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「大学で失恋しまくった話、私小説にしてます!」【文学フリマ大阪12 出店レポート】

前回の東京38に出店不能となった瞬間、今度こそ…!という勢いだけで参戦することにした文学フリマ大阪12

が終わってから1週間以上も経ってしまいましたが、個人としては初出店かつ、大阪の文フリそのものに参加するのも初めてで誰か1人にでも自分の創作が届けばいいなと呑気に構えていたところ、さまざまな出会いや発見がありました。

忘れないうちに記憶の限り、ここに記していきたいと思います。

いざ行かん大阪の地へ、最安で。


東京38までの会場は東京流通センターでしたので、電車で気軽にいける場所でした。

しかし、今回は大阪。

地元埼玉から400km以上も離れたかの地に向かうためには新幹線か、飛行機か、

WILLER EXPRESS、今回もありがとう…

夜行バスしかないよなぁ

実は、6月に文フリ大阪の会場の下見と小説に登場するブルーピリオド展に訪れた際、人生初夜行バスにチャレンジしていました。


果たして自分は、夜行バスに耐えうる体力と精神を持っているのか。

そんな考えは杞憂で、もともとチェンソー並、否、ザリガニ並のメンタルとフィジカルを持ち合わせた自分には余裕も余裕。

故に、印刷代すら泣きながら出費している金欠大学生は此度も夜行バスで参戦。

2度目の大阪の早朝を肌で感じながら、たどり着いたロイヤルホストでchillした後、会場入りしたのでした。


超跳腸・いい感じに設営できた(?)


文フリ東京に何度か参加していて気づいていたこと。
それは、目に留まるブースには高さがあるということ。

ただ冊子を平積みするだけでは人の注目を引けないのは当たり前。

離れた場所から興味を持ってもらい、手前で足を止めてもらえるようお品書きやチラシ等を用意して自分の創作の世界に引き込む。

この循環を作り出すのが上手いブースは魅力的に映るのです。

初めてにしては上出来なのでは…?(笑)

A1・B3ポスターで高低差をつける。
販売する冊子もイーゼルに立てかけることで、覗き込まずとも通りすがる人々の視界に直接入るようにできた。

設営が終わってその全貌をフィルムに収めた時、「ここまでやれてよかった」と始まってもいないのに得がたい達成感さえ抱きました。

といってもそのほとんどが急ごしらえのもので、このブースの5割は100均のアイテムからできています。(便利だね!!!!!)


「出会い」こそ醍醐味だよなぁ!!!


冊子を売るだけならいくらでも選択肢があるこのご時世。
だというのに、我々はどうして文学フリマという舞台にわざわざ出向くのか。


予期せぬ「出会い」こそが何よりも至高だから。


SNSで事前に見つけたブースに寄るも良し、公式で用意されているwebカタログで気になるブースに目星をつけておくのも大切。

限られた時間で効率よく会場を回るためには、むしろそれらの準備は必須なのかもしれません。

それでも会場で自分に刺さるブースや冊子、ひいては文学に偶然出会えた時の感動はひとしおで、当日の熱狂にあてられて他人様の創作を手に入れたときこそ、脳が「楽しい!!!!!」と叫びだすのです。

(実際、今回はwebカタログを吟味している暇と余裕がなく、その場の出会いだけ楽しむ形になりました…)

それは出店者という立場でも同じでした。

ここからは特に印象に残ったお客様を紹介していこうと思います。


・ 「じゃあ買いましょう!」ニキ


設営を終えてイベントが開始された瞬間に後悔したことがありました。
それは、どんな声かけで自分の冊子を紹介するべきか、ということ。

連日の入稿作業や夜行バスで限界を迎えてしまった脳みそで最初は支離滅裂な声かけをしてしまったのですが、最終的に

「大学で失恋しまくった話、私小説にしてます!」

みたいな感じに落ち着きました。

ポスターに一瞬目を通しては去ってしまう人々が大半で、件の男性も同じかに思えましたが、自分が上記のように声かけをした瞬間、

「じゃあ買いましょう!」と踵を返して立ち止まり、そのままの勢いで冊子を購入してくれることに。

声かけってやはり大事なんだなと教えてくれた、ユーモア溢れる方でした。
(彼も恋愛拗らせてたりするのかな……)

・ まさかのnote読者【物書きセラピスト・りなさん】


14時頃に手伝いの友人に店番を頼んで会場を回ることに。

そこで目が止まった冊子の1つに「恋愛相談」というものがありました。

何でも、そのブースの出店者のりなさんは元メンエスセラピストという経験をもとに発信活動を行っており、その過程で受けた恋愛相談を紹介している冊子だそう。

恋愛相談を言語化してあるという時点で「これは買いだ!」と冊子を購入。

これも何かの縁だと今回無料頒布物として作った名刺を渡すと、思いがけない返事がありました。

「noteやられてますよね? 私読んでますよ!」

Xのフォロワーは80人足らず、noteのフォロワーだって200人も行かない自分の読者がまさか文フリ会場にいて、あまつさえ自分から声をかけた人が偶然そうだったなんて……

その後、わざわざ私のブースにも来て冊子を購入していただきまして、本当に感謝としか😭

自分の創作活動が本当に誰かに届いているのかと思うと、少し報われたようで素直に嬉しかった出来事でした。


・ 小学3年生……!?


イベントも終盤の16時に差し掛かった頃。

1人の少年が「チェンソーマンだ!」と声をあげて私のブースに駆け寄ってくれました。

どうやらお母さんと2人でご来場の様子。

チェンソーマンの紛い物でごめんよ……

と思いつつ、「これはお兄ちゃんが失恋しまくった話なんだよー?」と説明しても彼はその場を離れず表紙をじっと見つめていました。

「読んでみる?」と冊子を差し出すと、真剣な表情を浮かべては釘付けになって中身を読んでくれました。

その隙にお母さんに「お子さん小学生ですよね?」と尋ねると「今年、小学3年生になったんですよ」とのご回答。

俺、小3に何読ませてるんだろう。

純真無垢な瞳が俺の黒歴史を覗き見ている。
覚悟を決めてこの場に臨んだつもりが、少年のピュアな眼差しだけでもはや身投げしたい気分になりました……

「かっかも手伝うから読んでみる?」
「頑張って読む!」

そうしてお母さんのアシストもあり、お買い上げいただき……

少年よ、恋心を抱け。


出店者ゆえの反省

・ 直前入稿、意外と手はあるが……


流石に東京37の時のように冊子がイベント当日に届くなんてことは免れましたが、今回は当然、販売する冊子だけ入稿して作業を終えることはできませんでした。

設営用のA1・B3のポスターも入稿し終えたところで精魂尽き果てた私は爆睡……
した後に欲をかきました。

名刺作れないか?

以前文フリ東京に参加していた時にブースの出店者と話が盛り上がった際、
「どんな創作をしているんですか?」と問われた時がありました。

口頭で説明したり、noteやXのアカウントをスマホで見せたりしたものの、イマイチ反応が悪かったのです。

その時に名刺があればスマートだし、各SNSのQRコードをのせておけばスマホで気軽にアクセスできる導線にもなるなぁと考えていました。

しかし、作ろうと思い至り作業を開始したのはイベント前日の17時。

間に合うわけないと思われますが、可能性のある印刷会社を1つだけ知っていました。

東京を中心に、北は北海道、南は沖縄にまで店舗を構える印刷会社です(なんなら海外にも2店舗存在する)。

コワーキングスペースであるアクセアカフェを兼ねる店舗もあり、ただの印刷会社にとどまらず様々なサービスを展開しているのが特徴的。

今回、設営用のポスターをアクセアに入稿したところ、入稿後3時間で店舗受け取りができたので、そのスピード感にはかなり助けられました。

もしやと思い、名刺印刷のページを見ていると「最短3時間仕上げ!!」という文言があったため間に合うかは賭けでしたが、前日にも関わらず名刺制作にとりかかりました。

大阪行き夜行バスの出発は21時40分。東京の店舗で受け取るには入稿は18時がデッドライン。


結局、思いの外こだわってしまって作業を終えたのは19時半でした……


まだだ、まだ終わらんよ!!!と諦めずに検索していると、大阪駅の目の前にある店舗を発見(しかも24時間営業)。

これなら夜行バスで大阪に着いた後受け取れるのでは?

間に合った… !!!

前日の19時半に東京で入稿→当日の7時に大阪で受け取り
というムーブがまさかの成功。

全国各地に店舗があるというアクセアの強みを存分に活かした結果となりました(?)

しかし、直前入稿などメリットがあるはずもなく、塗り足しのエリアを勘違いして名刺上部の色をミスするという結果に。

こんな限界ムーブを真似せよとは口が裂けても言えませんが、選択肢の1つとしてはアリだと思います。


・ いかにして声かけを行うべきか


今回の文学フリマ大阪12では833ブースもあったそうです。

それだけのブースがあれば当然、さまざまな熱量の出店者が見受けられます。

そんな中、文フリの公式サイトでは販売妨害行為の例が以下のように挙げられています。

大声での呼び込み
ブースの外に立っての呼び込み・応対
隣接ブースの訪問者に対する声かけ
無理矢理の引き留め・しつこい勧誘
あなたのブースへの来訪者による隣接ブース前での立ち塞がり
スピーカー・楽器等の使用 (ヘッドホンによる試聴は可)
人だかりができるほどのパフォーマンス
不安定に物を積み上げる行為

https://bunfree.net/rules/entry/ より引用

声かけに関する妨害行為は「大声での呼び込み」「ブースの外に立っての呼び込み・応対」「隣接ブースの訪問者に対する声かけ」「無理やりの引き留め・しつこい勧誘」といったところでしょうか。

「ブースの外に立っての呼び込み・応対」は限られたスペースを会場全体で有効活用するためには禁止すべきですし、「隣接ブースの訪問者に対する声かけ」に関しては純粋にお客様の引き抜きということでしょうから、明確にダメなのは分かります。

しかし、「大声での呼び込み」「無理やりの引き留め・しつこい勧誘」はどうでしょう。

私自身、会場の雰囲気にあてられ、その場で声かけを考えて行なっていたため、声量にまで意識がいかず、かなり大声を出していたかもしれません。

無理やり引き留めようとしたつもりはありませんでしたが、少し目が合ったお客様にも声かけを行っていたので、一歩間違えればしつこい勧誘に当たりそうだとも思いました。

人によって許容の度合いが変わりそうなグレーな決め事に対しては、もう少し慎重になるべきだったと反省しています。

それでも、明るく楽しげな方が絶対いい。

座って無言で構えているよりも、立ち上がって自分の創作を笑顔で語りかけてくれる人の方が魅力的に映ると思うし、会場全体が楽しげな雰囲気に包まれる。

実際、その方が作品だけでなく、作者の人柄ごと楽しめるという二度の旨みがあるし、上記した「じゃあ買いましょう!」ニキのように、出会いのきっかけにもなります。

近隣のブースや来訪者から販売妨害を受けていると感じたときで、次のような場合には、遠慮なく主催事務局スタッフまでご相談ください。

https://bunfree.net/rules/entry/ より引用

という記載が公式サイトにありますので、その通報の有無や近隣のブースの方々の反応が判断基準ということでいいんでしょうかね……



・ 体力持たなかった……


文学フリマは基本12時〜17時開催で、創作に溢れるあの空間で過ごす5時間はいつもあっという間に感じられます。

しかし、出店者としての5時間は実際かなりキツかった。

まあ体調管理という言葉とは真逆をいくような行動ばかりしていたツケが回ってきたのですが(20時間連続のパソコン作業、直前の名刺入稿や設営準備、夜行バス etc…)、それ以上に耐え難いものがありました。

人の視線に晒され続けるのは想像以上にキツい。

それも文学フリマに訪れる人々は、程度の差はあれど創作に興味がある人間たちということ。

そんな彼らによる審判の眼差しが降り注がれ続ける5時間はあまりにも長く、精神的にも体力的にもかなり消耗しました。
(終了1時間前なんて、手伝いの友人から「脳死でティッシュ配りしてるみたい」って言われてしまいました……)

そんな疲労が吹っ飛ぶくらい、自分の小説が売れた時は嬉しかったですが!!!!


何はともあれ、少なくとも前日からは質の良い睡眠を取れるくらい余裕を持って諸々の準備を済ませておきましょう、未来の出店者の皆皆様。


・ 買い忘れ!?


なんやかんやありましたが、近隣のブースの心優しい方々に支えられながら、初出店でも無事に17時までイベントを完走することができました。

友人に店番を頼んでブースを1周し、数は少なくとも気になる創作を迎えることができて満足。


いや、近隣のブースの創作買い忘れてんじゃん!


あれだけよくしてくれたのに、めちゃくちゃ面白そうだったのになぁ。

灯台下暗しとはまさにこのことで、早めに買うべきだったと一番の反省点になりました。


俺の失恋で食う飯は美味いか???


今回は初めての文フリ大阪ということで、1冊でも売ることが目標でしたが、さまざまな人にお買い上げいただいた結果、売り上げは5桁に至る結果に。

これはもう祝杯をあげるしかないでしょう、ということで。


21時に夜行バスに乗り込むまで、ひたすらに大阪グルメを堪能しました!

自分が0から作り上げたものを売ったお金で酒と飯にありつくのは、あまりにも至高。

最後に、手伝いで来てくれた友人に酔いながらこう投げかけました。

「俺の失恋で食う飯は美味いか???」

「最高だよ」と返してくれた友人にこそ、大阪まで付き合ってくれてありがとうと今は感謝したいです。


【文学フリマ東京39出店について】

殺到する出店応募や東京ビックサイトという新たな会場、文フリ大阪12開催などの影響で、抽選結果の発表が遅れていましたが、

この度、文学フリマ東京39への出店が確定しました!

まずは入金からだ……!

というか、卒業制作の提出期間12/4〜なんですが(笑)

次回の新刊は2章までを改めてリライトし、3章以降の続きの話も収録した無線綴じの冊子にしようかと考えています。

漫画のように巻数が増え過ぎても1巻ばかり売れ続けるという現象が起きてしまいますので、いっそまとめて上下巻のように私の物語を締めくくろうという算段ですね。

今回「鎖鋸2」の方であとがきに記した通り、レイアウトや尺の都合上、省かざるを得なかった話が幾つか存在しています。

そちらは「音と紡ぐ自己」シリーズとして短編のようにnoteに上げていきたいと考えているので、ぜひこれからも他のSNSと合わせてご注目いただければ幸いです!


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