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さようなら、オジサマ。


少し前に、私を魅了してやまないオジサマのことをここで書いた。

子どもの頃を思い出して、あの背徳の味が蘇ってたまらなくなり
今日は本当にしばらくぶりにオジサマに会いに来た。
「ウェルクァァンンム!タナカサン、久しぶりネ!ハハハハハ!!」と
昔と変わらず満面の笑みで、両手を広げて待っていてくれた。

会社帰りにあるそこそこデッカいショッピングモールのフードコート。
ここに来ることすらかなりのお久しぶりである。

ウキウキとオジサマに挨拶をしてメニゥを確認。
ちょうど夏限定の辛いやつも販売中じゃないの!
よし、ここはオリジナルチキンとの「食べ比べセット」なるものを注文だ。
サイドはポテト、ドリンクはアイスコーヒーで決まり。

あぁ、これよ、このかおり。しばらくぶりで失神しそうだ。
はやる気持ちを抑えてまずは喉の準備。
アイスコーヒーにストローをセットしよ・・・あれ?何?
「コレぇ、紙ストローじゃぁぁん!!」

私は紙ストローが大嫌いだ。
飲み物を100%以上マズくする。

まあいい、コップのフタを外して直接ゴクリとやればいいのだ。

気を取り直して、と。
オリジナルチキンをガブー・・

え?ナニコレ??
ガリガリのゴチゴチぃぃぃーーー!
おいしくない。マジで?こんなだった??
赤い辛いのもゴリゴリでギゥギゥしてる。
ジューシィーのかけらもない。
じゅんわりした肉汁がどこにも見あたらない。

あぁ、終わってしまった。

しばらく口にしていないだけでこんなにも味覚がかわるのか?
それともここの店舗のせいなのか?
でも、こういうお店はきっちりと作り方が決まってるんじゃぁないの?
きっとカーネルおじさんは草葉の陰で泣いているよ・・・

でもこの時思った。
思い出というのは美しすぎるっていうのは本当なんだよ。
食べ物の記憶っていうのは、その時の甘酸っぱい思い出とか
幸福感とかも含めて残るんだよ。味覚の記憶ではなく、
心の記憶なんだろうな。

そう自分に言い聞かせながら、そっとオジサマに別れを告げた。
今日は私のカーネル卒業記念日。


#今日やったこと

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