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★虎ノ門ヒルズから竹芝までの街歩き~まいまい東京のツアーに潜入~

4月29日の暖かい午前中に、「まいまい東京」さんが主催するツアーに潜入してきました。というのも、私自身がツアーガイドとして5月にデビューする前に、事前にツアーの進め方等を覚える意味でのガイド見習いの立場での参加でした。参加したのは、虎ノ門ヒルズから竹芝までのコースを、橋梁デザインの分野の第一人者と言っても過言では無い方で、飲み仲間でもあり、ガイドの先輩でもある、松井幹雄さんが案内するツアーでした。

今回はこのツアーを、ちょっと違った目線からレポートしたいと思います(笑)。

■歩いた付近を地図で見てみる

こちらは、「今昔マップ」を用いて今回歩いた、虎ノ門ヒルズ→愛宕山→東京タワー→増上寺→竹芝 というルートを比べてみたものです。虎ノ門ヒルズから築地を経てベイエリアに向かう環状2号線は、大正時代の地図では全く無いことがよくわかります。戦後長らく実現できなかった道路が、地下トンネルを構築する形でようやく実現しました。

大正時代と現在の地図の比較。実はあまり地割は大きく変わっていません。

今度は、国土地理院の地形図に、探索エリア部分の高低差を色別標高図(作図範囲内を自動的に色分けしてくれる)で書かせてみましょう。

色別標高図。愛宕山は半島のような形をしています。
東京タワーも、台地の縁部に立っているのですね。

■それでは、ツアーに潜入開始

やって来たのは、東京メトロ日比谷線の、虎ノ門ヒルズ駅。2020年にできた新しい駅ですが、何やらまだ工事中。

虎ノ門ヒルズ駅。まだ仮囲いが設置されています。
あまり新駅っぽい感じがしないです(笑)。

実はこの駅、元々の駅が無かったころの地下躯体の周りを掘削して切断し、新たに「コの字」型に駅部を増設する形で作られました。

駅のホームの天井には、昔の躯体の側壁の跡が残っています。
壁の跡にある縞模様のようなものは、コンクリート切断用にワイヤーソーの
カッターを入れるためにコンクリートにコアを抜いた跡のようです。

■では、ツアー開始でございます(笑)

虎ノ門ヒルズからツアーが始まりました。最初の主役は、「マッカーサー道路」と呼ばれ、戦後計画はあったもののなかなか実現しなかった環状2号線が、やっと開業したという場所です。ビルの地下を道路が通る、立体道路制度を利用した道路です。

虎ノ門ヒルズの脇にある、環状2号線トンネルの坑口。
ここから長いトンネルが築地まで続いています。
こちら、新しい「虎ノ門ヒルズステーションタワー」に向かう
連絡通路を建設中。
そして、虎ノ門ヒルズ駅は開業したものの、
まだ地上は路面覆工で覆われていました。
そんな片隅に、メトロマークの刻印を発見。
何か鉄道関係の埋設管でもあるのでしょうね。
環状二号線の直上に、なかなか良い広場が。
不思議な巨大アートもあります。

■愛宕山へ

愛宕山へは、住居棟への連絡橋経由で、中腹までアクセスできます。
NHK放送博物館があります。行ってみたい場所。
落ちたら大変!と思う男坂の急な石段。
隣の女坂も、かなりの急坂です。(現在工事のため閉鎖中)

こちら、ちょっと前に来訪した際の写真ですが・・、

男坂の右につながる石段が、女坂。こちらも結構急坂です。
愛宕トンネル。戦前にできたトンネルです。重厚な感じがします。
【愛宕トンネル耐震補強工事 発注者:港区 請負者:飛島建設 製作者:新日本製鐵
工期:平成15~16年 工法:薄肉鋼板補強工】

愛宕トンネルは、昭和5年に開通したトンネルです。東京23区では珍しく山岳工法を採用したトンネルです。贅沢なくらい背が高いトンネル形状は、道路を通す広幅が必要だったためでしょうか?

■東京タワーを目指す

愛宕山の少し南側を歩くと、次第に東京タワーが見えてきます。

東京タワーが見える風景、いいですね。
坂を登るとオランダ大使館が。素敵な洋館です。
その隣には、東京都水道局の芝給水所が。ここは旧・淀橋浄水場から水を給水し、
東京の下町に水を配水するための施設。

再び国土地理院の等高線図が登場。左上の新宿は、神田川と渋谷川の水系の分水嶺の尾根に位置します。そこか新宿御苑を越え、四谷大木戸町あたりから南東に尾根伝いに進むと、恐らく芝給水所のあるこの付近まで辿れそうです。非常に合理的な位置に給水施設がもうけられています。

四ツ谷→乃木坂→六本木→芝 と、尾根が続きます。
そして、芝浄水池。上部は今は公園になっています。
東京タワーがとてもきれいな公園。
そして、タワーの麓にやって来ました。
観光客で賑わうタワーの下に、ひっそりとアンテナが保存されていました。

■増上寺を経て大門、竹芝へ

増上寺と東京タワー。外国人観光客が喜びそうなショットです。
増上寺で松井さんのご説明を聞く一行。
とても立派な門があります。
世界貿易センタービルの解体が進んだ浜松町駅では、
いまだけしか見られない、モノレールの駅の鉄骨がむき出しに。
竹芝へ向かうデッキ上から浜松町駅を見ます。
「東京モノレール」と書かれた部分は編成増による増築部でしょうか。
浜離宮恩賜公園がとてもきれいでした。
デッキ上からは、首都高の浜崎橋JCTを眺めることができます。
島嶼会館もあり、ここが伊豆諸島への玄関口であることを物語ります。
再開発ビル内には、竹芝・日ノ出エリアの再開発の模式図が。
首都高の下が、渋谷川(この辺りでは古川と呼ぶ)。
こういう模型、すごく好きなんです(笑)。
いよいよ、クライマックス、竹芝桟橋まで来ました。
伊豆諸島方面への「東海汽船」が発着する場所です。
レインボーブリッジも、今日は良い眺めです。
竹芝桟橋の北端に、境界杭を発見。何と「工」マーク。
ということは、鉄道遺構ではないですか。。

竹芝桟橋、日の出桟橋には、その昔、汐留貨物駅や浜松町駅から貨物線が伸びていました。今ではほぼ跡かたなく無くなってしまいましたが、こんな遺構がのこっているのですね。

今昔マップで見た、昭和20年前後の竹芝付近。貨物線が走ります。
概ね今のゆりかもめのルートに沿っていますが、
岸壁近くまで引き込み線があったのかもしれません。
最後に訪れた、くじらの尻尾の形をした、下水の放流口。
巨大な放流管を覆い隠すクジラです。

この鯨は、ライターの三上美絵さんが「かわいい土木」の中でもエッセイで紹介されていますので、是非ご覧ください。

■終わりに

こうして、3時間で約5kmの道のりを歩くウォーキングが無事終了しました。ガイドの松井さんの解説は、さすがに橋梁設計の専門家らしい、とても深いお話が随所にありましたし、お手製のモニタで動画を見せようとするなどの工夫もされていました。最初の1時間を長く取られていたので、3時間で歩き切れるか心配になりましたが、最後はきっちり時間通りにフィニッシュされていました。本当にお疲れ様、そしてありがとうございました。

私自身も、5月14日に新宿でガイドデビューします。松井さんのガイドには及びませんが、新宿を皆さんと楽しみながら解説して歩きたいと思います。当日は晴れるといいな。。


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