【ゲスト日記 #6】リアル・アラバスタ王国を見たり アルビルより
やすこさん、りなの姐さん
初めまして!&ご無沙汰してます!
りなさんからゲストとして呼んでいただき、今回投稿をさせていただきます。医療系のNGOでイラクのアルビルに駐在してます、牧野アンドレと言います。
りなさんとは地元が一緒で、僕の小学校の先輩にあたります。
ただ僕らの出会いはヨルダン、というすごい奇跡。
お互いを知らないまま、ヨルダンの日本人忘年会に参加。そこでお互いの出身地を話していく内に、「あ、東京出身なんですかー、ちなみに東京のどこですか?」「え、山の方?どこの山!?」「それめっちゃご近所さんだー!」となっていた4年前が懐かしいです。
蓋を開ければ実家同士が徒歩5分圏内で、親同士も町内会で知っている仲という。
出会いの経緯の説明が長くなりました。笑
りな姉さんは現在、山にハマってるということなんですが、僕も今、「山の他に友はなし」と言われる人々の中で暮らしています。
僕の現在住んでいるイラク北部のアルビルという街は、イラクの中でもクルド人自治区と言われる場所にあります。
クルド人といえば、1991年にUNHCRの歴史上初めて支援対象となった国内避難民としての人々であったり、それを決定した緒方貞子さんを連想する人もいるのではないでしょうか。主にイラク、シリア、トルコ、イランの4ヵ国にまたがって暮らす「国を持たない世界最大の民族」で、様々な勢力に利用されては裏切られてきた歴史を持つ民族です。
この「山の他に友はなし」というクルドの格言も、この歴史を受けて言われ続ける言葉なのですが、ここクルディスタンは本当に自然も豊かで人々も温かい場所なんです。
僕は2018年、初めてクルディスタンを旅をしたのですが、2週間弱の旅行で使用した予算はなんと7,000円強というものでした。
もともと数人知り合いはいたのですが、別の街に行くと言うと彼らがそこに住む友だちや親戚を紹介してくれて、絶対に宿代は取らないし、ご飯代も払わせてくれない。「お礼に飯くらいご馳走させてくれー!」と言っても「お客に払わせるかーキエェェー」という具合に頑なに払わせてくれませんでした(ちょっと誇張が入りました)。
日本でいう「お・も・て・な・し」とは、代価に対して最大限与えるもの、と僕は理解していますが、クルドの人たちのおもてなしは真に無償のホスピタリティなんだなと、つくづく感じます。
あ、それに他の中東諸国であるような「シーニー」とか「チンチャンチョン」も一度も言われたことないですよ。
礼儀正しいというか、お客さんに失礼のないように、という意識が浸透しているんだなーと感じます。
そんなクルドの人々の暮らす中心都市アルビルなのですが、残念ながら「観光地!」というような観光地は中心部にある世界遺産、アルビル城塞(推定6,000年前の建造物!)とその周りのバザールくらいしかありません。イラクの中央政府地域の方に行けば、有名なメソポタミア時代の遺跡なんかもあるのですが、日本人が気軽に観光に行けるような場所ではありません。
つまり観光資源は少ないのです。
ただそのはずが、クルド人自治区にはイラク中部や南部から多くの国内観光客が集まります。彼らは何の目的で北部に来るのでしょうか...?
それはズバリ、最初にご紹介した自然です!
アルビルよりもさらに北、イランやトルコとの国境線近くの方へと行くと4,000m級の山々が1,600km以上に渡り連なるザグロス山脈の端の方に繋がり、気候が一気に涼しくなります。
国内観光客や地元のクルド人も、週末には北に車を走らせ、みな家族で山や川辺でピクニックを楽しんでいます。
かかるのはガソリン代と食費くらい。娯楽施設でお金を掛けなくても、安上がりに飲み食い歌い踊り水タバコを吸いのんびりして週末を楽しんでいます。
クルド人自治区に来ることがありましたら、ぜひこの自然を楽しんでください!
トレッキングのために訪れる欧米からの観光客もいるので、山に絶賛恋愛中のりな姉さんにもオススメです!
ところで、タイトルにした「リアル・アラバスタ王国」って何かという話をそろそろした方がいいかと思うのですが。
イラク北部といっても、低地にあるアルビルは夏は50℃超えの酷暑、雨も5月を最後に半年近く降らない場所なんですね。それがやっと最近、11月に入ってやっとまとまった雨が降り始めました。今年は例年に比べて初雨は少し遅いらしいです。
初雨が降った先日、はしゃぐ現地スタッフを横目に僕も嬉しくて事務所から外に出たのですが、ふと道の反対側を見ると、外で子どもたちが口を開けて上を向いてたんです。
それが漫画ワンピースのアラバスタ王国編で、ルフィがクロコダイルを倒した後、雨が降る中嬉しそうに口に水を溜める子どもの描写と重なり、一気にアラバスタ王国にいる気分になった訳です。
雨がほとんど降らない乾燥地帯にいると、雨のありがたみが本当に骨身に沁みます。
ただリアルな話をしますとその雨、半年間空気中に溜まりに溜まった埃を全て引き連れてるので、まあ汚いんですよ。
外を走る車が真っ黒になるくらい汚いんです。
そんな雨を子どもたちは口に溜めてるのかーと、一気に美しいアラバスタ王国の風景は脳内から消え去り、彼らの健康が心配になり始めていました。
たぶんワンピースのあの描写も、実際はもっと汚い水なんだろうなと推測します。
そんな冬を間近に控えたアルビルからのレポートでした!
なんだかクルド人自治区の観光大使みたな日記になってしまいましたが、本当にいい場所なので、ぜひ、やすこさんもりなさんもいらしてください!
p.s.
ちなみにアルビルで僕が最もよく食べるチーズは、米KRAFT社の缶入りチェダーチーズです。これを缶から出して、2週間くらい冷蔵庫で熟成させると、いい硬さと臭みのあるチーズが出来ます!これがワインに合うのです。
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