見出し画像

メール・LINE・Push通知、どう使い分ける🤔? 企業事例から学ぶ最適なコミュニケーションチャネル戦略

こんにちは。チーターデジタルでコンサルタントをしている小木です。
MAシナリオやメルマガ、LINEなど、ブランドの顧客コミュニケーションを担当している皆さんは、こんな悩みを抱えていませんか?

「メール開封率が低すぎて困っている…」
「LINE、アプリ、メール…どのチャネルを中心に据えるべき?」
「各チャネルの使い分けに明確な戦略がない…」

実は、多くの企業がMA施策における「配信チャネルの選定」で試行錯誤を重ねています。
今回は、日々のクライアントワークで得た知見や個人的な調査をもとに、配信チャネルの効果的な選び方と組み合わせについてお話ししていきたいと思います。


1. なぜ今、配信チャネルの選定が重要なのか

メール、LINE、アプリのPush通知… 皆さんは普段どのチャネルを使って顧客とコミュニケーションを取っていますか?
実は、これらのチャネル選定が、顧客コミュニケーションの成否を大きく左右するポイントになっています。その理由は主に3つあります。

1つ目は、デジタルチャネルの多様化です。
かつてはメールがコミュニケーションの主流でしたが、今やLINE、SNS、アプリと、顧客は複数のチャネルを使い分けています。企業側も「とりあえずメール」という発想から脱却し、戦略的なチャネル選定が求められる時代となりました。

2つ目は、顧客体験の変化です。
例えば、ECでの購入、店舗での商品確認、アプリでのポイント管理など、顧客は様々な場面でブランドと接点を持ちます。それぞれの接点で適切なコミュニケーションを行うには、各チャネルの特性を理解し、顧客体験の流れの中で効果的に組み合わせる必要があるのです。

3つ目は、コミュニケーションの質の変化です。一方的な情報発信の時代は終わり、顧客との双方向のやり取りや、パーソナライズされた体験の提供が当たり前となっています。そのため、どのチャネルでどんなコミュニケーションを行うのか、より緻密な設計が必要になってきているのです。

つまり、チャネル選定というのは、顧客との関係性をどう構築し、どんな体験を提供していくのか。その戦略そのものを形作る重要な要素なのです。

では、具体的にどのようにチャネルを選び、組み合わせていけばよいのでしょうか。まずは、各チャネルの特性を詳しく見ていきましょう。

2. メールの現状と各チャネルの特性

メールの現状は…?

かつて顧客コミュニケーションの王道だったメール。しかし、最近では以下のような問題が顕在化しています。

  • 若年層のクリック率低下

  • 捨てアドの増加によって反応率が低下

  • SNSへの時間消費シフト

  • セキュリティ懸念によるクリック忌避

実際、あるアパレルブランドやECサービスのデータを見ると、20~30代のメール開封率・クリック率は他の年代と比べて著しく低い傾向にあることがわかっています。

主な配信チャネルの特性

では、他のチャネルはどうなんでしょうか?各チャネルの主な特性を整理してみます。

主な配信チャネルの特性

このように、各チャネルにはそれぞれ異なる特性があり、一長一短です。ここで大切なのは、「どのチャネルが最強か」という議論ではなく、各チャネルの「得意領域」を活かした組み合わせを考えることです。

例えば、
📧 メール → じっくり読んでもらいたい詳細情報の配信や、複数商品の紹介、パーソナライズされたレコメンド
📱 Push通知 → 時間や場所に紐づいた即時性の高い情報、アプリの機能利用促進、お得情報の訴求
💬 LINE → リッチコンテンツを活用したカジュアルな情報発信、双方向のコミュニケーション、若年層へのアプローチ
といった具合です。

自社の顧客層や提供価値に合わせて、最適なチャネルミックスを設計していくことが重要です。
では次に、実際の企業がどのようにチャネルを組み合わせているのか、具体的な事例を見ていきましょう。


3. 実践的なチャネル活用事例

①ニトリ:オーソドックスなチャネル使い分け

  • 📧メール:基本的な商品情報とパーソナライズされたフォローシナリオ

  • 📱Push通知:LIVE配信等のリアルタイム情報

  • 💬LINE:定期的な情報発信やチラシ配信

ニトリのケースは、多くの企業に共通するベーシックなモデルです。各チャネルの役割分担が明確で、特にLIVE配信でのPush通知活用は、コロナ禍以降よく見られるようになりました。基本的な情報伝達はメールで、即時性の高い情報はPush通知で、という使い分けが特徴的です。

②北欧、暮らしの道具店(クラシコム):多チャネル拡散型

  • 📧📱💬全チャネルで豊富な高品質コンテンツ広く配信。

  • 時間帯を考慮した配信設計:メール→朝10時/Push通知・LINE:夜22時と決まっている

  • 顧客の好みに合わせてチャネル選択してもらう:メール、Push通知、LINEのほか、SNS、Youtube、インターネットラジオも配信!

顧客のライフスタイルに寄り添った配信設計が特徴です。朝のメール、夜のPush通知とLINEという時間帯設定は、顧客の生活リズムを意識したもの。「丁寧な暮らし」というブランドコンセプトが、チャネル戦略にも一貫して反映されているようです。

③JINS:アプリ集中型

  • 店舗来店客の多くがアプリ利用している(らしい)

  • ほとんどのコミュニケーションをアプリに集約

  • メールやLINEの配信は最小限に抑制!?

言わずと知れたアイウェアブランドのJINSでは、アプリに実用的な機能(度数管理、保証書管理、バーチャル試着など)を搭載し、顧客にとっての必要性を高めることで、2020年時点で既に来店顧客の4割以上というアプリ普及率を実現。あえてチャネルを集中させることで、顧客との濃いエンゲージメントを構築しているように見えます。
この事例から学べる重要な示唆は、アプリの機能的価値の高さです。顧客にとって「使わざるを得ない」「使いたくなる」機能があることで、アプリはコミュニケーションチャネルの一つから、顧客体験における必須プラットフォームへと進化します。そこにコミュニケーションを集約する戦略は、自然な流れと言えるでしょう。

4. 自社の特性に合わせた設計のポイント

さて、最後に最も大事な話になりますが… チャネル活用を成功させるためには、何よりもまず自社の業態特性をしっかり理解することが大切です。
下記に、業態によって会員登録からの接点がどう違っているかを示しました。

いつ、どのチャネルで顧客とつながれる?

例えばECサイトを運営しているブランドなら、最初はWebサイトでの接点から始まることが多いでしょう。そこからメール会員登録で関係性を作り、徐々にアプリのダウンロードを促していく。愛着が深まってくるとLINE/SNSでつながっていく…という段階的なアプローチが自然な形となります。

一方、実店舗がメインのブランドでは、会員証代わりのアプリやLINEが最初の接点になることが多く、その後メールでの関係構築へと進んでいくというパターンをよく目にします。

メーカーの場合はどうでしょうか。多くの場合、製品購入後の登録やキャンペーン応募がメールでの最初の接点となり、その後LINE/SNSでの情報収集やアプリの機能利用へと広がっていきます。

このように、業態によって顧客との最初の接点や関係性の深まり方は大きく異なります。自社の特性を理解し、顧客との自然な関係構築の流れに沿ったチャネル活用設計が重要です。

5. まとめ:成功するチャネル戦略のために

これまで見てきたように、MA配信チャネルの選定は、単純に「メールは古い」「LINEが新しい」といった短絡的な判断で決めるべきではありません。大切なのは、伝えたいコンテンツや顧客との関係性に基づいた戦略的な選択です。
まず自社の顧客接点を丁寧に整理することから始めましょう。
そのうえで、各接点でどんなコミュニケーションが必要なのかを検討します。ニトリのように内容に応じて使い分けるのか、JINSのようにアプリに集約させる戦略を取るのか。自社の強みを活かせる形を選びましょう。
これらの選択に「正解」はありません。自社の特性と目指す顧客体験に照らして、最適な組み合わせを見つけていく。それこそが、成功するチャネル戦略の本質です。
皆さんも、ぜひ自社のチャネル戦略を見直してみてはいかがでしょうか?


Author

小木 奈々美 (Nanami Ogi)
Manager, CX Consulting Service - CHEETAH DIGITAL
WebサイトとMAマーケティングを中心に、デジマ分野で約20年。現在はMAを活用した実践的な施策の立案からクリエイティブ制作に至るまで、マーケターへの一貫したサポートを提供しています。


チャネルの組み合わせを検討する前、施策検討の部分でお悩みの方へ
【eBook無料ダウンロード】成長のための戦略的基盤を手に入れる
~点・線・面 で描くMA施策の全体設計~

note記事「MAツールの真価を引き出そう:顧客LTVを高める施策ラインナップの作り方

分析・クリエイティブ・製品・最新技術など…マーケティングに役立つ情報を発信中!
チーターデジタルBLOGはこちら
過去セミナー動画やeBookなどのコンテンツはこちら


この記事が参加している募集