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美味しいブランケット・ド・ヴォー【前編】
皆さんこんにちは、Ichiです。
日に日に気温もあがり、僕が暮らすフランス中西部に位置する海のある町は、日中10度を超える陽気の日が続いています。
季節も変わり目を迎えて、春がもうすぐやってくる気配を外の空気感や温かい日差し、そして穏やかな風から感じることができます。
スーパーやマルシェに行けば春に旬を迎える食材たちも、徐々に顔を見せ始めてきました。
寒かった冬から、心も体も開放的になってくる春になるにつれ、家の食事もグラタンや煮込み料理のような熱々で単一色の色合いの料理から、アスパラガスのサラダやグリーンピースの冷製スープなど、彩り豊かでフレッシュな味わいの料理を楽しむことができるようになります。
料理いつだっては手軽で満足感も得られる季節を楽しむ一つの方法ですね。
料理人としてフランスで長く生活していると、フランス家庭料理にふれる機会は多くあります。
僕が作ってきたフランス料理の中でも、フランス人から嬉しい感想を言われることは、おかげさまで沢山経験することができたと思います。
彼らからの感想の中には、
「幼い頃を思い出すな〜」
「幼少期に戻った気持ちになれたよ」
「おばあちゃんがよく作ってくれたな」
と、彼らの心に大切にしまっていた記憶や思い出を丁寧に自ら取り出して、宝物を見せてくれるよな表情で僕に話してくれる瞬間は、僕自身の心も一緒に癒やされるように嬉しくなってきます。
料理は至ってシンプルです。
例えばチコリとハムのグラタン、ポトフ、ラザニア、そしてアッシェドパルマンティエといった、数人前を一度に沢山作ることができる、家族で食卓を囲むのに適した料理が多いです。
その中で最も多くのフランス人に喜ばれたフランス家庭料理といえば、ブランケット・ド。ヴォーです。
ブランケット・ド・ヴォーは僕も大好きなフランス家庭料理の代表的な存在。
日本語に訳すと【仔牛のクリーム煮】と紹介されていると思いますが、生クリームは、仕上げのソースの中に少量加える程度。
正しく訳すのであれば、もしかしたら【仔牛の白い煮込み】みたいな名前のほうが良いのかもしれませんね。
この料理で主材料になる仔牛肉はフランスのスーパーやお肉屋さんで一般的に購入できるお肉です。
既に【ブランケット用の仔牛肉】とチケットに書かれて売られている場合もあります。
自分で仔牛肉の部位を選ぶ場合は、煮込み料理に適した部位を選びます。
どこの部位を使っても良いというわけではありません
脂身や筋・コラーゲンが少ない、ヒレ肉やロース肉などの部位を使うと、煮込むとパサついた食感になってしまいます。
旨味や香りは煮込んでいる最中にほぼ全て液体に流れ出ていってしまうので、仔牛肉の上品な風味も旨味も味わえなくなってしまいます。
ブランケット・ド・ヴォーに適した部位は、仔牛の首肉、肩肉、もしくはロースのカブリ部位になります。
これらは適度な脂・筋、そして肉の中にコラーゲンを含んでいるので、適切な火加減と煮込み時間、そして塩をするタイミングを選択すれば、仔牛肉ならではのジューシーで上品な旨味を堪能する事ができます。
日本では仔牛肉を一般的に入手できる肉ではないので、豚肩肉で代用して作ってもいいと思います。
そして一緒に煮込む香味野菜は基本的には常備野菜の玉ねぎと人参。
他にはクローブやローリエといったスパイスとハーブが最低限あると、香りに奥行きをつくる事ができます。
もう一つ定番のマッシュルームは、仔牛肉から取れたブイヨンを使い、別の鍋で火を入れをしてから最後にソースと絡めて仕上げます。
香味野菜は長時間の煮込み時間による煮崩れを防ぎたいので、大きい形のまま仔牛肉と一緒に煮込みます。
仔牛肉が柔らかくなったら火を止めて、塩を加えて一晩や休ませます。
塩を最後に入れる狙いは、ブイヨンの旨味や香りが肉や野菜によく馴染みやすくするためです。
一晩休ませたら、ブイヨンからお肉と野菜を取り出してから、ブイヨンを煮詰める工程に入ります。
ブランケット・ド・ヴォーの調理工程で、最も特徴的な点といえばソース作りでしょう。
ソースのベースとなるのは、仔牛肉を煮込んで出た旨みたっぷりのブイヨンです。
仔牛のブイヨンは肉の旨味の他に野菜の甘味、スパイスとハーブの香りの奥行きがある美味しいスープでもあります。
このブイヨンは三分の一ほど煮詰めますが、煮詰めただけではまだまだシャバシャバなのでソースとしては成り立ちません。
そこでブイヨンに濃度とコクを与えるべく、小麦粉をバターでじっくり弱火で炒めたルゥーブランを加えて、ブイヨンに濃度を与えます。
濃度が付いたソースは、仕上げナツメグと白胡椒に生クリームにレモン果汁、そして必要であれば塩も加えて味を整えます。
最後に味に深みとコクと奥行きを与えてくれる卵黄を加えてソースを仕上げます。
ここで一つブランケット・ド・ヴォーのソースについて重要なポイントがあります。
ソースは味を整えてから仕上げに卵黄を加えるのが本式なのですが、卵黄をソースに入れた後はアツアツに温め直すことはできません。
いや正確に言えばできないわけではないのですが、卵黄を加えた後にソースが沸くまで熱すると、熱で卵黄が凝固して、せっかくのなめらかで美しいソースが台無しになってしまいます。
ソースを仕上げてからすぐに食べきるのであれば、問題はないと思います。
ただお肉類の煮込み料理などはある程度、多めの分量で作ったほうが本来のあるべき旨味や香りを味わうことができ、美味しく仕上げることができます。
そのため最低でもお肉の量は800g〜1kgあると理想の味に仕上げることができます。
レストランでも同様で、ブランケット・ド・ヴォーを作るときは少量の数人前を作るようなことはありません。ある程度まとまった分量で20〜30人前の分量を一度に仕込みます。
極端な話、最後に卵黄を入れなければ良いだけの話なのですが、少量で作って一度で食べきるだけの分量では旨味も香りも物足りなくなり、だからといって多めの分量で作って卵黄を仕上げに入れないとブランケット・ド・ヴォーの本来の魅力を味わうことができません。
ということで、今回紹介するブランケット・ド・ヴォーの作り方は、実際にレストランで作っている時とほぼ同じ作り方を再現して、自宅でも再現しやすいように調理工程をシンプルにしてレシピを解説します。
ブランケット・ド・ヴォーの付け合せと言ったらバターライスが定番です。
バターライスの作り方は過去の記事でも紹介していますが、一点違う点を上げるとすると、お米を仔牛肉からとったブイヨンで炊いている点です
前置きが長くなってしまいましたので、火加減・加熱時間や気をつけておきたいポイントなどを交えながらより、次回は詳しく解説していこうと思います。
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Chef Ichi
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