■南武線沿線さんぽ■昭和初期の私鉄時代の面影を残す、中野島駅を目指す

多摩ニュータウンの近くで面白そうな場所を歩いてみたいと思い立ち、街歩きを楽しんできました。行った先は、JR南武線の中野島駅周辺です。以前、稲城市内の矢野口駅から稲田堤駅までの間を歩いていて、踏切をキーワードに、その付近のことを探索しながら歩くのが楽しかったので、今回はその続編をやってみたいと思います。（前回の記事はこちら）

■中野島駅とは？

中野島駅とは、川崎市多摩区にある、JR南武線の駅です。稲田堤駅（京王相模原線の乗換駅）と登戸駅（小田急線の乗換駅）に挟まれた駅です。

JR東日本の車内に掲示されている路線図より。

乗降客は、約2万6千人で、南武線の快速が停まらない駅の中では、比較的状況客数の多い駅だということです。

中野島駅 - Wikipedia

さて、その駅を目指しつつ、踏切めぐりをしながら歩きましょう。

■京王稲田堤駅から歩く

多摩ニュータウンに住んでいるので、京王稲田堤駅は、通勤経路でもあり、アクセスはとても良い場所です。

京王稲田堤駅から、散策スタート。

駅の真下に、南武線が交差しています。

稲田堤駅名物、JRと京王の「激セマ乗換近道」

そして、最近完成した、JR稲田堤駅の橋上駅舎に到着します。

この駅舎の前にある踏切が、「観光道踏切」です。ここは、以前も探訪しましたが、多摩川堤が「稲田堤」という桜の名所で、そこにアクセスする道としてにぎわいました。

ちょっとのどかな住宅街と、若干窮屈な駅とのコントラスト。それが南武線の日常風景、ともいえるでしょう。

何気ない住宅地の駐車場の裏手は、南武線のホーム。
結構利用客も多い（私もたまに利用します）です。

そして、青いネットで防護された、梨畑。

電車と住宅との距離が近いことも、
南武線が昔の私鉄であると感じる要因なのでしょうね。

稲田第三踏切。後ろにあるのは梨畑です。

稲田堤駅という、南武線でも主要駅の一つから、2分くらい歩いただけで、こんなのどかな風景が出現するような場所です。

ちょうど稲田第三踏切に、電車が通過。

この辺りの踏切は、前回の探索で訪れました。この踏切のすぐ近くに、車の通れない「稲田第一踏切」があり、そして三沢川を渡ったところに、「菅第二踏切」があります。「稲田第二踏切」や、「菅第一踏切」は、今はもうありませんが、昔ここにあったのかな？などと推測しながら歩くのは、楽しいです。行き止まりの道の先に線路があり、さらに先にも道路がある場合などは、恐らくここかな？などと推察してしまいます。

この付近は、「●●第一踏切」みたいな踏切が、起点（川崎）方から順番に割り振られています。京王線などの私鉄は、駅名+第●踏切（たとえば、「北野6号踏切」みたいな名前の付け方をしています。南武線は、少し変則バージョンで、楽しいのです。

■中野島駅を目指す

三沢川を渡ると、中野島に近づいていきます。

一級河川　三沢川。稲城市、川崎市北部を流れ、多摩川に注ぎます。

この地区には、大丸用水や二ヶ領用水から分水した用水路が
張り巡らされています。一部は暗渠になっているようです。

何かこんな廃水路っぽい空間もあって、ちょっと面白い街です。

こちらは、二ヶ領用水です。

この橋の名前はずばり・・、

中の島橋。

中野島という地名は、水路で囲まれた中州、という意味だそうです。国土地理院の地形図で見てみると・・、

国土地理院のサイトで、地形図に「治水地形分類図」を重ねたもの。

中野島は、どうやら黄色のハッチで示される微高地（自然堤防）を指すようです。二ヶ領用水は、黄色い自然堤防を南に蛇行している多摩川の旧河道があり、それを利用して用水が開削されているようです。中野島は、そうした旧河道と分流（その低い場所を利用してもも用水路が開削されている）に囲まれた自然堤防の島のような場所、ということのようです。

こんな感じの用水路が随所に見られます。
ある意味、「水郷」といっても良さそうな場所です。

こういうお地蔵さんが立派に飾られた古い町。

暗渠に蓋をした歩道なども点在します。

そしてそういう場所に、色々と不思議な道が存在します。

「この先自動車通り抜けできません」という標示。
裏を返せば、「歩行者は通り抜けできます」という意味。

中野島の自然堤防上の古い町から、駅に向かってショートカットする道のようですが・・。後ろのマンションと対照的な農地に入っていきます(笑)。

そして、行きついた先に、踏切がありました。

その名は、中野島第三踏切。車の通れない小さな踏切です。

線路沿いには、水路が流れています。さすがに、水郷です。

マンション前にある電柱には、「下布田」の文字が。

下布田は、かつては多摩川が蛇行していて、対岸の布田と陸続きで、かつては東京都に属していた場所です。明治時代末期に都県境が今の多摩川となり、飛び地が解消されました。

この中野島駅近くにある大型マンションですが、かつては「鬼頭製作所」という会社の工場があった場所です。今は「キトー」という会社。

沿革 | About Kito | KITO GROUP | Global Site

チェーンブロック専門の工場という、なかなかシブい工場だったようです。チェーンブロックとは、チェーンを手で巻き上げる力を使って、重いものを持ち上げる工具。土木の世界でもおなじみの道具です。今は、工場が移転し、跡地にマンションが建っています。

CB | 手動チェーンブロック | 株式会社キトー

そして、駅前に近づくと、何だか良さげなお店が建ち並ぶ場所に来ました。

味わい深いお店がありそう。何だか良い町ですね。

踏切の向こうに、駅舎が見えてきました。

踏切の名前は、「中野島第二踏切」です。
とまれ、のマーク、何だか良い味を出しています。

時計台のある、平屋の駅舎。
何だかいいですね。

ここでは、自転車での移動がメインのようです。

恐らく、「中野島第一踏切」は、駅の構内踏切、だったのでしょうかね？？
昔は跨線橋でなく、構内踏切があったと想像できます。

川崎市立中野島小学校。駅前にあります。

中野島駅のすぐ脇の道から。
やはり駅と沿道の距離、近すぎます(笑)。

だんだんホームの構造が違っているのがわかります。
恐らくかつては１～2両だった電車が、6両に増結される過程があったのでしょう。

駅の川崎方面寄りにある踏切。

三谷踏切、という名前です。

中野島駅は、開通当初はこの場所に駅があったようですが、昭和22年に移転したようです。

今昔マップで見た、中野島駅の今昔。
駅は、「三谷（さんや）」という集落の近くにありました。

今では、古い駅の跡地に、変電所が建っています。（写真を撮りそびれました・・）。

今回の記事はここまで。次回はその次にある、登戸駅を目指しますので、お楽しみに。

■終わりに

稲田堤駅から中野島駅に向けて歩きました。主要な乗換駅から少し足を進めると、とてものどかな風景が広がり、かつては梨畑が広がるのどかな街であることを改めて認識しました。水路の張り巡らされた、水郷みたいな地域。そんな中にある、時計台があるかわいい駅舎の駅と、その周りにある、味わい深いお店。そんな中野島駅付近でした。

次回は、さらに登戸駅を目指して歩いた模様をレポートしますので、お楽しみに。