、中学生や高校生に対する面接・面談でなにか活用できるものがないかと考えていたので、そういう意味では直接的に活用できる内容はなかったのですが、質問の際に気をつけるべき点は数多く掲載されていた点が参考になりました。

例えば次のようなところです。
・はい/いいえ質問では正確な応答が返ってこないことが多い(あくまで幼児の話だが)。
・質問はオープンクエスチョンから開始し、自由報告が終わったら焦点化質問に移る。
・(操作面接において)質問計画を立てることは面接の重要なプロセスである。
・面接場所は、静かで注意を阻害するものが少ないこと。プライバシーが守られ安全な場所であること。

 もちろんほかにもいろいろありましたが、とりあえずこのあたりで。
 こうやって挙げてみるといずれも今更な感じはするが、このような方法が経験論ではなく科学的に正しい方法なのだと改めて確認でき、これまで感じたり行ってきたことが正しかったことなのだと思えることになったのは大きいことだった。

 この本は7章で構成されています。実例や具体例は4章から始まるので、先に4章から読んでいき、そのあとに前半3章を読むとよいかもしれない。私は最初から読んでいき、いきなり始まった具体的な事例の紹介などのため、3章まで読み進めたときに「・・・?」となったのですが、4章以降を読んだときに、「あ、ここの話に前半の章の話がつながってくるのね」と思えました。

 幼児・児童に対しての質問の仕方、話の聞き取り方なので、中学高校教員よりも、例えば保育士さんや幼稚園・小学校の先生、看護師さんなどには、よりためになる話なのではないかなと思いました。もしご興味がある方がいればぜひ目を通してみてはいかがでしょうか。

参考
※1 インターネットサイト「心理学用語の学習」より
※2 子どもの話を聴く 司法面接の科学と技法(Debra A.Poole 著、司法面接研究会 訳)

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