映画『mid90s ミッドナインティーズ』
※2020年10月5日にCharlieInTheFogで公開した『見た・聴いた・読んだ 2020.9.28-10.4』(元リンク)から、本作言及部分のみ抜粋して転載したものです。
ヒップホップとスケートカルチャーを浴びる兄への憧れをいだく、13歳の男の子スティーヴィーは、街で見かけたスケートショップを訪ねる。たむろする少年グループに自由奔放に振る舞い、そのカッコよさに魅了されたスティーヴィーはグループに近づいていく。
本作で描かれる思春期男子の内輪ノリは、懐かしくもありつつ、もはや歳をとった身から見ると危なっかしくて痛々しい。パシリですら承認の証しと思えてしまう未熟さ。ミソジニー、同性愛嫌悪的な物言いをいとわないことが男らしさと勘違いする感覚。所詮それらは背伸びした子どもに過ぎない、が、現代はそれらの行いは子どもなら許されるものでもなくなってきた。
男性なら多かれ少なかれ思い当たる節のある過去の幼さ。だが、それは果たして本当に過去のものとして決別できたものなのだろうか。映画の中で描かれる彼らのような精神性は、大人になったはずの私たちにもまだ存在しているのではないか。子どもと大人の境界線が曖昧になる、つまりミッド・ナインティーンズは今も続いている。そういう迫力のある作品だった。
(シネ・リーブル梅田で2020年10月2日鑑賞)