メゼニ塗りのマスタークラス
11月4日から2024年4月12日まで、モスクワのВДНХで開催中の展覧会『ロシア』。
ロシアだけで万博をやってしまったような規模の展覧会です。すべて無料で公開されています。
そして、月曜日以外、毎日日替わりのイベントが実施されているので、1度行った会場でも、イベント内容が変われば、何度も行ってしまいます。もちろん、イベントも無料です。
日替わりイベントは、何があるかな?と毎日チェックしていて、興味があるイベントで、自分ができそうなイベントや、行ける時間帯であれば、出かけています。
12月20日は、3Dペイントで伝統的な民芸品のメゼニ塗りを描き、作品を持ち帰れるというので、出かけました。
しかも、10時から20時までイベントをしているということで、やっている時間が長いので、余計に行きやすく、張り切って行きました。
イベント会場のブースに着いたら、編み物をしていて、メゼニ塗りらしいことをしていません。
私が見間違えたかな?と思ったので、サイトを開いて、もう一度確認しました。
間違いないことが分かったので、編み物のイベントをやっている人にサイトを見せながら訊いてみました。
すると、「分からない」と言います。この人が、ブースの他の人に訊いてくれました。
すると、ブースの他の人も「知らない」と言います。サイトはロシア語で書いてあるので、ブースの人たちも読めます。私の読み間違いでなく、たしかに書いてあることは伝わり、スマホを取り出して、どこかに連絡をしています。
さらに、ブースの他の人にも訊いてくれたけれども、誰も知りませんでした。
10時から20時まででなく、時間が違うかもしれないとなりました。しかし、何時かはっきり分からなかったので、諦めました。
サイトを見ると、毎日あちこちの会場で、たくさんイベントのスケジュールが組まれていて、誰が、これを企画してまとめているのかな?、すごい作業だなあと思っていましたが、こういう風に時々、抜けることがあり、時間やブースが違う場合もあるのかなと思いました。
その日はメゼニ塗りの体験はできませんでしたが、翌日、今度は、違うブースで、15時から16時40分までメゼニ塗りのマスタークラスがあるという情報を見つけました。
15時からなら、早お昼にして、1時すぎくらいに家を出ればいいから、行きやすいと思いました。
それで、出かけました。
前日、イベントがあると思ったのに、なかったので、今回もサイトをスマホに用意して、開場に着いたら、受付でどこでイベントをしているのかを訊きました。
ところが、受付の人は、会場内のどこでしているか分からず、結局私が勘でたどり着きました。
15時に着いたけれども、筆や紙を出したりして、準備中でした。
テーブルの上はこんな感じです。
マスタークラスの先生だけでなく、他にもこのイベントの主催者が来ていて、「ここに座って待ってください」と言ってくれたので、安心しました。
私のテーブルには、幼稚園児と小学校低学年くらいの男の子の兄弟が座りました。そして、途中から、10代の若い男の子が来ました。
メゼニ塗りの先生は、優しそうな人です。
5人掛けのテーブルが3脚あり、ほぼ席が埋まったところで、先生が話を始めました。
私は、一番前で説明を聞きました。図工が苦手なので、ロシア語の説明を一生懸命聞いていて、マスタークラスの様子の写真は一切ありません。写真を撮る余裕はありませんでした。
「メゼニ塗りは、なぜ、赤と黒だけなのか?」という説明から始まりました。
赤は、メゼニに流れる川の土が赤というか、黄土色なので、そこから、赤い色の絵の具ができたようです。
黒は、煤から黒い絵の具ができたようです。
その他にも描き方の説明をしていましたが、私は途中からギブアップ。
その後、「じゃあ、始めてください」となったけれども、何をどうするんだ?と私はなりました。
頼りは、同じテーブルの男の子たち。
ところが、幼稚園児と小学校低学年の男の子は、先生の話を全く聞いていませんでした。このくらいの年齢の子は、どこの国も名前を呼んでから、話さないと自分に話されていると認識せず、話が聞けないんだなあと思いました。
頼りは、10代の男の子ですが、途中から来たらしく、こちらも分かっていませんでした。
それで、私は、隣のテーブルを覗きに行きました。
馬の形をした木の板に鉛筆で下書きをしていました。鉛筆で下書きをすることは分かりました。
しかし、何を下書きするのかは、分かりません。
はて、どうしたもんかと思っていたところに、主催者の女性がフォローに来ました。
それで、「ここのテーブルは、みんな分かっていないので、もう一度お願いします。」と私が言うと、10代の男の子も勘がよく、その子が一番先に何をしたらいいか分かりました。
その子のおかげで、私も何となくイメージがつかめました。
今回のマスタークラスは、馬の形をした木の板に、太陽の模様を描きます。
テーブルの上にあった太陽をあらわす図案です。この10種類全部が、太陽をあらわしているそうです。
図工が苦手な私は、右上の黒だけの図案なら、描けそうな気がしました。しかし、「これも太陽?」と疑問がわいてきたので、訊いてみました。黒いのも太陽だそうです。
メゼニという地域は、アルハンゲリスク州にあります。ロシアの北の方です。冬は、極夜はないけれども、日の出が遅くなり、日没が早く、明るい時間が短くなります。だから、黒で描かれているのだと思いました。
さらに、テーブルには、次の図案もあったので、太陽以外に何を描こうかな、ではなく、図工が苦手な私は何が描けるかな?と見ました。
他には、こんな図案と、
馬の図案もありました。
10代の男の子と私は、やり方が分かったので、なんとなく、始めました。やり方が分かれば、無心になれ、こういう風に絵を描くのは好きです。下手ですが。
幼稚園児と小学校低学年の男の兄弟は、主催者の人が丁寧にフォローしていました。
しかし、男の子。こんな細かい作業は、苦手って感じで、適当に、模様を描いて終わっていました。
この子たちの母親はどこにいたのか?と思いました。
あっという間に、描いていなくなったので、遅れてきた母子がそこに座り、描き始めました。
また、10代の若者もそれなりに仕上げて、すぐにいなくなりました。
そこへ、さらに遅れてきた女性が座りました。
母子の方は、母親がメゼニ塗りをしたかったようで、娘の方は、近くで流れている動画が気になり、手が止まり、動画ばかり見ていました。
集中力のない子だなあと思いました。そして、ふと、娘の馬を見たら、赤く塗りつぶされていました。
一方、さらに遅れてきた女性は、上手で、私もチラチラ見ながら、少し参考になりました。
馬の片面を描き終えました。
馬の反対側も描こうと思いました。同じ模様でいいかなと思い、同じ図案を使いました。
描いている途中に、「ありがとうございます」と言って、立ち去る人が他のテーブルにいたので、できあがり次第いなくなっていると思っていました。描き終わり、ひもをつけた時には、隣の上手な人と私しか残っていませんでした。
先生も来て、「この2人は、始めから丁寧にやっていたわね。」と話し始めました。
私は、日本人であることを伝え、日本のロシア雑貨店でメゼニ塗りが売られていることを話したら、驚いていました。
また、私は、アルハンゲリスク州だったら、ソロヴェツキー島へ行ったことを話したら、それも驚いていました。
メゼニに行きたいから、どうやって行くのかも訊きました。
それで、先生が描いたお手本を持ち帰っていいというので、持ち帰ることにしました。
これが、先生が紙に描いたお手本です。
さらに、主催者も私に興味をもちはじめ、よかったら、これを持って帰ってと上手だった人と私にいろいろ渡してきました。
左は、プリャーニキで、右は、ドライフルーツです。このプリャーニキは、ものすごくおいしかったです。
真ん中が私が描いたもので、左右の白いのは、先生が描いたものです。
メゼニ塗りのワークショップの前に、人形のワークショップもあったようで、それも好きなものを1つ選んでと言われました。
さらに、あとで報告書を書くのかもしれませんが、写真を撮るということで、作品を手に持って写真を撮りました。
それで、終わりかと思ったら、また別の主催者の人が、「マスタークラスの感想をカメラの前で話して欲しい」と言いました。
上手な人でなく、日本人ということで、いいアピールになるからだと思います。
微力ながら、日露交流です。
もちろん、喜んで引き受けました。
しかし、私のロシア語は、問題があるので、あらかじめ、何を言うのかを練習し、それで、ビデオを撮りました。
一発OKでした。
ビデオを撮り終えた後、「あなたの服はチェブラーシカだね」と言われたので、「ああ、これは、日本で買ったの。ユニクロだよ。」と言いました。
モスクワの人だと、「ユニクロ」というと、みんな知っていて、反応がいいのですが、アルハンゲリスク州から来た人たちには、「ユニクロ」は通じませんでした。
さらに、「日本では、チェブラーシカの映画も上映され、人気があるよ。」と話すと、それも知らなかったようで、驚いていました。
時計を見たら、16時30分で、1時間半も集中してやっていたようです。
アルハンゲリスク州の人にとっても、日本人がマスタークラスに来たというのは嬉しかったと思うし、私も、微力ながら日露交流ができてよかったです。
政治的に難しい時期でも、個人間の交流は絶やしてはいけないと思うので、また、興味のあるイベントがあれば、出かけて行きます。
【1月27日の過去記事】