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▲群馬・栃木への旅▲⑧碓氷峠・旧信越本線アプトの道を歩く(前編)

本来歩く予定だった碓氷峠の廃線跡のうち、平成になってから廃止された、信越本線の新しいほうの線路跡を歩くツアーは、残念ながら中止となり、この日に行くことができなくなってしまいましたが、さらに古いアプト式の旧線のほうは、遊歩道として整備されていて誰でも歩くことができます。今回はこの道を歩いた記録を書きたいと思います。
(前回はこちら)

この日は、宿泊していた磯部駅からスタートです。
車窓から見える妙義山。今も昔も絶景と思う人が多いことでしょう。
横川駅に、海外製のレールの刻印つきのものが展示されていました。
こちらは、アプト式軌道のラックレールが展示されています。

まずは、前日の宿泊地・磯部から横川まで電車で移動します。妙義山がきれいな車窓と、横川駅で前日はゆっくり見られなかった、古いレール等の展示物を眺めることからスタートです。この日は、午前中は曇りで、午後から降雨がある予報。なるべく早いうちにアプトの道を歩いて、雨が降る前に山の中からは下りるようにしたいと考えているので、早めに歩き始めたいと思います。

横川駅から鉄道文化むらに向け、レールが伸びています。

横川駅から、碓氷峠鉄道文化むらに向け、レールが伸びています。これは昔の廃線跡というよりは、おそらく鉄道文化むらに展示されている車両の出入りがある場合に使うレールだったりするのではないかと思います。

鉄道文化むらの脇を歩きます。展示運行用の機関車と、
廃線を利用したトロッコ列車を横目に歩きます。
安中市の観光案内所があります。ここから本格的に「アプトの道」が始まります。
文化むらの展示車両を脇目に見ながら歩きます。
昔の踏切の跡もありました。

しばらく鉄道文化むらの脇を歩きますが、時折廃線跡の遺構が出てきます。

いよいよレールが埋め込まれ、廃線跡を歩く雰囲気が出てきました。
トロッコの線路に埋められた「マイ枕木」。
継続的にこの施設を守っていこうという思いも込められているようです。

鉄道文化むらの脇を通り過ぎると、いよいよ廃線敷のウォーキングコースが始まります。片側はトロッコ列車の線路として使用され、もう片側がハイキングコースとなっている形です。

いかにも幹線鉄道の廃線跡と思えるような、直線の道。
歩くとテンションが上がります(笑)。
時折、鉄道施設の痕跡も気になります。
これは盛土排水が軌道の路盤を流れないための水止めみたいなものでしょうか。
はるか上空を越えていく、上信越自動車道の橋と交差します。
現代の碓氷峠越えのメインルートです。
廃線跡と斜張橋、バックに妙義山というようないい構図です。
この散策路の一つの名所が見えてきました。
旧丸山変電所跡 です。

アプトの道をしばらく歩くと、旧丸山変電所跡に差し掛かります。旧丸山変電所は、トンネルの多い碓氷峠をいち早く電化すべく作られた変電所で、交流の電気を直流に変換し蓄電する機能を持っていたということです。

2つの建物は、横川側が蓄電気室、軽井沢側が機械室です。
蓄電気室は換気に気を配っていました。

2つの建物は、蓄電気室と機械室。蓄電気室は、硫酸の蒸気が発生することがあるので、換気ができる構造になっていたとのことでした。昔は公害問題とかを考える必要が無かったためでしょうか。

トロッコ列車の中間駅もある場所です。
昔の信号所でもありました。ここから本格的な山登りの勾配になります。
しばらく単線並列の線路になります。トロッコの橋を横目に眺めます。
すぐ隣に昔のレンガ橋脚が眠っている様子でした。
単線並列区間、何だかバリエーションに富んでいて面白い。
いよいよ歩道は一旦終点です。この先の藪の中も、平成の廃線が続きます。

平成になってからの旧信越本線の廃線は、ここからが本格的な廃線ムード満点の区間になります。ここからはツアー客限定の区間です。一般人は左の道を辿ります。すごく歩きやすい遊歩道です。

信越本線の昔の架道橋に向かう道。
【王子久保こ道橋 設計:日本国有鉄道 施行:(株)木下組、昭和40年竣功】
車は通れないくらいの跨道橋です。
今でもトロッコが走るので、ある意味跨道橋としては「現役」
このこ道橋、反対側にはもう一つ銘板が。
【王子久保橋りょう、設計 日本国有鉄道信濃川工事局、施工 銭高組、昭和40年】

同じ橋でも少し違うようです。このあたりは、アプト式の旧線と新線が分岐する信号所があったあたりなので、ひょっとするとそういう施設の名残かもしれません。

右に伸びる線路が廃線跡、左はトロッコで使われている線路

トロッコの線路は、廃線から分岐して、終点となります。

トロッコの終点、峠の湯駅。ここは観光拠点を兼ねた温泉施設です。

峠の湯に到着。ここは日帰り温泉兼観光施設のような場所で、ここに車を停めて碓氷峠のハイキング、のようなことがやりやすい場所です。インフラツーリズムの施設としてはとても立派です。

峠の湯の近くから、信越本線下り線の廃線を眺めます。
ここから先は関係者以外立入禁止の場所。

峠の湯の近くから、信越本線(新しいほう)の廃線を眺めました。ここが本来行く予定だったツアーの歩くルートです。柵さえなければ、列車が走って来そうな感じのする場所です。

一方の信越本線(アプト式)の廃線跡は、こんな感じです。

アプトの道のほうは・・・、こんな感じのいい道です。

この写真に写っている、「力餅」の看板に惹かれてしまいました(笑)。実は、まだ朝ご飯を食べていなかったので、開いていたらラッキーかなと思い、訪れてみることに。

ちゃんと営業していました。
とても素朴で美味しいお餅です。

この力餅、今は国道18号沿いに建っていますが、昔はこれから行く、アプト式が廃止された際に無くなった横川と軽井沢の間の中間駅である、熊の平駅の名物だったそうです。玉屋さんは、鉄道員しか住んでいなかった場所でお餅を作っていたそうです。さらにその昔は、旧中山道の途中で営んでいたお店だそう。店主のおばあちゃんと会話が弾みました(笑)。

力餅も食べたので、さあアプトの道を歩こう、と言うところで今回はここまで。次回は、とても美しい山間のアプト式が走ったトンネルと橋の共演を楽しみたいと思います。

(続きはこちら)


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