料理人が自己投資を経て倹約家になるまで①
現在の僕はどちらかといえば倹約家に入るタイプの人間だと思う。年々出費を抑える術や知識を積み重ねられたことで、お金を使わない事を楽しめるように変わってきているからだ。
フランスに移住する以前から貯蓄の意識は高かったほうだと思うが、独身時代は節約することに対して、それほど積極的ではなかったと思う。
その理由の一つに、料理人としてフランス料理の本質やフランス文化を体験するためにフランスに移住したことが大きな理由になる。
フランスのレストランで働き始めた当時は、目に映るすべてのものが新鮮で刺激的な日々を送っていた。知りたい情報は現地まで足を運び、自分の目で見て体験し、味わうことで自分なりの解釈に結びつけていた。
普段の生活でも、好奇心のままに味わってみたいフランスの食材やレストランでの食体験、お酒等もフランスワインを中心に味わうことで、「フランスだから体験できる美食への探究心」を重視していたから。
そうすると当時は毎月手取り収入の約20〜40%を美食体験費として出費したいたと思う。
まぁこの出費も、「美食の探求」という目的意識のある前向きな出費だったので、出費の中でも仕事や美食探求のモチベーションを上げてくれる、自己投資に分類することはできると思う。
結婚してからも、しばらくはそんな日々は続いていた。
ただある程度のフランス料理の知識や経験、そして自分自身も年齢を重ねてきたことで、価格に対する料理の感動や刺激的な驚きには上限はあると思うようになってきた。
つまり以前のように積極的にレストランでの食体験や旅をする回数は減ってきた。
これは決してネガティブな表現ではなく、自身の美食の探求に対し情熱が冷めたというわけではないことは理解をしてもらいたい。
ただ今までなら知識・経験・技術不足で表現、具現化できなかったことが自分でも生み出せるようになり、お金をかけることでしか体験できないと思っていた美食の探求も、フランス料理の美食の本質を自分で解釈できたことで、未知や未体験だからという理由だけで、刺激を外側に求めるようにならなくなってきたからだと思う。
また同時期に家族の存在が増えることで、今まで味わったことのない新しい種類の楽しい時間を身近で体験できるようになれたり、家族がいることで初めて発見できた美食の体験は増えた認識でもある。
そして家族との時間を日々過ごす中で、妻とはお互いの価値観をすり合わせて生まれたきた理想の生活や住まいなどの将来設計。また今後の人生の楽しみ方や老後に向けての貯蓄や住む場所など。
そんな話を繰り返していると、少しずつ僕が目指している豊かな生活ってなんだろう?という質問を自分自身に問いかける時間が増えてきた。
幸せの価値観や将来に叶えたい生活の理想像は人それぞれだし、各家庭で異なる。
以前ならほぼ100%自分の美食の探求だけに費やしていたお金や時間も、数年前から家族の将来あるべき幸せと理想像を作り出すために、自分の収入からの出費や時間の使い方は、将来の家族のための投資のための割合に増やせている。
それは先日の記事でも書いたように、家族の生活スタイルの変化による不動産購入、老後を見据えての貯蓄と投資、また常日頃の生活の中で発生する浪費や出費などのお金の流れなどなど。
基本我々夫婦はお財布は別々。共通口座はあるが、ここからのお金の出費は食料品と日用品の購入、そして月1〜2回程度の外食や、毎週末の娯楽費等もこの共通口座から出費している。
その他の家賃・光熱費・通信費は僕が負担し、息子の教育費や被服費は妻が負担。車の維持費は、先月からそれぞれ車を所有できるようになったのでお互いが車の保険等の維持費は負担している。
とにかく僕ら夫婦はお互いのお金の使い方に関して干渉はしない。僕は妻がいくら月々出費しているか知らないし、彼女も僕の財布事情は知らない。
だから基本自分たちで得た収入は自由に使う事ができる。
僕は妻が高価な買い物をしても口を挟まないし、彼女もまた同じ。それにお互い何に対して消費をしているのか、価格はわからなくても大体は把握はしているつもりである。
つまり、お互い個々で出費はあっても浪費が極めて少ないから信頼できていると思う。
また食の好みや娯楽の楽しみ方などの価値観が近い。例えば安価な食材でも、それぞれ美味しい料理を作ることができる自炊能力が高く、どんな食事でも好き嫌いなく楽しめる。
そして特別な出費をしなくても、休日や日帰りのお出かけも一緒に楽しめるメリットがあるのは非常に大きい。
それに地方の田舎暮らしのおかげもあり、パリなどの大都市に比べて魅力的なお店を発見して吸い込まれる機会が極めて少ない。日本でもそうだが、買う気がなくてもお店に入ったら購入してしまうケースは多いと思う。
例えば僕はとてもワインが好きで、飲むのも好きだが収集することも一つの趣味である。大都市リヨンやワインの産地で有名なボルドーの中心地で暮らしていた頃は、街を歩けばそこら中にワインショップがある。
休日ともなれば、ちょっと散歩しただけでワインが目に入り、気になるワインショップを覗いただけのつもりが、店を出る頃にワインを数本抱えて自宅に戻るなんてことはしょっちゅうあった。
今は散歩しても自宅周辺には住宅街と大西洋が広がる海辺しかない小さな町なので、心も落ち着いて散歩ができるし、以前に比べて収集グセも一段落しているので、珍しく入手困難と理由だけではワインを衝動買いはなくなった。
もう一つ浪費が少ない理由は、住んでいる地域に共通の知り合いや人付き合いも限られていることもあり、友人の誘いによる急な出費はほぼないに等しい。
そのため毎月夫婦それぞれ貯蓄や投資に割り当てられる費用や、生活に必要最低限の消費額はとても計算しやすくいことは大きなメリットだと思う。
ただこういうふう未来を見据えて、消費・浪費・投資をコントロールできるように自分が変化できたのは、家族や妻のおかげだと思う。
特に妻は何かを購入する際は下調べが念入り。身近なところで普段の食品や日用品の買い物も、普段利用している2つのスーパーの価格の比較や、割引商品に目を光らせたり、ポイ活などをとてもうまく利用している。
次回はそんなフランスのスーパーの話やポイ活のお話も交えて記事を書こうと思います。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
次回の記事も
Chef Ichi