サワダアツシのイナタイ映画ブログ

"Be excellent to each other!!"

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最近の記事

『ウルフズ』 スター映画とは「可愛げ」である

監督 ジョン・ワッツ 脚本 ジョン・ワッツ 製作 ジョージ・クルーニー グラント・ヘスロヴ ブラッド・ピット デデ・ガードナー ジェレミー・クライナー ダイアン・マガニグル ジョン・ワッツ 出演者 ジョージ・クルーニー ブラッド・ピット エイミー・ライアン オースティン・エイブラムス プールナ・ジャガナサン 〈あらすじ〉 『オーシャンズ11』シリーズのタッグでも知られるクルーニーとブラッドが再共演する本作は、“ヤバい事件”の後始末を請け負う、もみ消し屋(通称フィクサー)の物

    • 余白が語る現代アメリカの危険性 『シビルウォー アメリカ最後の日』

      監督 アレックス・ガーランド 脚本 アレックス・ガーランド 出演者 キルスティン・ダンスト ヴァグネル・モウラ スティーヴン・ヘンダーソン ケイリー・スピーニー他 〈ストーリー〉 連邦政府から19もの州が離脱したアメリカ。テキサスとカリフォルニアの同盟からなる“西部勢力”と政府軍の間で内戦が勃発し、各地で激しい武力衝突が繰り広げられていた。「国民の皆さん、我々は歴史的勝利に近づいている——」。(公式YouTube予告編より)  非常に示唆に富んだ現代的な映画だった。  連邦

      • 『憐れみの三章』「支配と隷従」の珍奇さを嘲笑うダーク・コメディ

          監督 ヨルゴス・ランティモス 脚本 ヨルゴス・ランティモス エフティミス・フィリップ 製作 エド・ギニー アンドリュー・ロウ ヨルゴス・ランティモス ケイシア・マリパン 製作総指揮 ダニエル・バトセク ルイス・ラブグローブ オリー・マッデン 出演者 エマ・ストーン ジェシー・プレモンス ウィレム・デフォー マーガレット・クアリー ホン・チャウ ジョー・アルウィン ママドゥ・アティエ ハンター・シェイファー 【ストーリー】 自分の人生を取り戻そうと格闘する、選択肢を奪わ

        • 『Cloud クラウド』 虚ろな人間たちが導く暗黒世界

          Cloud クラウド ・監督 黒沢清 ・脚本 黒沢清 ・出演者 菅田将暉 古川琴音 奥平大兼 岡山天音 荒川良々 窪田正孝 〈あらすじ〉 “転売ヤー”として真面目に働く主人公・吉井(菅田将暉)。彼が知らず知らずのうちにバラまいた憎悪の粒はネット社会の闇を吸って成長し、どす黒い“集団狂気”へとエスカレート。誹謗中傷、フェイクニュース――悪意のスパイラルによってネット社会に拡がった憎悪は、実体をもった不特定多数の集団へと姿を変え、暴走をはじめる。やがて彼らがはじめた“狩り

          シリーズの魅力を逆説的に考えさせられる 『エイリアン:ロムルス』

          〈あらすじ〉 恐怖の原点にして頂点である『エイリアン』の“その後の物語”。 人生の行き場を失った6人の若者たちが、生きる希望を求めて足を踏み入れた宇宙ステーション“ロムルス”。 だが、そこで彼らを待っていたのは、恐怖と言う名の絶望──寄生した人間の胸を突き破り、異常な速さで進化する “エイリアン”だった。 しかも、その血液はすべての物質を溶かすほどの酸性のため、攻撃は不可能。 宇宙最強にして最恐の生命体から、彼らは逃げ切れるのか? (20世紀スタジオ公式予告編より)  

          シリーズの魅力を逆説的に考えさせられる 『エイリアン:ロムルス』

          「ファンサービス」と「物語」は共存できるのか 『デッドプール&ウルヴァリン』

          〈作品紹介〉 マーベルコミック原作の異色ヒーローアクション「デッドプール」のシリーズ第3弾。ライアン・レイノルズ演じる元傭兵で掟破りなヒーロー、デッドプールに加え、「X-MEN」シリーズでウルヴァリンを演じたレジェンド、ヒュー・ジャックマンがカムバック。 2代ヒーローの夢の共演が実現した。 監督:ショーン・レヴィ 出演:ライアン・レイノルズ、ヒュー・ジャックマンほか 「第四の壁」(=キャラクターと観客との間にある壁)を破ることのできるマーベルの人気キャラクターであるデッド

          「ファンサービス」と「物語」は共存できるのか 『デッドプール&ウルヴァリン』

          『マッドマックス:フュリオサ』グラデーションのある"狂気"とその中に魅せる「物語」

          マッドマックス:フュリオサ 監督 ジョージ・ミラー 脚本 ジョージ・ミラー ニコ・ラサウリス 製作 ジョージ・ミラー ダグ・ミッチェル 出演者 アニャ・テイラー=ジョイ クリス・ヘムズワース 音楽 ジャンキーXL 撮影 サイモン・ダガン 編集 マーガレット・シクセル 〈introduction〉 巨匠ジョージ・ミラー監督のもと、名実ともに映画史における新たな伝説となった『マッドマックス 怒りのデス・ロード』。 シャーリーズ・セロンが演じた「マッドマックス」サーガ最強の戦士

          『マッドマックス:フュリオサ』グラデーションのある"狂気"とその中に魅せる「物語」

          サワダアツシのイナタイ映画ブログ的、2023年映画ベスト10!!!!

          みなさんあけましておめでとうございます。 時が経つのは早く2024年になってしましたね。 お正月いかがお過ごしですか?友達や恋人といい時間過ごせましたか?何よりみなさんの幸せを願っております。 私はというと元旦から12時間惰眠を貪ってしまい新年早々懺悔の気持ちでいっぱいです。ええダメンズです。これを機に2024年は社会から"No scrub"と言われないように頑張っていきたいと思います。 そんな話はどうでも良くて、遅くはなりましましたが2023年のサワダアツシのイナタイ映画

          サワダアツシのイナタイ映画ブログ的、2023年映画ベスト10!!!!

          『スパイダー・マン:アクロス・ザ・スパイダー・バース』アート史の集積によって生み出された新しい〈アート像〉

          Spider-Man: Across the Spider-Verse 監督 ホアキン・ドス・サントス ケンプ・パワーズ ジャスティン・K・トンプソン 脚本 デヴィッド・カラハム フィル・ロード クリス・ミラー 原作 マーベル・コミック 製作 フィル・ロード&クリストファー・ミラー 出演者 シャメイク・ムーア ヘイリー・スタインフェルド ブライアン・タイリー・ヘンリー ルナ・ローレン・ベレス ジェイク・ジョンソン ジェイソン・シュワルツマン 〈あらすじ〉マルチバースを自在

          『スパイダー・マン:アクロス・ザ・スパイダー・バース』アート史の集積によって生み出された新しい〈アート像〉

          『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー vol.3』「銀河の負け犬」に送る最大限の誠意

          監督 ジェームズ・ガン 脚本 ジェームズ・ガン 原作 ダン・アブネット アンディ・ランニング 『ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー』 製作 ケヴィン・ファイギ 出演者 クリス・プラット ゾーイ・サルダナ デイヴ・バウティスタ カレン・ギラン ポム・クレメンティエフ ヴィン・ディーゼル ブラッドリー・クーパー  MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)第10作目にして、俗悪低予算B級映画(かつ権力に対する反骨的なヒーロー映画)を世に送り出してきたトロマ・エンターテイ

          『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー vol.3』「銀河の負け犬」に送る最大限の誠意

          「無限の可能性という名の理想」と「今ここに在る結果としての現実」を優しく肯定する『エブリシング・エブリウェア・オール・アットワンス』

          監督:ダニエル・クワン、ダニエル・シャイナート  出演:ミシェル・ヨー    ステファニー・スー    キー・ホイ・クァン 〈あらすじ〉 経営するコインランドリーは破産寸前。問題だらけの家族に囲まれ、疲弊するエヴリン。ある日突然、夫が豹変し、「別の宇宙(ユニバース)から来た」と告げる。やがて彼女は宇宙の未来をかけたマルチバースの戦いに身を投じる。 「今ここに在る結果としての現実」の中で「無限の可能性という名の理想」を夢想し、一喜一憂することは人間誰しもが経験することである

          「無限の可能性という名の理想」と「今ここに在る結果としての現実」を優しく肯定する『エブリシング・エブリウェア・オール・アットワンス』

          『イニシェリンの精霊』アンビヴァレントなキャラクター描写のなかに燦然と輝く普遍性

          監督 マーティン・マクドナー 脚本 マーティン・マクドナー 製作 グレアム・ブロードベント ピーター・チャーニン マーティン・マクドナー 出演者 コリン・ファレル ブレンダン・グリーソン 音楽 カーター・バーウェル 撮影 ベン・デイヴィス 編集 ミッケル・E・G・ニルソン 〈あらすじ〉 本土が内戦に揺れる1923年、アイルランド西岸沖に浮かぶ架空の離島・イニシェリン島で暮らす心優しく気のいい男パードリック(コリン・ファレル)と音楽を愛する初老の男コルム(ブレンダン・グリーソ

          『イニシェリンの精霊』アンビヴァレントなキャラクター描写のなかに燦然と輝く普遍性

          『ノースマン 導かれし復讐者』 最も野蛮でブルータルなヴァイキング伝説

          監督 ロバート・エガース 脚本 ショーン ロバート・エガース 原作 サクソ・グラマティクスによるアムレートの伝説 製作 マーク・ハッファム ラース・クヌーセン ロバート・エガース アレクサンダー・スカルスガルド アーノン・ミルチャン 製作総指揮 ヤリフ・ミルチャン マイケル・シェイファー サム・ハンソン トーマス・ベンスキー 出演者 アレクサンダー・スカルスガルド ニコール・キッドマン クレス・バング アニャ・テイラー=ジョイ イーサン・ホーク ビョーク ウィレム・デフォー

          『ノースマン 導かれし復讐者』 最も野蛮でブルータルなヴァイキング伝説

          映画音楽史の巨匠から学ぶ、物語と「対話」する力『モリコーネ 映画が恋した音楽家』

          監督:ジュペッゼ・トルナトーレ 撮影:ジャンカルロ・レジェーリ   ファビオ・ザマリオン 出演: エンニオ・モリコーネ   クエンティン:タランティーノ   クリント・イーストウッド   ウォン・カーウァイ   オリバー・ストーン   ハンス・ジマー   ジョン・ウィリアムズ   ブルース・スプリングスティーン   クインシー・ジョーンズ  僕が改めて説明するのも烏滸がましいが、 エンニオ・モリコーネといえば、『荒野の用心棒』(1964)『夕陽のガンマン』(1965)『死刑

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          2022年大総括!!!年間ベスト10映画!!!!

           2022年の年の瀬を迎え、皆さんのお仕事も佳境を終える頃ではないでしょうか(僕は31日仕事場で歳を越すことになりそうですが...)。 今年もその時に映画と共に思い出を振り返る方も多いと思います。 そこで僕なりに今年のベスト10映画を決めましたのでぜひよろしければ読んでいただけると嬉しいです。 今年は映画好きとしての原点に立ち返り、原初的な「観る悦び」にフォーカスを当てて選びました(そんな作品が溢れていたのもありますが)。 過去にレビューを書けていない作品もありますが、気

          2022年大総括!!!年間ベスト10映画!!!!

          『アバター/ウェイ・オブ・ウォーター』キャメロンのビジョン優先主義の到達点

          監督 ジェームズ・キャメロン 脚本 ジェームズ・キャメロン ジョシュ・フリードマン 原案 ジェームズ・キャメロン リック・ジャッファ アマンダ・シルヴァー 製作 ジェームズ・キャメロン ジョン・ランドー 出演者 サム・ワーシントン ゾーイ・サルダナ シガニー・ウィーバー スティーヴン・ラング ケイト・ウィンスレット 音楽 サイモン・フラングレン 撮影 ラッセル・カーペンター 『アバター』(2009)でジェームズ・キャメロンは3D上映という形式を用いて世界の映画界に革新をもた

          『アバター/ウェイ・オブ・ウォーター』キャメロンのビジョン優先主義の到達点