見出し画像

映画「サラエボ、希望の街角」(2010年)

大学図書館のDVDを次々観て「ネタ」を増やすべく頑張っていた秋学期。記録が追いつかず、だいぶ経ってしまいましたが、ようやく消化?できてきました。

デビュー作「サラエボの花」(文末に鑑賞記録のリンクあり)でベルリン国際映画祭の金熊賞をとったヤスミラ・ジュバニッチ監督が、同じくサラエボを舞台に、若いカップルの愛と苦悩を描いた作品「サラエボ、希望の街角」も所蔵されていて、最近、貸出可になっているとわかり、ヤッホー!

図書館ばんざい(∩´∀`)∩

主人公はボスニア・ヘルツェゴビナでキャビンアテンダントをしているボスニャク(ボスニア・ヘルツェゴビナのムスリム)の女性。航空管制官をしている、やはりボスニャクの恋人とラブラブ同棲中です。彼女は子どもが欲しいのですが、なかなか授かりません。

そんな折、恋人が勤務中に飲酒していることがバレて停職になります。

主人公に促され、禁酒の会に行ってみたもののなじめなかった恋人は、戦友との偶然の再会をきっかけに、イスラム原理主義へと傾倒していきます。

仕事に行くと出かけた恋人と連絡が取れなくなり、心配した主人公は、彼が働いているというイスラム原理主義者が集う合宿場所に乗り込んでいきます。

宗教に救いを求めることで癒しを得てゆく恋人は、彼女のファッションに口を出し、親戚の集まる場でも論争をふっかけるようになります。

果たして2人の行く末は…?

というお話。

ボスニア・ヘルツェゴビナの内戦終結から十数年経ち、平穏な日常に生きられるようになったように見えるサラエボですが、そこに生きる人たちは、やはり内戦の傷を負っています。

恋人は戦場での、主人公は少女時代の家での悲惨な経験が影を落としていることが話が進むにつれ、見えてきます。

恋人がアルコール依存症になったのも、主人公が子どもを熱望するのも、内戦でなくした大事なものを埋めるものだったのでしょう。

「サラエボの花」が、全面的に、内戦の傷と苦悩、そこからの立ち直りを扱っているのに比して、こちらはオシャレな感じを散りばめてあります。

オシャレな感じや日常を丁寧に描き出しているところも面白いのは面白いのですが、ちょっと中途半端というか、全体的に、いまひとつ掘り下げきれていないような、物足りなさがあるかな。もう少し違うものにできたんじゃないかな、という感じがありました。

監督インタビュー:

   ↑ おすすめ!

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集