【南大沢土木構造物めぐり】No.24 知られざる南大沢の最先端地下インフラ③ ~中水のリサイクル施設~
表紙の写真は、南大沢駅すぐ横の谷底の道路上。人知れず制御ボックスがありますが、制御ボックスには「中水のポンプ施設の制御盤」であると記載されています。そもそも、「中水」という見慣れないキーワード、この謎に迫ります。
このマンホール、八王子市の下水道の車人形を模したマンホールですが、南大沢駅前地区には、この地区に普通にある「雨水」「汚水」のマンホールに加えて、「中水」というマンホールがあり、それをこのマンホールの地下にあるポンプでくみ上げているようです。くみ上げた水は、どこに行くか?
すると、ポンプ制御盤のすぐ近くに、ありました。この二つの配管。
「中水 ↑」「中水 ↓」
という2つの配管が地上に出てきています。出てきた配管はどこに行くのでしょうか?
この写真は、京王線の南大沢駅のホームから撮影しています。中水の管は、真ん中の白っぽい2本の配管です。上は、先日紹介したアーチ橋の南大沢大橋の鉄道横断部分。その桁下にたくさんのインフラ管が集まり、横断しているのです。この橋の、地上の姿はこんな感じでした。
橋の反対側の写真です。上の写真の地下インフラ管、右から、
灰色っぽい管:橋の雨水排水管(雨どい)
銀色の大きくて直角に曲がる2本:地域冷暖房の冷水管(×2)
青い管:水道
白い管(×2):中水
なぜそんなにわかるかって??
それは、ちゃんと下にはっきりと明示されているからです。写真では小さい字でですが、それぞれの配管の種別が明示されており、右に事業者の名前と連絡先が記載されています。これほどきちんと「見える化」されていて、しかも地域冷暖房や中水というような、珍しいインフラが地上で見られるのは、かなり珍しい場所なのではないでしょうか。
ちょっと見えにくいですが、一番左が、雨水排水(雨どい)、表示されている管としては、左から、NTT管、蒸気管(地域冷暖房)、東電管、CATV管、低圧導水管・ケーブル管(いずれも地域冷暖房)のようです。
地域冷暖房は、蒸気(暖かい空気)と冷水(冷たい水)を循環させることで、冷暖房を効率化させるシステムです。さらに制御用のケーブルも必要で、管径が大きいのは、蒸気を供給するためだけでなく、断熱効果も必要だからなのでしょうか。詳細は下記の記事を参照ください。
さて、本題に戻り、中水のリサイクルの話を続けましょう。中水管は、南大沢大橋の対岸に来て、最終的にはここにたどり着くようです。
【南大沢 水リサイクルセンター】
この建物、駅を普段利用する人からすると、「パチンコ屋の隣にある自転車置場」とか、「喫煙所の隣にある公衆トイレのある建物」というと何となくイメージが付くかと思います。実はこの建物の地下に、中水をリサイクルする施設があるようです。
中水とは、南大沢周辺のビルのトイレ以外の雑排水を再利用する施設ということで、トイレ用の水として、1日100t以上を配水しているようです。このような施設が、地域の水インフラを人知れず支えているのです。
上の写真は、商業施設の駐輪場にある、中水のボックスです。このように、各施設に引き込まれて、トイレなどの水として使用されています。
【終わりに】
今回は、中水道という、ちょっと聞きなれない地下インフラ施設を紹介しました。また、南大沢大橋の下に、普通では見られない地下インフラの配管がきれいに見える場所があることを紹介しました。橋の下では、同じように地下インフラが地上に出てきている箇所も少なくないので、観察すると理解が深まるのではないでしょうか。
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