うす桜色のルージュに染まりたくなる

ルージュ

             作詞・作曲:中島みゆき 
                編曲:チト河内
                歌唱:ちあきなおみ

      

コロナ禍では外出時にマスクを必ず着用するので、朝起きてメイクする時、口紅の色選びの楽しみは激減していた。

また、外出の機会自体も減っていた。
しかし昨年の春頃から、今日はどの色にしようかと悩む日が増えてきた。

口紅をサッと一塗りする時、自分の中の「女性スイッチ」がオンになる感覚がする。

ただ、そんな私もメイク初心者の頃には、この歌の主人公のように
薄桜色のリップクリームに近い口紅しか持っていなかった。
その日の気分やファッションに合わせてルージュの色を選ぶ、
なんて楽しみはなかったのだ。

それがいつの間にか、人の世の荒波に揉まれ、さまざまな経験を積み、
樹木に年輪が刻まれるように年を重ねるにつれ、
手持ちのルージュの数も増えていった。

男性は、ここぞという場面ではお気に入りの勝負ネクタイを締めて気分を上げるのかもしれないが、女性にとってのルージュ選びは、「勝負」以外にも様々な意味を持つ。

色選びに失敗するとほかのアイメイクやチークの色などとの相性が悪くなるし、メイク全体の中では肝心要の部分。
唇をどう仕上げるかでその日の自己演出が変わるし、会いたい相手も変わる(これはあくまで私の場合、だけども)。

そう、ルージュは「彩る」だけでなく、「纏め上げる」存在でもあるのだ。

だから、ルージュは女性の心のオーケストラを統率する指揮者みたいな存在かもしれない、と思ったりする。
メイクするたび、「今日はどの指揮者に指揮をお願いしようかな」と悩む。

そしてその指揮者選びが上手くいくようになると気分が上がるから、
会う人と口を利くのも上手くなる(気がする)し、
なんとなく交渉上手、世渡り上手な私になったような気になれる。

また、その日のメイク・服装にピッタリのルージュを引くことで、「作り笑いが上手」な私に変身することもできる。

そういった意味では、ルージュは私にとって「なりたい自分に変身できる魔法」みたいな存在でもある。

そして、とりわけこの歌を聴いていると「うす桜」色のルージュを
唇に纏いたくなるし、今日はどんな私になろうかしら、と考える楽しみが増える。

この春も『ルージュ』を聴きながら、ルージュ選びに楽しく迷う日々にしていきたいと思う。




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