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★ドボクスキーの北海道冬ごもり紀行 ⑤:タウシュベツ川橋梁に会いたい

2月に旅行することになったきっかけは、ずばり会社のお休みが何とか取れそうなタイミングがあったこと。そして、家族からのリクエストで、「さっぽろ雪まつりに行きたい」という要望が出たので、北海道に行くことが決まりました。そうしたら、後半ひとり旅になった際に、「冬の北海道で行ってみたいところは?」と自分に問いかけてみたら、ずばり、

タウシュベツ川橋梁を見に行きたい!

となりました。ということで、今回の旅行のひとつの目的が、この日のツアーに参加すること、というお話になりました。前日は、帯広市内を見て回り、午後にタウシュベツ観光の拠点、ぬかびら源泉郷に入ったのでした。(前回の記事はこちら)

■第4日(2/5)の続き

探訪の前日にまず訪ねたのは、東大雪自然館。ビジターセンターでは、タウシュベツ橋梁周辺の情報などを色々と、とてもマニアックに教えてくれています。

ぬかびら源泉郷に到着すると、まず行くべき場所。
「ひがし大雪自然館」という、ビジターセンター。
ぬかびら源泉郷や、糠平湖周辺の自然についての展示や、
国鉄士幌線の廃線跡を、ここまで丁寧に、しっかり調べていることが、すごいです。
こんなコンテンツを提供くださっています。
これは間違いなく、マニア垂涎の地。

この展示は、どうやら1月末までの展示期間の予定だった、旧国鉄士幌線の廃線跡の研究成果報告を、少し延長して展示いただいていたもののようです。

そこで学んだことなども含めて、「旧国鉄士幌線」と、「タウシュベツ川橋梁」について、少し前置きを書きたいと思います。

■旧・国鉄士幌線と、タウシュベツ川橋梁について

旧・国鉄士幌線は、帯広駅と、十勝三股駅の間を結んだ鉄道路線でした。昭和31年頃の路線図を見つけたので、ご紹介します。

士幌線は、帯広駅から、十勝平野を北に進み、
十勝三股駅までを結んでいた国鉄線です。

国鉄士幌線は、1939年に十勝三股まで開通し、十勝平野の農産物や、十勝三股周辺の豊富な森林資源を輸送する役割を担い、地域の活性化に大いに貢献しましたが、トラック輸送の台頭などで次第に利用されなくなりました。糠平から先は、十勝三股駅からさらに森林鉄道が伸びるなど、木材輸送拠点として栄えましたが、トラック輸送に切り替わったとたん、集散地が上士幌の市街地に移動してしまったため、急速に衰退し、1978年には、列車の運行を終了し、糠平~十勝三股間は代行バスによる運行となり、さらに1987年に、国鉄改革の一環で、士幌線全体が廃線になった歴史があります。

ただ、この歴史だけでは、実は「タウシュベツ川橋梁」の生い立ちを説明できたことになりません。この橋は、実は1956年に完成した、「糠平ダム」建設に伴い、士幌線の線路の一部が付け替えられました。

タウシュベツ川橋梁は、ダム建設によって水没した士幌線の「旧線」の一部、つまり、「廃線のさらに旧線」という位置づけになります。士幌線の構造物は、資材を現地調達して作る方針であったようで、現地の骨材を用いたコンクリートアーチ橋などの構造物が多用されました。タウシュベツ橋梁は、コンクリートアーチ橋がダム湖に水没し、水かさが減る期間にだけ、姿を現す、「幻のアーチ橋」と呼ばれていて、最近は劣化も激しく、「いつまでアーチの雄姿を見られるかが危惧」されている状況です。

■タウシュベツ川橋梁には、どうしたら会える?

長い前置き、まだまだ続きます(笑)。そのタウシュベツ川橋梁、とても美しい姿であり、且つ夏場を中心に、ダム湖に沈んでいることも多いので、「幻の橋」とも呼ばれます。この橋に会いたければ、「ベストシーズン」でないと、ちゃんと対面することができないのです。ちなみに、
 〇夏:ダム湖に水が多く、水没していることが多い。
 〇秋:同上
 〇冬:ダム湖の水が減ると、アーチ橋が見えてくる。湖が凍ると、歩いて
    橋の近くまでアプローチできる。(ベストシーズン①)
 〇春:湖の氷が溶け始めると、橋の近くまではアプローチできない。GW
    近くになると、橋の近くに行ける林道が開通するので、近くまで
    アプローチできる(ベストシーズン②)

ということで、今回は、ベストシーズン①を狙い、湖上を歩くスキーでアプローチするツアーに申し込んで、さあ行ってみよう、と思っていた矢先・・、こんな情報が・・。

糠平湖は冬季は氷の厚さが数十センチにもなりますが、湖底からメタンガスが発生し、「アイスバブル」というものができ、その付近の氷が薄くなってしまいます。今年はその成長が早く、危険性を考慮して、2月から湖上は立入禁止になってしまいました(涙)。

ということで、タウシュベツは至近には行けませんが、ダム湖の手前の対岸から眺めるツアーを楽しんできました。

■第5日(2/6)

宿泊地の窓越しについている寒暖計。
朝の気温は、「マイナス22℃」。北海道の方でも、「下がったね」という気温だそう。
朝のぬかびら源泉郷を少しお散歩。
木の枝に霜が付くのは、寒い朝の風景だとか。
さすがに顔などが指すように痛いので、少しの散歩で退散(笑)。

①タウシュベツ川橋梁対岸へ、スノーシューのツアー

宿泊していたユースホステルが実施している、スノーシューのツアーに参加。湖上が凍結していれば、歩くスキーで遠征してタウシュベツ川橋梁のそばまで行ったのですが・・まあそこは仕方ないですね。

スノーシューを履いて、ツアー開始。

少し歩くと、こんな一直線の林道のような道に出くわします。

これを見て、すぐに何だかわかるのが、マニアです(笑)。

この林道のような道は、国鉄士幌線の廃線跡。これは、ダム湖に沈んだ旧線の付け替えを行い、1978年で列車の運行を終え、1987年に廃線になった新線のほうの廃線跡です。今でもしっかり痕跡が残っていますね。

数百メートル歩くと、いよいよ糠平ダムのダム湖が見えてきました。
そして、湖畔に会いたかったタウシュベツ川橋梁の姿が!!
少し遠巻きに、とはいえ、とても美しいアーチ橋がしっかり見られました。
風のあまり無い、晴れた日でコンディションは良かったです。
アーチ橋をバックに記念写真(笑)。
水が溜まっている部分には、霜が凍ってできる「フロストフラワー」の小さいものが。
この樹木は、数年前の強風の時に倒れたそうです。
一度樹木が倒れると、風が通りやすくなり、森林の様子が激変するのだとか。

スノーシューのツアーで、士幌線の廃線跡(新しいほう)に遭遇したり、フロストフラワーを確認できたり、強風の倒木で、風通しがよくなると、またさらに倒木してしまったり、植生が変わるような話を聞きました。また、ところどころに、鹿が宿営しているような場所も見つけました。鹿は雪の中、少しだけ顔を出している笹を目指して歩き回っているのだとか。

ということで、第5日の前半戦で今回の記事はおしまい。次回はぬかびら源泉郷周辺の魅力などをお伝えします。

■終わりに

タウシュベツ川橋梁は、湖面に美しい姿を見せていました。それを少し離れた場所ではありますが、しっかり全景を眺めることができたのは、とても素晴らしかったです。最近劣化が進んでいて、20年前の写真と比べても、だんだんアーチのてっぺんがやせ細ってきていて、完全な形のアーチ橋としては、もうそろそろ見納めではないかとささやかれています。20年前は、ライダーの人が、バイクで横断したことがあるとか、武勇伝的なことも聞かれたようですが。。

ある意味、インフラツーリズムの聖地のような場所。いろんな形で紹介できると良いと思いました。

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