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シリーズの魅力を逆説的に考えさせられる 『エイリアン:ロムルス』

〈あらすじ〉
恐怖の原点にして頂点である『エイリアン』の“その後の物語”。

人生の行き場を失った6人の若者たちが、生きる希望を求めて足を踏み入れた宇宙ステーション“ロムルス”。

だが、そこで彼らを待っていたのは、恐怖と言う名の絶望──寄生した人間の胸を突き破り、異常な速さで進化する “エイリアン”だった。
しかも、その血液はすべての物質を溶かすほどの酸性のため、攻撃は不可能。
宇宙最強にして最恐の生命体から、彼らは逃げ切れるのか?
(20世紀スタジオ公式予告編より)


 
 無限に生殖する謎の凶悪宇宙生物・非人間的な大企業の論理を源泉に、宇宙空間での恐怖を描いたのが『エイリアン』(1979)だ。
『エイリアン』シリーズは一作目をベースにしつつも、毎度歪に、好き勝手に、だが確実に作品毎の独自性を持ち世に送り出されてきた。
 決してそれぞれが高い評価をもらえるわけでもなく、時にはハーシュなレビューにも晒されてきたのも事実ではある。だがどれも確実に宇宙生物への根源的な恐怖を描き、『エイリアン』ユニバースのグラデーションを豊かにしてきた筈だ。

 今作『ロムルス』はそんな『エイリアン』シリーズを追ってきたファンに向けた「気配り」満点の作品になっている。
あえて1作目と2作目をなぞったストーリー、テイストとして盛られる3作目と4作目要素、更には前日譚『プロメテウス』への言及まで!!
これにはファンは全員大喜び!!!!!!
.......はたして本当にそうだろうか??

 今作はそんな「ファン・サービス」に終始してしまったせいで、フレッシュさに欠けた「お馴染み(=お約束)」の場面が全編において繰り広げられてしまっている。
観ている間中まるで『エイリアン』シリーズのエピゴーネン(=亜流)作品を観ているかのようだった("エイリアン"そのものが出ているにもかかわらずだ)。 

 今作の監督であるフェデ・アルバレス(『死霊のはらわた』リメイク[2013]や『ドント・ブリーズ』[2016])は確かに腕のある監督で、ジャンル映画の監督としては世界トップクラスだ。そして手掛ける場面毎の恐怖演出は良質で、観ている間はとても楽しませてくれた。
 だが、それは作品の"質"を担保するだけであって、独創性を獲得させるわけではない。
 これが彼のオリジナル作品であれば良かったが、残念ながら今作は『エイリアン』の新作だ。

 何か『エイリアン』シリーズのジェネリック作品を観た気分にさせられました。
 シリーズの魅力を逆説的に考える良い機会にはなったと思います。

オススメで〜〜す。

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