
Photo by
ibaraki_nakai
天からの手紙
詩人・立原道造に言わせると「何もない2月」が終わり、3月になれば、もう春めいてくるであろう、と思っていたが、北海道の冬はそれほど甘くはない。今朝はマイナス10度くらいに冷え込んだ。
それでも太陽の光だけはしっかり春なのだ。春の光の中で、雪が降る。
雪というのは、降り始めと、春先が美しいと私は思う。
寒い朝には、雪の結晶がしっかりと見える。
一個一個違った姿かたちであることも神秘的だ。広い雪野原を見わたすことも素敵だが、近視眼的どアップで、小さな雪の結晶を眺めることも楽しい。
「雪は天からの手紙」と言ったのは、雪の結晶の研究で知られた物理学者・中谷宇吉郎だが、雪の結晶の状態で空の雲の中の状態がわかるという。
雪の美しい幾何学模様は、北海道の寒い朝にだけ咲く透明な花なのだ。
(歌志内市地域おこし協力隊・石井葉子)