■黒部川に土木の魅力を訪ねる■①宇奈月温泉を目指す
最近、とあるプロジェクトの一環で、一大土木事業であった、黒部川開発(黒三、黒四、新黒三)などのプロジェクトの歴史を調べています。代表的な構造物としては、映画「黒部の太陽」などで有名な黒部ダムと、そこに通じる立山・黒部アルペンルートや、黒部川の開発事業の一大インフラである、宇奈月温泉から欅平に向かう「黒部峡谷鉄道」などが、観光ルート化されているので有名ですが、現在は一般の方には限定的にしか公開されていない、黒部峡谷鉄道の終点・欅平から黒部ダムとを結ぶ、「キャニオンルート」には、吉村昭さんの小説の舞台になった「高熱隧道」や、黒部ダムからの水により大型のタービンを回す地下発電所などの施設があります。
今回は、その舞台の富山県側の玄関口である、宇奈月温泉や黒部川下流部を訪れています。本来ならば、さらに上流域を辿っていきたいところですが、現在は冬季閉鎖中なので、上流への最前線である宇奈月周辺を見てみたいと思います。
■宇奈月温泉とは・・
宇奈月温泉の源泉は、実は7km上流にある黒薙温泉であり、そこから湯を引いているのです。その由来は、大正時代に黒部川の電源開発の拠点にするために開かれた温泉街です。ということで、宇奈月温泉そのものが、黒部川開発の歴史を背負っているといえるでしょう。
■宇奈月温泉を目指す
では、まずは富山駅から宇奈月温泉に向かいましょう。
このあたりの鉄道は、昔は「黒部鉄道」と言う名前の鉄道で、今の富山地方鉄道とは違い、JRの黒部駅(昔は三日市駅と呼ばれた)から宇奈月を目指す路線でした。
黒部川上流の開発のきっかけは、高峰譲吉さんが起こした「東洋アルミナム」という会社が、大正時代に黒部川上流の水利権を取得し、黒部鉄道を敷設し、宇奈月温泉を引いたことに始まるといってもいいでしょう。
その黒部鉄道が、黒部川の電源開発のために果たした役割は、果てしなかったといえるでしょう。
今回の記事はここまで。次回以降で、宇奈月温泉や黒部の街の魅力をお伝えしたいと思いますのでお楽しみに。
■終わりに
黒部川開発の拠点となった宇奈月温泉に向かう富山地方鉄道。かつては黒部鉄道と呼ばれたその路線は、昔ながらの駅舎などもあり、電源開発を行っていた時代を想像させるような興味深い施設が沢山ありそうです。今回は宇奈月にまっすぐ向かう必要があったので、途中下車などはできませんでしたが、また改めてゆっくり訪れたいと思った列車の旅でした。