映画きみの色とニーバーの祈りの言葉
今公開された映画できみの色というのがあるけど、その中にラインホルトニーバーの祈りの言葉というのが使われているね。
変えられないものを変えられないものとして、受け入れる勇気をおあたえくださいと言う祈りの言葉だね。
このラインホルトニパーだけど、なくなったのは今から50年位前だから、現代の人なんだよね。
そして彼が1番問題だとしたものは、価値相対主義と言うものなんだよ。これは別の言葉で言えばニヒリズムと言うことだね。
この価値相対主義と言うのはどういうことかと言うと、絶対的なものは、自分だけであって、それ以外のものは相対的な価値しかないと言うことなんだ。
これは極端まで行くと、例えば自殺することと、自殺をしない事は、価値としては同じだから、死んでも問題は無いと言うことにもなり得るんだよ。
それから人を殺すと言うことだって、殺さないと言う事と、意思決定の価値としては、同じということにもなりかねないんだね。
結局、これは自分の意思そのものが最高の価値を持っているということになるから、ニーチェの権力の意志とかニヒリズムとつながってくるわけだよ。
そしてこれが現代社会の最大の問題だと考えて、ラインホルトニーバーは変えられないものがあるということを祈りの言葉の中に入れたんだね。
変えられないものとは、キリスト教的に言えば、例えば性別だよ。これは神が決めたものであって、本当は自分で変えちゃいけないわけさ。
それから夫婦仲が悪くても、本当であれば夫婦になった事は、神の前で契約したことだから、極力変えちゃいけないわけだよね。
このように変えてはいけないものがあって、それを受け入れるということが幸福の始まりだと言うふうにニーバーは考えたわけだよ。
それを祈りの言葉にしたのが、変えられないものを受け入れる力を与えくださいと言う祈りだよ。
神が決めて変えられないものを、変えられると考えるのが、傲慢って言うやつだよ。
今度の映画でも、変えられないものを変えられないものと考えようと努力することで、3人の主人公が、それぞれ幸せになったり、前向きになったりしていたんじゃないかと思うんだ。
だからこれは、音楽と青春の映画ではあるけれども、現代社会の問題を切り取った映画とも言えると思うよ。
この山田監督と言う人は、やっぱり鋭い感性を持っているね。